7月13日公演立川文庫続き読み ここまでのあらすじと今回の見どころ


ここまでのあらすじ

 大阪と奈良だけを治める豊臣家に、他全部を統べる徳川家が攻めてくる。マジで豊臣家不利な状況で始まりそうになっている「大阪の陣」。豊臣家危うし。

戦直前人材不足も甚だしく、臆病者と大声の力持ちくらいしかいない豊臣家。一番偉い殿様の豊臣秀頼は二代目で若く経験もない。何より側にずっと母親の淀君が控えていて何かにつけて口を出してくる。そんな殿様舐められるし、そんな母親は裏で無茶苦茶嫌われる。
偉大なたたき上げの先代殿様・豊臣秀吉への尊敬とその威光のみでなんとか主従関係が成立している。という状況。

仕方がないので失業している人間の中で有能そうなのをピックアップして味方に抱き込む。基本的にはよい人材は失業はしていないので、訳ありの人間ばかり新参者として豊臣家の味方になる。

その中で真田幸村という人が居て、この人はかなり有能。豊臣家の戦部門の大臣。戦闘作戦大臣のような立場を得る。
しかしもともと豊臣家にも家来たちがいて、その嫉妬は激しい。
特に、豊臣家の執権職。行政のトップ。総理大臣のような地位にある大野治長は今まで自分が一番の権力者であったのに、ちょっと権限が減った気がしてイラついている。

当然こんなことでイラつく男だから能力も高くはない。真田幸村や、口と態度が悪いせいで誰にも雇ってもらえなかったけど能力は高い後藤又兵衛がいい作戦(外に打って出て敵を各個撃破していく)を提案しても全然乗ってこない。
大野治長は城に籠って相手を迎え撃つ作戦に固執する。
真田幸村と後藤又兵衛は「そんなん、敵は全国から無限にやってくるのにキリないやん」「食べ物とかも補給でけへん」「弾薬も無限やないで」何度も説得しようとする。
でも大野治長はずっと誰にも論破されずに温室育ちでやってきて、おじさんになっているので、万座の前で論破される、ということはとても認められる精神構造ではない。
「いやそんなん言うてもこの大阪城すごい城やから」やら「外に出たら流れ矢とかも飛んでくるけど、その辺、ちゃんと考えてる?」「みんなで頑張ったら大丈夫やから」だのと本質的ではない反論に終始して全然会議が進まない。

会議は紛糾するけれど、真田幸村はマジで有能なので「もうええわ。これ以上会議が紛糾して結束が乱れるくらいやったら、大野治長の籠城作戦で行こう。それで勝てる方法もあるし。一番いい作戦やないけど」と会議を終わらせ合戦が始まる。

 案の定ヤバいぐらいの大軍勢が大阪城に押し寄せて来る
 豊臣家も真田幸村の指示でそれぞれ配置に着く。

 真田幸村は城のちょっと弱いところに自分のこもる「真田丸」という要塞を作ってそこに籠っている。

 両軍にらみ合いの最中。徳川方の大名(今で言うと行政の組織が都道府県ごとに分かれているという感じ)の藤堂高虎。今の愛媛県を治めていた、まあ知事的な男が率いている軍団から渡辺勘兵衛という男が飛び出してくる。
強いことでそこそこ有名な男。課長クラス。がこの真田丸の前までやってきて、やたらと悪口を大声で言う
「臆病者」だの「出てこんかい」だの。他愛のない悪口。
でも今の世の中ではなく、戦国時代しかも戦が起ころうとしている時。腹が立ったら一番殺してもいい時。普通ならば絶対そんなやつは殺すのだけれど、なぜかこの時真田幸村、部下に「殺さなくていいよ」とこの渡辺勘兵衛を放っておかせる
 調子に乗った渡辺勘兵衛、次の日もまた次の日も悪口を言いに来る。そのたびに真田幸村は「殺さなくてもいいんだよ」と部下に言い聞かせる。

 これを聞きつけた大野治長「よっしゃチャンスチャンス。幸村追い落とすで」と殿様豊臣秀頼と、秀頼の母親で事実上の豊臣家の支配者淀君にこのことをよからぬこととしてチクリに行く。

今回の見どころ

 大野治長と淀君は体の関係がある。愛人関係。その二人が大きい権力を持っている豊臣家はろくなものではない。
大体大野治長には妻もいるのだ。妻がいる身の男が、自分より権力のある女にすり寄っていくという。どちらかと言うと、男が女に抱かれているタイプの恋愛関係だろうか。
中々生臭い関係だ。芸人の世界じゃないんだから。人の生き死にがかかっているんだからやめて欲しい。でもそういう内部の腐敗に真田幸村が爽やかに立ち向かっていくさまは魅力的。
 そしてついに合戦が始まる。最初に合戦を行う人選も素晴らしい感じ。様式美だ。誰が登場するかこうご期待。
更に僕の大好きなあの大入道も登場。一言だけ喋って確か後は出てこない。
 更に更に今回はあの、立川文庫といえば、という名キャラクターも師匠パートで登場。超有名人。

 愛欲にまみれた首脳陣、開戦、続々登場する魅力的な人々、をお楽しみに。という感じでしょうか。

今回のめあて・雑感

 なんだか大野治長と淀君に感情移入してきている気がする。幸村みたいな有能なやつの気持ちは僕にはわからない。無能だけれどプライドがある、という人の気持ちだったらなんとなくわかるし、セックスをした相手をえこひいきする気持ちもわかる。そのあたりの折り合いをつけつつ、でも幸村の恰好良さこそ講談のだいご味なので上手く出していかなければならない。
 あとは合戦シーン。本格的な合戦シーンはこの物語の中では初。勢いよく気持ちよく修羅場読みのリズムで語っていきたい。


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