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所得税の節税ポイント④扶養親族に対する人的控除

ご両親、子供さんを扶養している方々へ、人的控除もれはありませんか?
まず初めに、「扶養親族」の定義を確認しておきましょう。
扶養親族とは、所得者本人と生計を一にする親族合計所得金額48万円以下である人をいいます。

 合計所得金額とは、給与所得、不動産所得、事業所得などすべての種類の所得金額を合計した金額です。ただし遺族年金などの非課税収入、確定申告をしないことを選択した上場株式の配当および譲渡益などは含めません。

 親族とは、6親等内の血族および3親等内の姻族をいい、配偶者も親族に含まれますが、ここでは配偶者を除きます。
 まれなケースですが、里子(児童福祉法の規定により里親に委託された18歳未満の児童)、養護受託老人(老人福祉法の規定により養護受託者に委託された65歳以上の人)も扶養親族に含みます。


控除対象となる扶養親族

 扶養親族のうち控除対象となるのは、所得者と生計を一にする年齢16歳以上の親族です。年齢16歳未満の年少扶養親族には控除がありません。
 「同一生計」とは、必ずしも同居を要件とするものではなく、生活の原資が共通であるかどうかで判断します。
 そのため単身赴任や修学、病気療養等の都合で別居していても、余暇には起居を共にする場合や生活費、療養費の送金が行われている場合は同一生計として取り扱います。

控除対象となる扶養親族1人につき、38万円の扶養控除が認められます。
いかがでしょう、1人当たり月々31,666円で扶養できそうでしょうか。


同一生計・年齢16歳以上・所得48万円以下


 さらに、子ども手当の支給年齢を引き上げる一方で、扶養控除の適用年齢を見直す動きがあります。今後の改正にも、注目しておきましょう。


年齢で控除額が上乗せされる

お金がかかる世代の扶養親族は、年齢に応じて控除額が上乗せされます。

年齢19歳以上23歳未満である人を「特定扶養親族」といい、特定扶養親族については、63万円(一般の扶養控除38万円に25万円を上乗せ)の扶養控除が認められます。ちょうど大学等に通うお金がかかる世代への上乗せであり、「すねかじり控除」なんて呼ばれていました。

 もちろん、同一生計であり合計所得金額が48万円以下であることに加え、年齢要件を満たせば学校に通っていなくても特定扶養控除は適用されます。

 続いて、ご両親を扶養している場合にも年齢で控除額が上乗せされます。
 まず、年齢70歳以上の「老人扶養親族」は48万円(一般の扶養控除38万円に10万円を上乗せ)の扶養控除が認められます。離れて生活している両親に仕送り等をしている場合における控除の上乗せという感じです。

 さらに、老人扶養親族のうち、次のいずれにも該当する「同居老親等」は58万円(一般の扶養控除38万円に20万円を上乗せ)の控除額となります。  ① 所得者本人またはその配偶者の直系尊属(父母または祖父母)である人
所得者本人またはその配偶者のいずれかと常に同居している人

 直系尊属であることが条件ですので、所得者本人または配偶者の両親または祖父母に限ります。
 所得者本人または配偶者のいずれかとの同居が求められています。なので所得者本人と配偶者が転勤等で老親等と別居してしまうと、たとえ所得者の子供(お孫さん)が老親等と同居していても同居老親等に該当しません。
 所得者本人が単身赴任等で別居していても、所得者の配偶者が老親等と同居していれば同居老親等になります。
 いやに条件が細かすぎますね。

 所得者本人または配偶者のいずれかとの同居を常況としている老親等が、病気治療等のために入院していることでの別居であれば、同居老親等に該当します。しかし老親等が養護老人施設等に入居している場合は、同居老親等に該当しません。
 また、所得者本人またはその配偶者の居宅と同一敷地内にある別棟の建物に老親等が居住している場合でも、食事を一緒にするなど日常生活を共にしている場合には同居老親等に該当します。

 
 年齢は年末時点で判定しますが、扶養親族が年の途中で死亡した場合は、死亡日の年齢によります。また誕生日の前日が満年齢となります。


障害者である場合の控除額の上乗せ

 扶養親族が障害者である場合、一般の障害者は27万円、特別障害者は非同居であれば40万円、同居特別障害者は75万円の障害者控除が適用されます。   
 障害者控除は、年齢16歳未満の年少扶養親族にも適用があります。

 なお同居特別障害者とは、扶養親族のうち、次のいずれにも該当する人をいいます。
 ① 特別障害者である
 ② 所得者本人または所得者と生計を一にする親族のいずれかとの同居を常況とする

 ここでの同居は、先ほどの同居老親等とは異なり、同一生計の親族のうちどなたかと同居していれば良いことになっています。


扶養親族に対する控除を整理しましょう


 扶養親族に対して1人当たり38万円、年齢に応じた控除額の上乗せなど、人的控除の適用もれがないか、ご確認ください!
  


 

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