6月29日公演分立川文庫「大阪城冬之陣」のあらすじと見どころ


ここまでのあらすじ

 ついに合戦間近となった。豊臣家と徳川家。圧倒的人材不足の豊臣家は全国の失業浪人たちを本拠地大阪城に招きいれる。
その中でも軍師として戦の指揮を大阪城にやってきたのが、徳川を二度打ち破った真田昌幸の子・真田幸村、大大名黒田家の侍大将として天下に勇名を馳せたがなんでもずけずけと物事を言う為に主君に疎んじられ浪人となっていた後藤又兵衛、四国一国を治める大大名であったが関ケ原の合戦において領地没収の憂き目にあった長曾我部盛親
この3人がそれぞれ徳川の目を欺いて大阪に無事入城。大阪城に集う豊臣方の侍たち、皆テンションが上がってくる。それは幼い殿様、豊臣秀頼公も例外ではなかった。

今回の見どころ

 今回は先述の三軍師入城後の初めての軍議が描かれる。そこでの論戦が見どころ。玉山担当パートでは若くてエリート意識が強い、城の中の実力者である大野治長と、人物名声は一流ながら舌禍で職を失った後藤又兵衛の論戦が行われる。
とにかく後藤又兵衛が大野治長を論破していくという流れ。そんなに論破したら大野治長もやる気をなくしちゃうんじゃないか、ってくらい論破をする。
自信満々の後藤又兵衛と、へなへなになっていく大野治長の対比が楽しい。
師匠玉秀斎のパートでは、軍議の主導権争いが混とんとしてくる。後藤又兵衛はある程度知恵のある豪傑だが、荒川熊蔵という知恵の無い豪傑や、親ばか爺さんの大野道犬斎なども口を出してきて収集がつかなくなる。
そんな折、ついに登場して初めてセリフを発するのがあの男。一体だれが登場するのかは本編を見てのお楽しみ。

 ともかく議論、会議の場面だ。
ドラマ「半沢直樹」以降会議の場面で啖呵を切る、というのが一つの華のある場面として定着したように思う。
確かに日常で起こる場面の中では会議で発言をしている、という場面はかなり演劇的だ。皆が注視をしている中で自らの言葉を発さなければならない。
そういった場面を演劇や映像に持ち込めば華は自然と出てくるだろう。
今回は後藤又兵衛がその華を一手に引き受けているけれど、基本的に後藤又兵衛は不遜で相手を小馬鹿にした喋り方をしている。論破されるのが大野治長という魅力の全くないクソ野郎だから成立しているけれど、普通の会議でこんな風に詰められたらたまったものじゃないし、僕は後藤又兵衛課長のことは嫌いになると思う。
でもこの場面の後藤又兵衛の意図としては、大野をけちょんけちょんにやっつけておいて自分たちに信頼を寄せなければ戦いに勝利できない。ということをわかっていての徹底的な論破なんだろうと思う。全員が見ている前でイニシアチブの強制的な譲位を行うという意図が後藤又兵衛にはあるのだ。
だから必要以上に論破する。必要以上に論破をするのだからきっと華々しい論破でないといけなくて、それを僕は演じなければならないということになる。

今回の玉山のめあて、雑感
 

   果たして後藤又兵衛を上手く演じることができるのか。豪快でそれでいて知恵が回って、口が悪くて嫌味も言えて、でもさわやか。みたいな複雑な野郎だ。あとは豊臣秀頼公の長セリフもある。高貴な若者をどう演じていくのか、全く難しいパートに当たったものだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?