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自解100句選 加藤三七子集(牧羊社) 読解

 探して探して手に入れた句集である。
 きっかけは塚本邦雄『詩歌博物誌 其之壱』(彌生書房)。1992年に刊行されたその本は旧市のいまはない古書店の附箋をつけたままブックオフの廉価本に埋もれていた。
 少し前に碩学の知人の、塚本邦雄『百句燦々』の読書記の投稿に刺激されていたわたくしにはその本を救い出すことに躊躇いはなかった。
 それは五十の章からなる本であった。全ての章において、タイトルとイラストと一句の俳句がおかれていて、プロローグを成している。その句と語られる博物誌のつかずはなれずの関係性の心地よさ。
 読みすすみ跋にいたって判然とした。「詩歌博物誌 跋 花鳥風月禽獣虫魚」と題された一文には塚本の俳句歳時記へのおもいがさまざま語られていた。そしてこの単行本刊行の謂も。「(略)1986年1月から、今もなほ俳誌「黄鐘」に連載中の短文を集め、すべて主宰者加藤三七子氏の秀作に依り、その句を冒頭に飾った。(略)編輯から装訂にかかはる一切は政田岑生氏の宰領、加藤俊彦氏の装画(略)1992年9月末日 筆者」。

 駆られるように俳誌黄鐘について調べた。2005年主宰の急逝により廃刊となったと。
 どうしても加藤三七子氏の句を読みたくなった。そしてやっと一冊を手に入れることができた。
 おもしろい。おもしろいのは流れるように入ってくる句の力だ。わたくしに読むことを迫ってくる句の数々。加藤三七子集を読解していこうとおもいたった。

次節予定「泣きにくる闇」 うまく掬い上げるように書くことができればよいのだが。


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