どれだけの人をやり過ごしてるのだろう。

ガラス張りのカウンター席に腰掛けてキーボードを打っている。目の前を通る人は急ぎ足で右から左、あるいは左から右へと2秒ほどで通り過ぎていく。多くの人がぼくの目の前を通り過ぎているけれども、残念ながらその人たちの視界にぼくのことは映らない。横目でチラ見しない限りという注釈はつくが。

いったい、生まれてからどれだけの人が目の前を通り過ぎたんだろうか。逆にぼくはどれだけの人の前を通り過ぎてきたんだろうか。

リアルで会ったことがある人、SNSなどのインターネットで交流がある人、匿名掲示板などで誰とは知らないままにやり取りをした人……。

多くの人となんらかの形で交わってきたわけだけれども、それ以上の人が物理的にぼくの目の前を通り過ぎているわけだし、ぼくも通り過ぎてきた。

もちろん全員に声をかけることなんてできないし、かけられても困る。生まれてから、死ぬまでにどれくらいの人をやり過ごすことになるのだろうか。

ちょっとしたなにかがあれば、交わるのかもしれないのに、そうはならなかった人たち。なんだかもったいないなぁ、と感じてしまった。

だからといって声をかけるわけではないのだけれども。

運命ってやっぱりあるのだろうな。

こちらサポートにコメントをつけられるようになっていたのですね。サポートを頂いた暁には歌集なりエッセイを購入しレビューさせて頂きます。