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ピアノだって、沈黙は金なり!!

今回は、「楽器の選定」についてです。ピアノは半永久的に使える訳ではないので、いつか買い換えの時が来ます。内部のフェルトや弦は消耗しますので、使用頻度によってはかなり寿命も短くなります。楽器店の選定ルームでピアノ購入のための試弾をさせてもらう際には、幾つかポイントがありますので、それについてお話します。

筆者の経験上、選定ルームでの試弾は、まずはノーペダルワンフィンガーが得策です。さっそく得意になってロマン派をたっぷりのペダルで弾き始める方がいますが、それではピアノの資質が判別出来ません。ノーペダル、ワンフィンガーで楽器の資質を探りダンパーで判別しにくくなる要素を排除すると、本質的な楽器の個性を見分けられます。ピアノの低音部高音部は使っているうちにいくらでも音が出てきますから、選定ルームでその時に鳴っていなくても全く心配ありません

問題は、中音部の資質です。中音部はどんなに弾き込んでも殆ど最初のままの個性で、一番変化しない、生まれ持ったポテンシャルがそのまま残る部分です。そこを見極められたらベストですね。

そうそう、それと、一番大事なこと。

筆者個人的には、楽器は「よく鳴ってくれるもの」という視点よりも、「鳴っては困る時に厳しく止音できる能力が高いもの」が欲しいところです。止音能力が弱いと、前の響きと次の響きが意図せず混じってしまいます。それは絶対NGですしね。目が回ってしまいます(笑)

「沈黙は金」―――これ人間もピアノも一緒かな?黙っていなきゃいけない時に黙っていられるなんて、めっちゃ格好いいですもんね!!

選定ルームで気に入ったピアノを、環境の異なる自分の練習室に入れた場合、必ず全く違う音の響きになります。感触も変わります。え~っ、こんなピアノじゃなかった!ってなります。ということは、選定ルームで曲を気分良く弾きやすかったものを選んでも、余り意味が無いことになります。楽器のサイズは、部屋とのバランスがとれているものがいいですね。

何年もかけて、生まれたての新馬を調教するように、ピアノも一からひとつひとつ教え込んで初めて、やっと意思の疎通が出来るようになります。どのくらい弾き手が仕込めるか、取り組み甲斐のある世界ですね。 

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