【サイクル投資その1】投資の本質

・投資という言葉の定義にはいろいろあります(仮想通貨に投資する、キャリアのため自己投資する、、)が、ここでは株式や債券といった金融商品の投資の話をしたいと思います。
・投資とは、一言で言うと何でしょうか。
・預金だと利息はほとんど入りませんが、アメリカの代表的な株価指数であるS&P500に連動する投信に投資していれば、過去10年(2010/12~2022/1)で2.6倍程度の収益を獲得することができました。100万投資すれば260万円になるわけです。
・この違いはどこから生まれるのでしょうか。
・それは、不確実な将来に賭けることができたがどうか、ということではないでしょうか。
・預金は銀行が潰れない限り預金として払い出しできますが、株価はリーマンショックのような危機が起きれば、投資した金額の半分どころか、個別の株に投資していれば最悪倒産して残るお金はゼロ円になります。
・つまり、投資とは、利益を追求するためにリスクを負うことです。リスクとは、知り得ることができない未来の結果です。

・では、投資で成功するためには何が必要なのでしょうか。
・先に結論を言うと、リスクに対して投資家(年金など機関投資家から個人まで)がどのようなスタンスでいるか、把握することが大切になります。
・というのも、投資で一番儲かるのは、投資家がリスク回避的になり、資産価格が下落したときに投資することだからです。
・逆にいうと、投資で一番損をするのは、投資家がリスクに楽観的になり、資産価格が上昇したときに投資することです。

・このことは、簡単に図にすると以下のようになります。

リターンとリスクの関係

・線の傾きは、投資家がリスクに対してどのようなスタンスでいるか、ということを指します。
・例えば、AとBの資産でいうと、Bの資産は、Aの資産に対してリスクの増加分(X)見合いでリターン(Y)の増加分がなければ投資対象にはならない、ということです。
・つまり、高リスクの資産は、高リターンに見えないと誰も投資してくれない、ということです。この際、リターンは資産価格の変化を通じて調整されますので、投資家にとって、各資産のリスクに対して適切なリターン水準(リスクプレミアム)・資産価格がある、ということになります。
例:投資期間1年後に株価が110円になる株に投資して10%のリターンを要求するときは、現在の資産価格は100円になるまで調整されます。

・以上を前提として、投資家のリスクに対するスタンスが楽観的になる場合、次のような調整が行われ、線の傾きはフラットになります。

要求リターンが下がり、資産価格が下落する

・線の移動が意味しているところは、投資家がリスクに対して楽観的、つまりリスクを低く感じるときは投資家が要求するリターンは下がり、調整のために資産価格は上昇することになる、ということです。
例:投資期間1年後に株価が110円になる株の場合、要求リターンは10%から5%に下がると、現在の資産価格は100円から104.7円まで上がります。
・結果として、投資家が楽観的なときは資産価格が高くなってしまうので、実は損失を拡大するという意味でのリスクは大きくなっている、ということです。
・リスクに対して楽観的になることが、リスクを増大させているのです。

・このことは、逆にしても成り立ちます。以下をご覧ください。

要求リターンが高まり、資産価格は下落する

・投資家が慎重になりリスクが高い、と感じているときは、投資家が要求するリターンの水準は下がり、資産価格は調整のために下落することになります。
・先ほどとは逆になりますが、投資家が慎重なときは資産価格が下落しますので、実は利益を拡大するチャンスが到来している、ということです。

・投資で成功する鍵は、①投資家がリスクに対してどのような見立てをしているのか見極め、②投資家が楽観的なときは保守的な運用を行う、③投資家が慎重なときは積極的な運用を行う、といえるのではないでしょうか。

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