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報酬から源泉された所得税を取り戻す⑤2号報酬(弁護士等)で稼ぐ人


第2号は公的な資格等で稼ぐ人

 所得税204条第1項第2号(弁護士報酬等)に規定する源泉徴収すべき
報酬等の内容は表のとおりです。
 基本的には、弁護士、司法書士、社会保険労務士などの公的な資格を保
有する人の業務に関する報酬として支払われるものが対象となります。

 ただし、経営コンサルタントと称する人に対して、企業の調査と診断、
または企業経営の改善および向上のための経営指導料として支払う報酬
についても「企業診断員」に対する報酬として源泉徴収が必要です。
 なお、弁護士法人または税理士法人に対して支払う報酬に関しては、
源泉徴収の必要はありません。

 また、「・・・の業務に関する報酬等」と書かれているとおり、専門的知識
に付随して行う業務も含まれます。
 たとえば、弁護士が受ける破産管財人としての報酬、公認会計士または
税理士が受ける報酬で国会議員関係政治団体が提出する収支報告書の政治
資金監査報酬も源泉徴収の対象となります。

 ただし、これらの専門家が原稿料や講演料での報酬を受け取る場合には、
第1号報酬(原稿料等)として源泉徴収されます。基本的に、第1号報酬と第2号報酬の税額計算方法は同じですが、次に見る司法書士等については、
同じ人に対する支払であっても、本業での業務に関する報酬と原稿料等では計算方法が異なります。

 
<参考>「2号報酬」に含まれるもの
 (所得税法204条第1項第2号/所得税法施行令320条第2項)
◆弁護士(外国法事務弁護士を含む)の業務に関する報酬等
◆司法書士の業務に関する報酬等
◆土地家屋調査士の業務に関する報酬等
◆公認会計士の業務に関する報酬等
◆税理士の業務に関する報酬等
◆社会保険労務士の業務に関する報酬等
◆弁理士の業務に関する報酬等
◆海事代理士の業務に関する報酬等
◆測量士の業務に関する報酬等
◆建築士の業務に関する報酬等
◆不動産鑑定士の業務に関する報酬等
◆技術士の業務に関する報酬等
◆計理士、会計士補、企業診断員(企業経営の改善および向上のための指導を行う者を含む)、測量士補、建築代理士、不動産鑑定士補、火災損害鑑定人もしくは自動車等損害鑑定人、技術士補の業務に関する報酬等

(注)企業診断員には、中小企業診断士だけでなく経営士、経営コンサルタント、労務管理士等と称するような者も含む

第2号報酬に対する源泉徴収税額

1.第2号報酬(2を除く)
 源泉徴収税率は、報酬に対して10.21%ですが、同一人に対する1回の支
払金額が100万円を超える部分の金額については20.42%となります。

 ①報酬の支払金額が100万円以下の場合
  源泉徴収税額=報酬等×10.21%
 ②報酬の支払金額が100万円超の場合
  源泉徴収税額=(報酬額-100万円)×20.42%+102,100円

 上記の2段階税率の適用について、実務的には「同じ人に1回に支払わ
れるべき金額が100万円を超えるかどうか」で判断します。同じ人に1回に
支払われるべき金額が100万円を超えるかどうかは、現実に1回に支払われ
る金額で判断してよいことになっています。 
 たとえば、原稿料150万円のうち契約時に50万円を先払いし、残額100万円
は校了時に支払う場合は、原則は、150万円に対して2段階税率を適用すべきですが、支払いごとにそれぞれ10.21%の税率を適用しても構いません。

 反対に、1回に支払うべき報酬70万円の2口分をまとめて1回に支払う契約である場合は、原則は、それぞれ税率10.21%を適用すべきですが、実際に支払う140万円に対して2段階税率(100万円までは10.21%、100万円を超える部分は20.42%)を適用しても差し支えありません。

2. 司法書士、土地家屋調査士、海事代理士に対する報酬
 司法書士等の業務に関する報酬等については、同じ人に対して1回に支払う金額から一定額を控除した残額に対して、10.21%の税率で源泉徴収するという「基礎控除方式」がとられています。報酬から控除する金額は、相手方が必要とするであろう諸経費を源泉徴収の対象から除くという考え方です。
  (報酬額 - 1回の支払いにつき10,000円)×10.21%

 

立替経費と源泉徴収

 報酬の支払者側が負担すべき印紙、証紙、登録免許税等を立替払いして、報酬と合わせて請求する場合において、請求書において立替金であることを明確に区分しているならば、源泉徴収の対象に含めないことができます。
 たとえば、登記申請などをするために納付すべき登録免許税、手数料などに充てるものとして支払われたことが明らかな立替分の登記印紙代については源泉徴収の計算に含める必要がありません。



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