【マーケティング解説②】マーケティングの戦略立案の方法

・前回はそもそものマーケティングとは何か、という点をご説明しました。
・ここでは、具体的にどのようにマーケティングの戦略立案をすればよいのか、という点をご説明します。
・特に考える順番があるわけではなく、以下の4つの要素を相互に行き来しながら漏れなく検討し、結果として統一感のある戦略を立てることになります。
1提供価値:どのような価値を提供するのか
2顧客:誰に提供するのか
3競合:顧客に対する提供価値が競合する先はどこなのか
4差別化:顧客が競合ではなく自身を選んでくれる理由は何か
5強み:競合が自身を模倣することができない理由は何か
64P:戦略を実現する4つの手段。プロダクト、プライス、プレイス、プロモーション

1提供価値

・提供価値については、前回ご説明した通り、顧客に対して製品ではなく、どのような価値を提供するのかという点から考える必要があります。

・また、その価値は、①どのような機能的価値・情緒的価値を実現しているのか、②その裏側にある人間の欲求(肉体、精神、社会的生存)を満たしているのか、を確認します。

2顧客

・顧客はマーケティング戦略の中核です。というのも、他の要素は顧客次第で決まるので、戦略を考える上で迷ったら戻ってくる要素だからです。
・顧客を決める上での必要条件は以下の通りです。(前回の自販機のおしるこ(冬の職場・学校の休憩中の人)で具体例を書きます)
①提供価値を評価してくれる(甘くて温かい飲み物で温まりたい)
②その価値を必要とする度合いが高い(冬の時期に手軽に温まりたい)
③価値に対してお金を支払う意欲がある集団である(120円くらいなら気負わず支払える)
④具体的な購入者の姿が具体的に想像できる(冬の職場・学校の間の休憩時間におしるこでさっと温まる)

3競合

・提供価値と顧客がきまれば、競合も決まります。
・というのも、提供価値を必要とする顧客にとって、他の選択肢を提供する先全てが競合になるからです。
・冬の職場・学校の休憩中の人を顧客に設定した自販機のおしるこでいえば、温かいミルクコーヒーやコーンポタージュ(温かい飲みもの)、ホッカイロやストーブ(温まる)、タバコ(くつろぐ)といったものが競合になるでしょう。

4差別化

・競合に対して、顧客から見て自身の提供価値を選ぶための理由を見つける必要があります。
・方向性(やはりおしるこで具体例を書きます)として、①提供価値を若干犠牲にして手に入れるハードルを下げる(日本産ではなく外国産のあずきを使って価格を下げる)、②提供価値の高さ(最高品質のあずきを使う)、③提供価値のカスタマイズ(つぶあんとこしあんを用意する)、があります。
・ですが、これらの方向性は全てを追求することは難しいので、どれにするか選択する必要があります。
・例えば、①と②、あるいは①と③はトレードオフ、どちらかを選べばどちらかを犠牲にする関係にあります(最高品質のあずきを使えばおしるこの価格は上げざるを得ない、つぶあんとこしあん用の生産ラインを用意すれば投資費用が必要になるので、やはりおしるこの価格は上げざるを得ない)。

5強み

・差別化を実現するための自身特有の強みを見つける必要があります。
・例えば、やはりおしるこでいうと、
①提供価値を若干犠牲にして手に入れるハードルを下げる
日本産ではなく外国産のあずきを使って価格を下げる→外国産のあずきを仕入れる商社を子会社として持っている。
②提供価値の高さ
最高品質のあずきを使う→あずきの生産農家と共同開発で、おしるこ用に特化した高級あずきを開発
③提供価値のカスタマイズ
つぶあんとこしあんを用意する→つぶあんとこしあんのそれぞれの生産ラインを保有する

6 4P

・提供価値を実現するための具体的な方法で、以下4つの要素に分けられます(やはりおしるこで具体例を書きます)。

①プロダクト:顧客が価値を実現する手段(商品)


・顧客(冬に職場・学校で休憩中の人)は、価値(甘くて温かい飲み物で温まる)を商品(自販機のおしるこ)を通じて実現します。

②プロモーション:プロダクトの価値を顧客に認知してもらい、購入を促す手段


・顧客と取引するためには、大きく分けて2段階あり、①プロダクトとその提供価値を顧客に認知してもらう、②認知した顧客に購入を促す必要があります。そのための手段がプロモーションです。
・①の顧客に認知してもらう手段が広告になります。
・広告の媒体には新聞チラシ、CM、ダイレクトメール、ネット広告、口コミといろいろありますが、重要な点は顧客に提供価値と差別化が伝わることです。逆にいうと、上記の要素の中の強みは顧客に伝わる必要は必ずしもありません。
・おしるこでいえば、最高品質のあずきを使っている点を、あずきの生産農家が農作業をするシーンとともに伝えて、好感度の高い女優がおしるこを飲んでほっこりするシーンでシメる、といったCMが考えられるでしょう。
・②の顧客に購入を促す手段が販促です。顧客に購入の後押しをすることが狙いです。おしるこでいえば、自販機に先ほどの女優の写真と一緒に商品をPRするPOPを貼る、といったものでしょう。

③プレイス:顧客に価値を届けるルート

・顧客がプロダクトを手に入れるまでのルートの設計です。おしるこでいえば自販機そのものになります。

④プライス :顧客が価値に対して支払う価格

・顧客が提供価値に対して支払う対価の設計です。今までの要素との整合性が重要になりますが、特に、差別化で、①提供価値を若干犠牲にして手に入れるハードルを下げる、を選ぶか、②提供価値の高さ、③提供価値のカスタマイズ、を選ぶかで方向が決まります。①の場合は、低価格路線で、②または③の場合は高価格路線になります。

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