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7月11日~17日 一週間日記

●7月11日 水曜どうでしょう講談執筆
 選挙漫遊記と水曜どうでしょう講談を執筆した日。ねぐらは寝る場所なので、出かけて執筆。心赴くままに。たどり着いたのは渋谷であった。何もこんなに坂だらけの街にやってくるこたあないんだけれど、仕方がない。うろうろと歩いて空いている喫茶を探し、尻を落ち着けたのがbunnkamura近くのタリーズだったか、
ゆるゆると文章を書き始める。漫遊記には相当苦戦をする。なかなか最後までたどり着かない。水曜どうでしょう講談にも難儀をする。もっと面白くしなければ、という気持ちに脳みそが追いついていかない。
大体『水曜どうでしょう』という現実にもうそこに存在しているすでに面白いコンテンツを講談で語りなおしていったい何になるのかという根源的な問なども沸き起こってきて、最終的にこんなに暑いのに明日も生きる必要なんてないじゃないか死のう。という気持ちになり、いったん死に方について考えるが怖くなり、勇気をくじかて、執筆に戻る、というのを繰り返す感じである、この日は何度も天を仰いでその状態になった。
 夜から渋谷のユーロスペースで毎日新聞主催のお笑いライブ『お笑いの向こう側』を観る。
三拍子、にぼしいわし、マシンガンズの三組。思い立って行ったので当日だったが、満席気配大変盛況。10分の長尺漫才を観ることができて満足。10分の漫才だとまくらみたいな部分が付くという形になる。そう考えるとまくらなしで爆笑が起こる漫才というフォーマットはすごい。講談でまくらなしってなるとちょっと厳しいもんなあ。
 
●7月12日 水曜どうでしょう講談稽古
 稽古日。朝から何度か稽古をする。低気圧だからか、どうも気分が乗らない。外に出て気分転換散歩がてら稽古しようと思っても雨がおっくう。家で鬱々としてしまう。雨の翌日は本番勘弁してほしいし、本番前日の雨もまた勘弁してほしい。とにかく気候をよくしてほしい。シチリアとかに移住してやろかな、雨少なそうやし、でおお客さんもおらへんか。世界に僕の居場所はない。
翌日のバー営業のためにラフロイグと豆菓子を購入しに溝の口へ、翌日の講談会のまくらだけ練って帰宅。
 
●7月13日 水曜どうでしょう講談会・玉山noばぁ~
 お昼からの公演。最高のお客様が最高にたくさん、という感じ。満席だった。一席目のまくらは初めての川崎武蔵新城開催であったので、大阪と川崎の違いなどを。
前日までの孤独が嘘のように笑ってもらえる。とても辞められるものではない。
まあ普段孤独すぎて、ちょっとした笑い声が大きく、針小棒大に聞こえているのかもしれないが。
この日は『水曜どうでしょう講談~軍団、四国の呪いを受ける~』と『水曜どうでしょう講談~わかさぎ釣り~』の二席。
終焉後、ばぁ~を開催。たくさんのお客様にジンとラフロイグを販売する。大きく原価を超えた金額の売り上げが立つ。なかなかうれしいものである。
大いに盛り上がりすべてご終わり、ご臨席ただいた嬉野さんやスタッフのみんなとご飯を食べ、途中ぬけしてお客さんの飲み会に合流するなど、嘘みたいに楽しく騒がしい一日だった。
 
●7月14日 『アイアム・ア・コメディアン』
 渋谷で映画『アイアム・ア・コメディアン』を観る。ウーマンラッシュアワー村本氏のドキュメンタリー。スタンドアップコメディに傾倒し、渡米計画を進める氏に密着をしている。むせかえるほどの村本氏の自意識に「ひあ」となりながら見続ける。最後に拍手がわっと起こるような芸で、あんまり興味のない芸だった。氏の芸は無駄に早口でよく噛む。わりに本番前に酒などを飲んでおり、ストイックなのかなんなのかよくわからない。もしかしたら酒が手放せない体なのかもしれない、と思って心配になる。また、芸人のドキュメンタリーの割に芸人仲間たちの姿も、相方と、アメリカのコメディアン数名しか絡んでいる姿は見えず。孤独を感じさせる。でもなんだか孤独に色気がないんだよなあ。
そう、コメディアンから立ち上る妖艶な色気、凄絶な魅力、といったことは画面からはまったく伝わってこず、それに対する撞着のみがスクリーンを埋めていた。
 上映後、そばを食べてねぐらへと戻っていく。完全に抑うつ状態に転じたのがわかる。酒を飲む気にもなれない。当然バーにもいかない。帰宅の王。
 
●7月15日 『方舟にのって~イエスの方舟45年目の真実~』
 ポレポレ東中野へ。イエスの方舟についてのドキュメンタリーを観る。若い監督のようで、市川崑→庵野秀明の流れのテロップ使いをしている。ちょっとやりすぎ感があった。『14歳の栞』という中学二年生という年代にとにかく密着したドキュメンタリーも庵野秀明感がすごかった覚えが。ドキュメンタリーに劇性を付与する際の庵野演出模倣の使い勝手の良さ。イエスの方舟の話自体は大変面白かった。バッシングを受けて共同生活を続ける。リーダーと女性たち、リーダーは死に、流れ流れて今現在は女たちで共同生活を送りながら全メンバー十数人で水商売を運営しながら暮らし続けている。という。ユートピアに見えた。犬なんかも皆で二匹飼っていて。あの世界がユートピアに見えるというのは疲れているってことなのかな。
 見終わった後、ねぐらに戻り、夜の配信の講談会の準備をして本番。講談加藤の乱の前日譚『森喜朗物語』を発端から総理就任まで。五人組の密室の会議の場面はやっていて楽しい。この部分は27日の講談会でもやりたいところだ。
 
●7月16日 帰阪
 大阪へと戻る。新幹線は混み気味。理由がわからん平日であるぞ、と思ったが時は夏休みってことなのだろうか。若干の疼痛が頭にあり、作業なども遅々として進まない中での帰阪となった。
帰阪し、妻の宅で猫とともに妻の帰りを待つ。妻が仕事から帰ってきて、ともにスーパーに行き、野菜と餃子とソーセージを買ってきて、鍋にして食べる。久しぶりの再会でうれしくなってしまい酒の盃を重ねる。妻に勧められるままに妻の最近使い始めた良いシャンプーで髪を洗ったり、おどけながら洗濯物を干したり、9月に行く旅行先を相談したりしながら眠る。これはなかなか良い夜だったのではないか。
 
●7月17日 立川文庫×古典講談会
 昼にうどん王のうどんを食べる。うどん王などと名乗っているが、僕はじつは出汁王だと思っている。出汁がうますぎる。関西風の色が薄めの出汁ではあるが、ただ薄いわけではなく澄んだ黄金色をしている。味の薄さはまったくなく、かといって塩気やいやらしい甘みがまとわりついてくることもなく、魚介の出汁が切れ味鋭くスカッと口腔を満たしてくれる。
出汁王だ。
 講談会の会場に入って一人で準備。筋力の衰えを感じつつ。なんどかお稽古をするものの、へとへとである。本番は
『玉田玉山物語~黒柳徹子は大きい~』 玉山
『立川文庫続き読み 智謀真田幸村~徳川方七将呼び出し~』 玉秀斎
師弟トーク
『三方ヶ原の物見』 玉山
『那須余一』 玉秀斎
 
という流れ。本番後会食があり帰宅。なんだか疲れと緊張感で全然眠れない夜になった。前日は「俺はいつまででも眠れるぜ」という感じだったのに。悔しい。

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