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【第一回】NEC/田町おじさんによる田町の企業分析

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noteでは、主に田町の企業分析・紹介をしていきます。
第一回目の今回は、名門・NECを取り上げさせて頂きます。
結論を先に簡潔に申し上げると、NECはまだまだこれからが楽しみな会社であると言えると思います。
初めてのnote記事になるので、読みにくい、わかりにくい等あるかと思いますが、何卒、御容赦いただけますと幸いです。。

■ アイスブレイク:次の3つのバランスシートのうち、NECはどれでしょうか?

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いずれも田町に本社を置いている会社ですね。
ピンと来ない方もいるでしょうか?
ピンと来ない方や、バランスシートって何?という方は、
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それでは、回答です。

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まず、AとCがリースではない「有形固定資産(土地・工場など)」が目立つので、メーカーであるNECか森永乳業のいずれかだなと考えることができます。
次に、Aは「無形固定資産」、即ちソフトウェアや特許といった資産があるので、NECぽいかな?と考えることができます。
**会計クイズ用TwitterでBの回答が多かったので、ファミマのバランスシートについて、最後掲で少し見てみます**

それでは、ここから、NECの財務諸表の形や、暗黒時代を乗り越えた方法、田町おじさん的NECの展望を考察していきたいと思います。
有価証券報告書」をベースに、見ていきたいと思います。

Ⅰ. NEC株価推移と財務諸表

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NECの株価推移と財務諸表の形を見ていきます。
株価は、足元、2020年7月17日現在の終値で5,660円と、高値圏で推移しています。

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バランスシート(B/S)損益計算書(P/L)はこんな形です。

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少し、詳しく見ていきます。まずはバランスシートからいきます。

Ⅱ. NECの貸借対照表(20/3期)

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アイスブレイクでも紹介した通り、NECはメーカーなので、製品を製造するための自社保有の土地・建物・工場を保有していて、それがバランスシートで「有形固定資産」としてみて取れます。

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そして、メーカーらしく、「棚卸資産」(簡単に言えば在庫と最終製品を作るための半製品)をしっかりと確認することができます。

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NECは、ソフトウェアの販売もしていますよね?
そういった形を持たないものは、「無形固定資産」として計上されるため、これもバランスシートの特徴の一つです。

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財務の健全性は、どうでしょうか。
自己資本に対する有利子負債の割合を示す、「D/Eレシオ」という指標(Debt:債務、Equity:資本)も、一般的に1を下回っていればよい、とされているので、悪くないですね。
D/Eレシオは、要するに、返さなくていい手持ちの資金に対して、借金どれくらいありますか?という指標です。
NECは財務体質も健全だな、というのがわかります。

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バランスシートから、NECはメーカーらしい資産の持ち方をしていて、財務体質も悪くない企業であることが、わかります。
ここからは、では、どれくらい儲かってるの?効率的に儲かってる?ということを、損益計算書から見てみたいと思います。

Ⅲ. NECの損益計算書(20/3期)

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メーカーなので、当然、原価(材料費や人件費)がかかってきます。売上高に対する原価の割合、「売上高原価率」は、一般的な水準です。

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本業での儲けである営業利益は、売上高に対して4.12%と、NECが目標とする5.0%は未達ですが、前年の1.98%からは大きく改善しており、これも悪くないです。

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持ってる資本をうまく効率的に使って稼いでる?ということを表すROE(Return On Equity)という指標も、大幅に改善、10%台に乗せています。

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財務体質も悪くない。儲けも改善傾向でいい感じ、というのがわかってきました。
では、キャッシュの使い方はどうでしょうか。手元キャッシュはきちんとあって、成長のための投資にしっかり使っているのでしょうか。
キャッシュフロー計算書で、さくっとそれを確認したいと思います。

Ⅳ. NECのCF計算書(20/3期)

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NECは、稼いだ範囲内で投資にお金を回し、有利子負債も返済をしていっていることが、キャッシュフロー計算書から見て取れます。
個人的には、もうすこし、投資にキャッシュを回してもいいのでは?と思いますが、無理のない、健全なキャッシュの使い方をしていることがわかります。

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直近の業績だけ見ると、健全そうに見えるNECですが、暗黒時代がありました。少し振り返ってみたいと思います。

Ⅴ. 暗黒時代からの復活

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現在の1/5の株価だった時代がありました。

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過去10年、売上高と営業利益は、堅調に推移してきたことがわかります。

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株価低迷期は、当期純利益で赤字を計上していたことがわかります。

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なにがあったのか?
事業構造改革費」というのを計上していることが、過去の有価証券報告書からわかります。簡単に言えば、リストラです。
早期退職には退職金が必要になるので、費用として認識。構造改革を、赤字になってでも断行をしていたということ。
しっかりと稼ぐ組織になるために、経営判断が下されたんだなぁということがわかります。
もう一つ大きく影響しているのが、「法人税等調整額」ですが、これは前年の東日本大震災に伴う復興増税に対応するために、特別に計上されたもの。
即ち、売上・営業利益は堅調であったものの、一過性の「特損」が影響して当期純利益で赤字を計上、株価低迷につながったことがわかります。

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当時の日経新聞での報道と、早期退職の結果に関するプレスリリース。

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暗黒時代に何があったか、わかったところで、直近に目を向けてみます。
19/3期から20/3期にかけて、利益が大きく改善されていることがわかります。
要因はなんでしょうか?

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19/3期も、事業構造改革を断行していたんですね。

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NECのここまでの成長(利益拡大)のドライバーは、コストカットにあると言ってしまっても過言ではないと思います。

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個人的なNECに対する考察を、さくっと書かせていただきます。

Ⅵ. 田町おじさん的NECの考察

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過去10年、NECの売上はほぼ横ばいです。即ち、10年間売上を伸ばせていないということ。

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19/3期→20/3期の様に、売上が横ばいで、利益を上げてきたということは、コストカットをしてきた、ということです。
ただ、そのコストカットは痛みを伴うものにも関わらず、しっかりと利益を出していくための経営判断ができて、実行ができる企業と言うこともできます。
これまでは構造改革などに時間とコストを費やしてきたNEC。
これからは、実行力を活かし、投資にもっとキャッシュを回して、アップサイドをどう作っていくことができるかがポイントになりそうです。発射台は整ったので、あとはどう飛躍するか。

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5Gでの取組や、画像認識技術、テレワークの普及など、NECにとってアップサイドを作っていく好機なので、非常に楽しみです!

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(出所)日本経済新聞 2020年7月3日 朝刊

最後に、同業の富士通との比較を参考までに共有します。

Ⅶ. 参考:競合 富士通との比較

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富士通と比べて、一言で言っちゃうと「まだまだ」という状況です。
バランスシートの大きさはたいして変わりないも、P/Lはかなり差が開いています。やはり、アップサイドをいかに作っていくかが大事。月並みですが。
田町のNECの下剋上に期待です!

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**ご参考:ファミマのバランスシート**

会計クイズ用TwitterでBの回答が多かったので、ファミマのバランスシートについて少し見てみます。
「使用権資産」は「リース負債」とセットなのですね。「使用権資産」について、全然知らなかったので、大変勉強になりました…。
IFRS16号によって、2019年から適用になったのですね。

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(出所:EY新日本有限責任監査法人ホームページ)

今一度、ちゃんとファミマの有価証券報告書をみてみると、固定負債のところで、「リース負債」が切り出されて記載されてました。

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肝心の「使用権資産」(リースして使用しているもの)の中身を見てみると、店舗や物流センターであることがわかります。
ムスブ田町の本社もリースなんですね。
NECは自社ロケットビルなので、純粋な有形固定資産で、違いが出てます。

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以上、長くなりましたが、お読み頂き、ありがとうございました。 

田町おじさん

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