破片をひろう指先よ、の話。

新年早々、食器を割った。わりかしよく食器を割るタイプの人間なのだが、そのわりに、割るたびけっこうしょんぼりする。

気に入ったものに不変を求めてしまうのは、よくない癖だなとおもう。いつか壊れるし、いつか変わる。「新しい食器を買いに行こう!」とウキウキできる性質なら、もっとよい人生だったのだろうか、などと思い始めてしまって、そういうところが、そういう考えが、ねえ、と自分を諫める。

それでもしばらくきっと新しい食器を買う気になれず、鍋からうどんをすすったりするだろう。私の人生はそういう人生だ。

なんとなく食欲が落ちて、料理をする気にもなれず、お餅にずいぶん助けられている。焼くだけでうまい。あんこや、チーズや、好きなものを乗っけて食べる。あと今日食べたのは、チョコクロワッサンをみっつと、スーパーの中華総菜盛り合わせ。今はチョコレートをもりもり食べている。すこし自棄になっているのかもしれない。自分を大事にできるときは、体に良いものを食べられるけれど、そうでない日もある。

食器を割った程度のことで泣いたりはしないけれど、なんだか目鼻のあたりが熱くてキュッとするので、鍋でココアでもつくって飲もう。鍋でつくるココアは、味も香りも濃くてほんとうにおいしい。どうしようもなく泣きたくなった夜に、きっと似合う。

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