見出し画像

所得48万円以下が扶養控除要件の理由


個人の税金⑨


合計所得金額48万円のカベ


 配偶者控除または扶養控除は、所得者本人と生計を一にする配偶者または親族(年齢16歳以上の人に限る)のうち、合計所得金額が48万円以下の人に限り適用されます。

 なぜ、収入ではなく所得、そして合計所得金額で判定するのでしょうか。

 配偶者または扶養親族の合計所得金額が48万円以下であるということは、その人の基礎控除48万円を差し引くと課税所得金額が0円となります。

 所得税では、課税所得金額0円で納付税額がない親族を人的控除の対象とするため、合計所得金額48万円以下であることを要件としています。 
 

 給与所得だけ得ている親族の場合は、給与収入が103万円以下であれば、合計所得金額は48万円以下となり扶養控除の対象となります。
 親族に給与以外の所得がある場合は、合計所得金額という名前のとおり、すべての所得(儲け)を合計した金額が48万円以下である必要があります。 

 たとえば、公的年金収入による雑所得、ピアノ講師による事業所得などがある場合には、すべての所得(=収入-必要経費)の合計額で判定します。

 収入(稼ぎ)ではなく所得(儲け)であること、さらに、すべての所得を合計した合計所得金額で判定するということが大切なポイントです。


控除要件は年末において判定



 控除対象配偶者または扶養親族に該当するか、あるいは障害者に該当するかどうかは、年末の現況により判定します。
 ただし、控除対象配偶者や扶養親族が年の中途で死亡した場合は、死亡日の現況により判定します。
 死亡日に要件(同一生計で合計所得金額48万円以下)を充たしていれば、その年分は配偶者控除や扶養控除などの対象となります。

 年齢についても年末の現況で判定しますが、控除対象配偶者や扶養親族が年の途中で死亡した場合には、死亡日の年齢により控除額を計算します。

 たとえば、年末迄ご存命であれば70歳となる予定の配偶者や扶養親族が、年の途中で69歳で亡くなった場合には、老人控除対象配偶者または老人扶養親族の上乗せ控除は適用されないこととなります。



すべての儲けを合計した「合計所得金額」



 控除対象配偶者や扶養親族としての控除要件である「合計所得金額」は、総所得金額、退職所得金額、山林所得金額、申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得、確定申告をした株式等の譲渡所得の金額、土地建物等の譲渡所得金額などの合計額をいいます。

 所得の種類ごとに、所得金額(儲け=収入-必要経費)を計算します。
 その年中の特定の赤字と黒字は相殺(損益通算)しますが、過去の赤字(損失)は繰越控除する前の所得に対して暦年ベースで課税されます。

 所得税が課税されない遺族年金、雇用保険法による失業給付、源泉分離課税とされる利子等、確定申告をしないことを選択した上場株式等の配当および上場株式等の譲渡所得などを合計所得金額に含める必要はありません。

 しかし、上場株式等の配当につき「配当控除」を受けるために確定申告をすると合計所得金額に含めなければならないので注意が必要です。


合計所得金額が48万円以下である
親族は課税所得金額が0円であり
世帯主等の扶養控除の対象となる



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?