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5月16日~22日 一週間日記

●5月16日 休日
 あらら、記憶が全くない日です。新宿へ出かけたのかしら。Twitterには新宿の画像が上っているが。兎も角おとなしく過ごしていた日だったように思う。

●5月17日 審査会
 とある審査会へ行く。昼下がりに渋谷であったので、家を出て渋谷で審査の最終準備を行う。たいへんに緊張をする審査であるから入念目に準備。ただよ読み始めていた南篠範夫の『駿河城御前試合』が大変に面白く、そちらに集中力を奪われる。大名の前で様々な剣豪が命がけの試合をする、というある種オムニバスの物語。
試合に至るまでの物語、因縁をたっぷり描いて試合部分があっさりしている、というテンポ感が素晴らしい。人ガンガン死ぬ。後日譚的な部分も気持ちがよくて、決して文学史には残らないだろうけれど、味付けの濃い消費されゆく小説としては蓋し優秀。
 夕方からの審査会についてはまた情報公開があってからここにも書けると思う。大変に緊張をしたが何とか務めを果たすことができた。
審査会後の会食で、何やら大変な高級店で大変に高級な中華料理を食べる。ふかひれの姿煮が今まで食べたどれよりもおいしかった。ふかひれとはそういうことで珍重されているわけですね、ということが初めて分かったように思う。ワインや紹興酒などを飲む。
 その後高円寺のバー『人民の敵』へ。外山恒一氏のバーである。右派左派入り乱れた客層に驚くとともに心地よかったが、議論を戦わせるにはあまりにノンポリ、そして勉強が足りず、質問男に成り下がる。途中から隣席に「人民の敵ってなんなんだ」という気持ちで入ってきたお客さんが座ったので、その人と喋ったりする。
高円寺は酒が安い。新宿の半分くらいである。気軽にまた行こうと思う。しかしお笑いライブを観に行くことでしか訪れない土地だ。また面白そうなやつに日程が合えばええんやけど。

●5月18日 逗子へ
 友人連と逗子へドライブ。海を見、パンを食い、話をして、いわしを食べて、僕だけ酒を飲み、最後には首都高速を走り、東京タワーを見て帰宅。

●5月19日 ネイキッドロフトで畠山理仁さんのイベント
 ハマ・ヨコハマへ。7月に加藤の乱講談をさせていただくネイキッドロフトで、ゲストに来ていただく大尊敬するライター、選挙亭漫遊師匠こと畠山理仁さんご出演のイベントへ。都議会の五十嵐エリさん、鈴木エイトさんもご出演。東京15区をメインにトークが進む。僕も漫遊した選挙区なので大変楽しかった。五十嵐さんが選挙漫遊に懐疑的な立場なのがすごく会を面白くしていた気がする。政治家から観ても、他の選挙区に物見遊山で選挙観に行く、というのは烏滸の沙汰なのだ。
その特殊性みたいなところを前提として語る場所と、その特殊性への受容がある場所での語りを使い分けなければいけないな、と漫遊講談をするものとしてはおもう。
大変重要な気づきであった。
畠山さんが『加藤の乱』の宣伝もしてくださって大変ありがたかった。頑張らねばならぬ。
今現在講談のお客さんには全くリーチできていないし、今僕の芸を講談が好きなお客様が見ても「け」「へた」「くそ」と思うだろいう。そういうお客様とがっぷり四つで戦って満足をさせる、というのは僕の能力的には無理である。
しかし僕は講談が好きだし、講談で食っていきたい。しかし業界内ではやっていけない。
だから題材への愛によって技術と能力の壁を越えるほかないのだ。資料を読み込み、台本を練ることへの粘りを政治や水曜どうでしょうへの愛によって為し、そしてそれらを愛している方々、講談を愛しているわけではない題材を愛している方々に来ていただいて、愛で以て繋がってお客さんになってもらっていく、という生き方をしていく他あるまい。と思う。寂しいなあ、と思う期間もあったんだけど、最近吹っ切れてきてもいる。
業界の中で生きる、ということは、お客さんと相対すると同時に、楽屋も踏まえて芸をしなければならないという苦労がある。
そういった苦労からは自由な立場で闊達に講談ができる、というのはこれ。幸福なことであるし、お客さんこそが寂しさを埋めてくれている、という今の状況はなんだか妙にさわやかで気分が良い。このまま快調に進んでいけば、業界から一目置かれる日も来るかもしれない。そうなった時、昔を振り返りつつ飲むお酒は美味しいだろうし、後輩を相手に爆おごりしながら成功譚を聴いてもらったりしたいものである。そういう獣の欲をいつか満たしてもらいたい。でもかわいそうだから1時間で解放してやろうと思う。ま、1時間で解放してやる、ってのも曲がった獣欲かもしれぬ。
まあともかく頑張っていこう。という話だ。

●5月20日 帰阪・ビッグイシュー講談部稽古後記
 朝から部屋を片付けて、帰阪。新幹線は空いていて快適である。いくつかの作業をこなすこともできて◎の車内。帰阪して一旦妻の住居に立ち寄って猫に愛想をしてから淀川区民センターでビッグイシュー講談部のお稽古。講談の続き読みの有用性と害悪について話をしたりして、考えがまとまる時間があった。よきことである。この日はかなりぐっすり眠ったように思う。

●5月21日 玉秀斎の勉強部屋
 師匠の新企画。様々な先生を招いていろいろなことを聴く企画。初回は菅原道真のことを学ぶために綱敷天神社の白江さんをお招きする。僕は最初に少しだけ修羅場読み『宇治川の一番渡り』をさせていただいた。終わってから会食。大阪に帰ってくると連日の会食になるので、ある程度体重の覚悟をしなければならぬぞ。
帰り道に師匠から2日後の公演で『宇治川の一番渡り』を全編やるように指示を受ける。完全に忘れているので焦る。

●5月22日 ビッグイシュー講談会
 大阪3日目にしてヘロヘロになっていることに驚く。まあ毎日荷物が重いんだな。重い荷物を持ちつつ『宇治川の一番渡り』と「扇の的」の稽古をしているとへとへとになる。
喫茶に入って講談を書き、6月の公演に向けて水曜どうでしょうを観、会場入りして準備をして、講談部のお稽古をして開演時間。新作の玉田玉山物語『玉田玉山物語~名医~』を初演。会のMCをして師匠と共に歩いて梅田まで行き、阪急電車に乗って十三へ。十三のカラオケで『宇治川の一番渡り』をひたすら稽古するシラス配信をして、配信終わってから『扇の的』の稽古をして2時頃に帰宅。この日はちょっとやりすぎた。きっと後日に禍根を残すくらいに体力を使ってしまった印象。たぶん東京に戻った時にぐったりがやってくると思われる。


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