玉山お助けツアー


     昔、よく聞いていたポッドキャストの更新が携帯に舞い込んだので、久しぶりに聴いた。
『未来世紀サクライ』という番組である。男3人がメインパーソナリティで、それぞれ特に顔出しをしているわけでも、芸能活動をしているわけでもない。年齢は僕よりも少しだけ下ぐらい。30歳前くらいになるのかしら。塾経営者シブヤ氏と、おそらく会社員のジン氏と、会社員を辞めるハン氏とでやっている。
ドゥルーズの話からパチンコの話まで、話題は多岐に及ぶ。難しい話題はアホらしく、アホらしい話題は難しくしゃべるその感じがとっても心地よい、ああいう会話には憧れるし、かくありたい、とおも思うものだ。
ジン氏の博覧強記と知性、シブヤ氏の地頭の良さと陳腐化させるセンス、の間をハン氏が見事に取り持っている。
 しかし3年ほど聞いていない間に、彼らもメンタルを病んだり、会社を辞めたり、大学院に通いだしたり、今まさに会社を辞めようとしたり、と苦労を重ねているようである。
あんなに素敵な知能とおしゃべりのセンスを持っている人々ですら、順風満帆とはいかないのか、と思うと空恐ろしくなる。
それと同時に、そんな状況になってもへらへらとしている彼らにまた憧れたりもする。
なんだろう。しかし、上手くいっていない人たちのユーモア交じりの上手くいってない話って、生理食塩水くらい乾いた精神に沁みてくる。無暗に癒されたように思う。

 あと、昨日は2友人と話をした。一人は同期の講談師・旭堂南歩。もう一人はゴミ収集作業員・横山清正だ。
南歩とはよもやま話。業界㊙裏話をした。
その後は政治の話を。楽しいものだ。
しかし興が乗ってミスタードーナツ店内だというのに「自由」について喋ったりしてしまった。後で聞くと声が大きかった気がする。恥ずかしいものだ。
南歩は僕の後ろ側に座った女がキレイで、彼女ばかりに目を向けていたようだ、今度はもっと南歩の気を引けるような話をしよう。もう少しトーンを落としてね。

 横山清正とは横山清正の近頃の変化について話をした。僕のお気に入りの漫才師の漫才を見せたりもした。結構疲れていたのか、3時間ほど話をして眠ってしまった僕であった。

 翌朝、今日の朝だったが、横山清正は朝7時に家を出て働きに出かけた。僕は横山清正の家で一人呆然と朝を過ごした。僕がたばこを吸うやつでなら、のタイミングで吸えばきっと気分がいいだろうって時間を過ごした。

 一昨日から、玉木青と話をし、旭堂南歩と話をし、横山清正と話をし、合間合間に妻と話をし、なんだか非常に気持ちが楽になったのだった。南歩と駅で別れる時なんか、謎に「助かった、ありがとう」という言葉が出たものなあ。ありがたいことだ。南歩に限らず、本当に助かっている。いつか僕も助けたいものである。

 今日は今から出演する演劇の稽古。それから自宅に帰ったら妻の作ったおでんがあるという。明日の朝は病院、夕方にはビッグイシュー講談の取材。明後日は何だ。ビッグイシュー講談部のお稽古とシラス古畑回。それから3日間本番が続いたり、お稽古があったり。本番があったり、新作を書いたり、と。ともかく暫く休みは無しだ。頑張ろう。高座もまた楽しいものである。


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