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配当控除で税金を取り戻せる人は?

 配当控除は、配当所得を総合課税で確定申告する場合に適用されます。
 所得税と住民税の合計税率から配当控除率を差し引いた実質負担税率が、
配当等の源泉徴収税率20.315%より低い場合には、配当控除を受ける方が
税金面で有利です。基本的に、課税所得金額695万円が損得ラインです。


配当控除の控除率

 配当所得を「総合課税」により申告する場合は、「配当控除」の適用を
受けられるとともに、源泉徴収税額は納付すべき所得税から差し引きます。
 総合課税では、源泉徴収前の税込みの配当収入金額を他の所得と合計し
て所得税は5.105%~45.945%の超過累進税率により、住民税は一律10%の
税率により課税されます。
 配当控除とは、配当所得に一定の控除率を乗じた金額を税額から控除す
る制度です。控除率は、配当所得を含めた課税総所得金額が1,000万円以
下の部分は12.8%(住民税の控除率2.8%を含む)、課税総所得金額が1,000
万円を超える部分は6.4%(住民税の控除率1.4%を含む)となります。


課税所得695万円が損得ライン


 基本的には、課税総所得金額が695万円以下であれば、所得税と住民税の
合計税率から配当控除率(12.8%)を差し引いた実質的な税率17.41%が、
配当等に対する源泉徴収税率20.315%よりも低いため、総合課税により申告
する方が税金面で有利になります。

 その一方で、配当所得の確定申告により合計所得金額が48万円を超える
と配偶者控除や扶養控除の適用を受けられなくなることに注意が必要です。
 また、専業主婦の妻に130万円以上の恒常的な配当収入があると夫の社会
保険の被扶養者から外れて、新たに国民年金や国民健康保険料の負担が発生
したり、自営業者が配当収入の申告をすることで所得が増えれば、国民健康
保険料が上がります。
 そのため、配当控除を受ける損得は税金面だけでなく、社会保険料の負担も考慮しなければならないことに注意してください。

 結果として、課税総所得金額が695万円以下である給与所得者、あるいは
他の人の控除対象配偶者または控除対象扶養親族となっている人で配当所得
を含めた合計所得金額が48万円以下の人は、配当所得を総合課税により申告
した方が有利となります。

 いずれにも該当しない人は、上場株式等の配当等は源泉徴収により課税終了とする「申告不要制度」が有利となります。

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