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5月23日~5月29日 一週間日記

●5月23日 船場トンデモ人物伝

 青山ビルでの公演。翌日古典の会でやらなければならない宇治川の一番渡り、お稽古をつけていただく扇の的、この日やる玉山物語の稽古でてんやわんや。この日は『玉田玉山物語~ニコニコ即興歌口上~』をやる。終演後、会食。あんまりよくなくて、師匠にいろいろとアドバイスをいただきながら帰宅をする。


●5月24日 立川文庫×古典の会

 朝から前日と同じく宇治川の一番渡りと扇の的の稽古をする。会場も前日と同じ青山ビル。本番前に扇の的の稽古をつけていただく。

この日は

『玉田玉山物語~審査委員~』 玉山

『立川文庫続き読み真田幸村~逃げ出す家康~』 玉秀斎

師弟トーク

『宇治川の一番渡り』 玉山

『淀屋の屏風』 玉秀斎

という流れ。玉田玉山物語は用意していたやつを捨てて書き替えた奴。結構ウケた気がする。いえーい。宇治川の一番渡りは一瞬の絶句。翌月もやることになった。

終わってから会食。


●5月25日 旭堂南舟真打披露興行手伝い

 朝から泉佐野へ。旭堂南舟兄さんの真打披露。南舟兄さんはこのnoteでも頻出の我が同期・旭堂南歩の兄弟子にあたる。南歩の師匠の南左衛門師匠門下の現在筆頭弟子。よってたくさんの講談師が手伝いに来ていたように思う。

集合時間に泉佐野駅に行き、まず南舟兄さん、南歩君に会い、それから旭堂南歌姉さん、旭堂南亰兄さん、旭堂南山兄さん、旭堂南生兄さんたちと合流する。

会場につくと、南左衛門師匠、旭堂南斗兄さん旭堂南之助兄さん、旭堂南文字兄さんがおられて、後から旭堂南雲兄さんも来られる。大所帯である。殆どが1年以上ぶり。どこにこんなに講談師が隠れていたんだ!という感じ。

南左衛門師匠門下では結構就職しながらとか、僧侶をやりながらとか講談師をされている方が多い。

ガンガン講談仕事をせずとも食っていける、という事情もあってか、あまりお会いする機会がない。でもたぶん皆さん講談がすごくお好きで、何よりも南左衛門師匠を慕っておられるので、ことあるごとに人数が動く。素晴らしいことだ。

この日はゲストで東京から宝井琴星先生、宝井琴調先生も来られていて、師匠も出演。とにかく泉佐野に大勢の講談師が集まったのだった。

師匠は『猿飛佐助』をされていた。結構これが襲名的なめでたい席には合うのだ。「世に出る」という話だし、何より軽い。重たい演目はトリや東京の先生がされればよい。玉田は『猿飛』がよい。

同期の南歩は司会兼現場監督って感じで大わらわだった。口上と、終演後のパーティの司会までやっていた。パーティはなんだか打ち合わせ不足の感もあり難しい雰囲気だったが、谷川とむ氏から祝電が来ていて僕だけが色めき立つ。

「元僧侶で自民党参議院会長も務めた谷川秀善の二男で…」などと周りの人に調子に乗って解説をしてしまう。よくない。知ってることは全部話をしたい。

終演後、難波まで師匠とご一緒して、そこで別れて帰宅をする。


●5月26日 スパワールド温浴亭

 昼からスパワールド。桂三河兄さんとご一緒させていただいた。野球好きの方で、楽屋でも話をすることができた。楽天が好き、という奇特な方で話を伺っていて面白かった。昨年勝利するたびに阪神講談をやっていたことを知ってくださっていてなんだか嬉しかった。しかし見事に何の仕事にもつながらぬ企画であった。まあ、楽しかったからよかろう。

二回の出番。僕は『般若寺の焼き討ち』と『阪神タイガース講談~5月26日ここまでの試合経過~』を。三河兄さんに触発されて久しぶりに阪神講談をやってみたら大変楽しかった。またスパワールドでやろうかな。もうちょっと前段、今日の試合までを作りこんで、その日の試合を。

終わってからすぐに着替えて十三に戻り、演劇の稽古をする。緊張の演出。演劇というのは面白いものである。講談って意味を言葉で語る芸能なので言葉にするとダサいこととか、言葉にできないこと、を表現するのにむいていないのだけれど、演劇は空気を現出させることができる面白さがある。楽しい稽古であった。

終了後、妻とご飯。変な焼肉屋で腹を壊しそうな肉を食い、これではいけない、と気に入りのイタリアンの店に行く。大変美味しいトスカーナフライとフォアグラのリゾットがある店。大食らいする。その後カラオケに行って帰宅となる。いい日だった。


●5月27日 打ち合わせ・いわ寺トークライブ・全員おじさん

 昼間に妻と出かける。梅田のニューミュンヘン。ビアレストランだ。ビールが大変美味しいことで有名な店。ただ、ビールが高い。という印象だったが、最近東京でバーに通ったりしているうちに金銭感覚が破壊されたようでこの日は「安い」と思ったのだった。安いと思いながら飲むニューミュンヘンのビールはいつもより幸福感が強いので、僕は本当に田舎者の貧乏根性だと思う。

大使館ビールなるクラフトビールを初めて飲んだのだが、これが発狂ものに美味しかった。一杯目の生ビールは「のど越し!どうや!キレ味!」って感じのスカッと感だったんだけど、大使館ビールは「まあ、落ち着いて。喉の渇きも癒えたでしょうからお次は味を」という落ち着き濃厚ビール。味が華やかでありつつ濃厚で、飯を食いながらかぱかぱと飲む感じではない。じっくり一口一口旨い旨いと言いながら飲みたくなるビール。クラフトビールに興味の無かった人生であったが、俄然興味が出てきたのだった。

まあ、いくらビールが旨いといっても。むろんから揚げも食べる。異常に美味しいから揚げ。すべての人を誘っていきたい店だが、誘う相手は妻しかおらぬ。

終わって妻と別れて一件打ち合わせ。打ち合わせ終わって日本橋へ。暫く作業をした後、日本橋でお笑いライブをふたつ。にぼしいわし・いわしさんの主催ライブを二本だ。

一本は口外禁止系のトークライブ。ヤングの寺田さんとの二人トーク。ゴシップも面白いんだけれど、漫才の技術論みたいなところが無茶苦茶面白い。芸論みたいなのってやっぱり面白い。芸論をしてくれる先輩が寄席業界にもっと欲しい人生だった。最近講談レッスンを引き受けているY君に芸論を話することがあるが、大変楽しい。芸論は話しても話されても楽しい稀有な話題。もっと僕のもとに降り注いで欲しい。

二本目は『全員おじさん』というイベント。初回を妻と友人と観にって以来の久しぶりの観覧。おじさんたちのネタとおじさんたちの団体芸が観られる。団体芸が初回から比べて無茶苦茶面白くなっていて大変よくわらった。おじさんたちがそれぞれのおじさんらしさを強烈にアピールし、おじさんがおじさんであるほど面白いというおじさんのユートピアみたいな状況が出来ていた。これはおじさん排斥に進むこの世の中で、おじさん即悪のこの世の中で一種の救いになる場所かもしれない。おじさんのおじさんらしさを魅力として定義できる場を作ることによっておじさんの立場を絶対悪から相対化できる。そういう可能性がこのライブにはある。ジャック・デリダもびっくりの「おじさんの脱構築ライブ」と言えるかもしれぬ。

しかしこれだけの出演者のスケジュールをおさえて、毎月公演を継続するということは大変なことだ。

そして継続しているからこそ、おじさんたちがおじさんとしての高みに登り続け、僕の感情を揺さぶる高度なおじさん、宝石のようなその姿をまざまざと見せつけられた上はこれ、いわしさんはじめ運営の方には尊敬しかない。

これは継続なくしては難しい仕儀だと思う。

僕も水曜どうでしょう講談は継続しようと思う。継続して失うもを恐れるよりも、継続して現出する価値に希望を見いだせる。そんな公演だった。

大変に満足して帰宅の途に就く。昼間からとにかく酒を飲み続けるご機嫌な日だった。


●5月28日 帰京

 新幹線で帰京の途。前日の休みをかみしめつつの新幹線。割と早い時間に到着をしたので、スーパークリシマに立ち寄り食料を買いこみ、水曜どうでしょう講談の執筆に移る。


●5月29日シラス配信

 玉木青、横山清正と共にシラス配信。18時30分集合予定であったが、事前に連絡があって遅れてくるという話であった。あとで横山のTwitterをみたら日高屋で食事をしていたという。おそらく我が最寄り駅の日高屋であろう。誘われていない悲しさ。

次の瞬間に「こいつらは日高屋に行っていて集合時間に遅れてきたのか。まあ、それはいい。しかし、遅れてきておいて、日高屋に行って遅れたことを謝ることはなく、そして日高屋に行って遅れたことが俺にわかるような形でSNSに書くってのはどういうことだ。日高屋でした雑談の内容まで書いているじゃないか。これは俺のことを舐めてる」と思いかけたが、おそらくこの舐めてる、は、誘われなかった寂しさが嫉妬に転嫁したものでだろう。であるから両氏は全く気にする余地のないことである。こういう場合は誘わせる器量がないものが悪い。なんとかそういう器量をみにつけていきたいと思う。こういうところにこういうことを書いているうちにはそういう器量というのは生まれないとは思うのだが。


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