ほいけんたさんはすごい

角田龍平の蛤御門のヘンにほいけんたさんが出演されていた。
ほいけんたさんは明石家さんまさんの物まねをされる方で、この日はさんまさんの誕生日ということで、オープニングゲストとしてさんまさんの物まねで電話出演されていたのだった。

僕はほいけんたさんをお見かけしたことがあって、5年以上前だと思うけど、京都にあるカナート洛北、というショッピングモールのスターバックスコーヒーのテラス席で、収録や営業の合間だったのだろうか、芸人の山口智充さんと、何人かの方と一緒にお茶をしておられた。
そのころはもうほいけんたさんを知っていた僕は

「わ、ぐっさんとほいけんたや」

と思ったのを憶えている。
周りの人たちも、山口さんもほいけんたさんもみんな楽しそうにニコニコしていて、見ていてすごく好印象だった。

それから僕はほいけんたさんにはそこはかとない好意を持っている。

そして昨日の角田龍平の蛤御門のヘンだ。
パーソナリティの角田龍平弁護士と、明石家さんま研究家のエムカクさんのトークから番組が始まるのだけれど、すぐにほいけんたさんとの電話がつながる。
ほいけんたさんはずっとさんまさんの物まねしながらしゃべっておられる。

何となく愉快な気持ちになって聞いていたけれど、本当にずっとさんまさんの喋り方なのだ。
時たま素の声に戻られるけれど、それもあくまでアクセント程度、本当にずっとさんまさんだった。

間とか、息の感じとか、次の言葉を捜す時に漏れる声、言葉が出てくるタイミング、語彙すらもずっとさんまさんだった。すごく似ていた。

それが20分続いて全然揺るがないのだ。
ずっとさんまさんだった。

更に驚いたのは、ほいけんたさん自身がほいけんたさんが主人公のエピソードトークを語る時も喋り方はさんまさんなのだ。
そしてそのエピソードトークで笑っている僕。

ほいけんたさんとさんまさんの境界がどんどんあやふやになっていくのがわかる。

そして更にそのエピソードトークの中で、ほいけんたさんはほいけんたさんの体験したエピソードの中の登場人物としてさんまさんを登場させ、その時さんまさん言った言葉を演じられたのだった。
それもごく自然に。
さんまさんが、さんまさんの言葉をしゃべっている時のように。

事ここに至って僕はほいけんたさんの迷宮の中に閉じ込められた気持ちになった。

ほいけんたさんはさんまさんのセリフやフレーズを真似しているわけではなく、精神、魂、Soul、を模倣しているのだ。凄く誠実に。
だからほいけんたさんは揺るがない。ほいけんたさんは凄い。

なんだか聴いていてすごく幸せな気分になれたのだった。

誠実さが作り出した強さのように思えて、伝統芸能という「まねる」ということが修行のスタートになる業界に居る僕には、まねることへの姿勢の神髄を見た気持ちになったのでした。

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