瓶底眼鏡から裸眼生活になりました〜ICL手術体験記・一年健診〜



 ご無沙汰しております、田丸久深です。
 2022年の2月に受けたICL手術。一ヶ月検診までこつこつと書いていましたが、その後は特筆することもなく順調に一年が過ぎていました。
 手術を受けてから快適な裸眼生活を送っていますが、周囲やTwitterからICL手術について質問をされることが増えてきたため、一年を良い区切として記事に書いていきたいと思います。


・三ヶ月検診
 手術直後は両眼とも1.5の視力でしたが、三ヶ月検診では右が1.2の左が1.5。視力は日々変動がありますが、右目がなんとなくぼやける印象。しかし乱視のレンズを入れるほどでもない……という感じ。しかし両眼で1.5見えているので日常生活に問題はありません。
 一ヶ月検診の記事で書いた眼精疲労については、三ヶ月検診の段階でも長時間のパソコン作業などでは疲れ目を感じることが多かったです。
 術後、たまたま立ち寄った富○メガネのおじさんに相談したときに「今は目が視力調節の筋トレ中なんだよ」と言われていたので下手にリーディンググラス(老眼鏡)を作ることはせず、長時間の作業用に念のため軽い度数を用意してみましたが、ほとんど使うことはありませんでした。
 三ヶ月検診は五月。実は疲れ目よりも気になる症状があって、診察の際にドクターに相談していました。ちなみに術後の検診はいつも執刀医とは別の先生です。

「先生、朝起きると目がかゆいんです……」

 目の中に異物を入れた影響だろうか。眼精疲労で目に負担がかかっているせいだろうか。診察時に相談したところ、ドクターがしみじみと呟きます。

「今年、シラカバ花粉の飛散量が多いんだよね~」
「花粉」
「花粉症って言われたことない?」
「なんとなく鼻水が出るようになった気はするけど……」
「目に傷は付いていないからそういった原因ではないんだよね。疲れ目の薬と一緒にアレルギー用の目薬も出しておくから、それを使ってみて」

 と言われてアレルギーの目薬を使ったところ、かゆみはたちどころにおさまったのでした。
 北海道はスギ花粉のかわりにシラカバ花粉症になる人が多く、ここ数年で自分も花粉症らしき症状が出ていることは自覚していました。
 しかし、今まではメガネやコンタクトである程度眼球が保護されていたからでしょうか、目が熱いな~とは思ってもかゆみを感じることはなかったのです。
 認めます、わたしもついに花粉症デビューしました。


・六ヶ月検診
 視力測定の結果は右が1.0~1.2の左が1.5。右目はもともと軽い乱視があったので、じわじわそれが戻ってきた感じでしょうか。角膜内皮細胞の数も2900と2200と問題なし。
 手術から半年が過ぎると、眼精疲労もあまり気にならなくなっていました。
 疲れ目対策としてルテイン&ビルベリーのサプリや寝る前のホットアイマスクを取り入れ、こまめにケアをするうちに次第に気にならなくなっていったので、ピント調節の筋トレが終わって馴染んでいったのかな……と思っています。
 しかし、半年が経っても相変わらずハログレアが続いています。光がにじんで見える「グレア」はメガネやコンタクトをしていたときも普通に見えていたので気になりませんが、光の輪である「ハロ」はやっぱり気になる。手術直後から比べると頻度は減りましたが、夜に車の運転をすれば対向車やサイドミラーに反射する光で視界がうっとうしいったらない。
 今回も診察でドクターに相談してみます。

「疲れ目は気にならなくなったんですが、ハログレアが相変わらずです」
「だいたい半年くらいで気にならなくなる人が多いんだけど、光に対して敏感な体質なのかもしれないね〜」

 と、あっさり。ハログレアに関しては時間とともに慣れていくしかないので、一年検診の頃には気にならなくなっていると良いなと思いながら終了しました。


・八ヶ月目
 次の検診は一年後の二月の予定でしたが、実は八ヶ月目の十月に病院に駆け込んでいました。
 朝起きると、視界の真ん中に黒い点のようなものが見える。時間が経つと消えていくけど、毎日続くとどうも気になる……というわけで、病院で眼底検査をしてみました。

「網膜に問題はないから大丈夫だよ、安心してね」
「じゃあ寝起きに見える黒い点はなんでしょう?」
「たぶんね、ドライアイの影響だと思います」
「ドライアイ」

 ICL手術でコンタクトレンズから解放され、劇的に改善していたドライアイ。しかし、涙の量を調べる薬を入れるとドライアイの傾向があったようです。

「寝ている間は涙の量が減るから、寝起きはどうしても目が乾いているんだよね」
「そういえば、最近はパソコン作業ばかりで疲れ目もあったような……黒い字が青く見えるのも眼精疲労ですよね?」
「え~そんな症状はじめて聞いた(笑)」

 ちょっと、ドクター! と思いつつ、診察は終了。網膜に問題がないことがわかれば一安心。実際、目に負担のかかる期間が落ち着くと寝起きの黒い点も見えなくなっていました。
 ところで、眼内レンズが入っている状態の眼底検査はなかなか愉快な視界になります。
 ハロの光の輪は目の中のレンズに沿って輪の大きさが変わるのですが、月日が経つにつれそれらもあまり見えなくなっていきます。しかし、眼底検査をするとその輪が復活してすべて見えるような感じ。蛍光灯の光が二重にも三重にも見えるのです。
 地下鉄の電光掲示板を見れば、

『電車が参ります』
 『電車が参ります』
  『電車が参ります』

 というパラレルワールド感。今後眼底検査をするたびにわたしはこんな視界になるのでしょう。


・一年検診
 2023年2月、ICL手術から一年。
 視力は右が1.2の左が1.5弱。右は一番軽い乱視のレンズを使えば1.5が見えるけれど、普段の生活で何も問題がないのでそのままで大丈夫です。
 手術のきっかけである角膜内皮細胞も2500~3000と、計測するたびに変動はあるけれど減ることはありませんでした。細胞の減少が原因でコンタクトレンズ禁止令寸前だった身としては、数が減っていないのは何より嬉しいことなのです。
 ハログレアは頻度こそ減ったけれど、目の中のレンズに沿った光の輪は相変わらず見えています。毎日見えてはいるけれど、確実に頻度は減っています。もはや自分の中の日常になっているので鬱陶しいとは思うけれど慣れましたね。
 朝日や夕日、車のライトなどで光の輪が見える。ライブの照明でも色とりどりの輪ができてある意味「まあ綺麗」な状態。
 これは今後もじわじわ減っていくのかわからないけれど、光の輪の煩わしさを補って余りあるQOLの向上でした。

 TwitterでICL手術のことを呟くとそれに対して質問が来ることもあり、手術を検討する友人から質問されることもあります。一年前の自分が調べたときには体験談も少なかったけれど、この一年で広告などが目につくようになり、手術する人も増えたのだなという印象があります。
   ただ、増えたからこそ生の体験談とは違う記事も増えているのかもしれません。
 ICL手術を受けて一年。わたしは手術を受けたことを後悔していませんが、やはりいろんな話が耳に入るものです。
  自分が手術の相談を受けたらこう答えるかな,と思います。

『手術を受けたら劇的に世界が変わるけれど、安易な気持ちで受けずに必ず下調べをして納得してから手術を決めること』

 記事の最初のほうで書いたとおり、わたしはコンタクトレンズ禁止令寸前になりICL手術を決意しました。今後一切コンタクトレンズを使えない生活は強度近視の人間にはとても不便だからです。
   今も角膜内皮細胞の数が減らず、眼鏡とコンタクトレンズで生活できていたら手術は受けていなかったと思います。
 自分自身、手術については白髪が増えるくらい悩みました。失敗談もしっかり読んだ上で、手術を受ける病院も何件か候補を出し、適応検査の際はドクターにもしっかり質問をしました。手術後はどれくらいの視力になるのか、アフターケアはあるのか、今まで再手術を受けた人はいるのか、などなど。
 視力が良くなれば当然眼精疲労が起きるでしょう。そういったリスクを自分でも把握した上で手術を受けないと、後で「こんなはずじゃなかった」となるものです。
 実際、わたしもハログレアがこんなに頻繁に見えるものとは思わず、手術直後は「この光の輪が一生見えるのは辛いかも……」と落ち込んだものです。それを励ましてくれたのがレーシック経験者の友人であり、「時間が経てば慣れていくから」の言葉を信じて一年。今も光の輪は見えているけれど、こんなもんかなと受け入れています。
 手術をしたことでコンタクトレンズの手入れから解放され、ドライアイも良くなりました。それでも長時間のパソコン作業やスマホ読書では疲れ目で頭が痛くなるので、ブルーライトカットの眼鏡を使って対処しています。
   真夜中に目が覚めてトイレに行く時はくっきりとした視界に感動するし、足の爪を切るのも細部まで見えるので深爪の心配がありません。でも、ムダ毛処理は近くにピントを合わせにくいので鏡越しにやります。
 そういう生活の変化はありますが、あのまま無理にコンタクトレンズを使い続けてドライアイが悪化していたことを思うと、手術を受けて良かったなと思っています。
   手術を受けて感動したことはたくさんあるけれど、満天の星やはっきりと見える月の模様には本当に美しかったです。

 一年検診が終われば、その後は一年ごとの検診です。ICL手術の体験記も今回で終了かな。 
 目は一生ものです。この記事を読んだ人がICL手術の参考になるでしょうか。
  裸眼でも眼鏡でもコンタクトレンズでも、日々の生活がよりよいものになりますように。


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