8月20日 ビッグイシュー講談部お稽古後記


無益だけれど愉快な夜更かし。非常に気持ちの良い時間を気分のいい友人たちと過ごせた。
ラジオ好事家の友人たちに講談玉田家ラジオに対する意見を聞くことができた。

夕方から師匠が指導されているビッグイシュー講談部のお稽古に参加させていただく。
今月のビッグイシュー講談会は「真夏の怪談特集」となっている。
ビッグイシュー講談部の面々が自らの経験した怪しげな話、恐ろし気な話を講談で語ることに。
僕も玉田玉山物語で怪談を語るように、という指令を師匠からしていただいている。

師匠が稽古場に来られて、講談部のお二人の書いてこられた講談を聞き、どんどんとブラッシュアップしていく。
正直言って、僕はその様子を聞いていたけれど、自分が一体どんな怪談を語ればよいのやら、と焦り散らしていた。

僕の身に怪異が起こったことは一度もない、或いは起こっているかもしれないが、怪異に気付くくらいの敏感さがあれば、もう少し器用に生きているような気もする。
また、因果、というようなものが身に降りかかってきたこともあまりない。
転ぶ、こぼす、壊す、つまづく、忘れる、などの反利益行為を頻繁に繰り広げる僕だけれど、これは例えば前世からの因果や恐ろしい因襲の贄になっているというわけではなく、僕個人の責任で淡々と転びこぼし怖しつまづき忘れている。
怪異・因果とは縁遠い人生だ。
そういった僕が、僕の物語で怪しい話を語らなければならないのだ。
今の所ストックが思いつかないので、墓場に出かけて行って走り回ったり線香を上げたり手を合わせたり五体投地したりしてやろうかな。

そんなことを考えたりもしたけれども、講談部の方々の怪談はちゃんと因果だったり怪異だったり恐怖だったりするので、こうご期待であります。

其の後、師匠の取材に同行させていただき、書記を務める。
お話されていることをそのままパソコンに打ち込んでいくようなスタイルになるので、ブラインドタッチが役に立つ。
熱烈立川文庫文字おこしのおかげで身に着いた能力を遺憾なく発揮できたと思う。

師匠とお別れして電車で帰路に就く。
帰りの電車でお気に入りのラジオを聞く。
ラジオ好事家と話をしたその夜にふさわしい幸福な移動時間であった。
明日は此花千鳥亭での一門会だ。僕はお手伝いに伺う予定。

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