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音楽は死なない

※少し前のことを記事に起こしました。

久しぶりに 音楽を聴いた。

最近はずっと家にこもってばっかりで先月は合わせて3人ぐらいの人にしか会ってなかった。 家にずっと一人でいると結構気が滅入るものだ。 そんなある日 たまたま外出先であったご近所さんの友達に、コンサートのチケットもう1枚あるんだけど行かない、と(開演2時間前に)言われて、少人数で市のコンサートに行ってみた。

コンサートホールと言うと「密!」と思うかもしれないけど(私も少し怖かった)驚くほどちゃんとした対策がしてあって、2000人のホールに定員は700名。だけれど実際に来ていた人は多分200から300名ぐらいなんじゃないかなという風に思う。たくさんのスタッフさんが検温したりアルコール消毒を徹底させたり分散して入場退場させたりかなり気を使ってくれていた。ちなみにドイツかなんかの研究では、コンサートホールは対策をしっかりしていれば感染拡大リスクは低いらしい。

もちろん席はひとつ空け。でも実際はもっと空いていたからかなりソーシャルディスタンスは保たれている状態だった。

ぶっちゃけ出かけるの自体結構久しぶりだったからドキドキしていたけど 、今日は オーケストラ。

久しぶりの生音。 

指揮者の前には衝立が立てられていて、プレイヤーさんも人によってマスクをしていて、指揮者の人もマスクをしてた。始まる前から会場にざわめきはなく結構しん、としている。でもチューニングが始まって音楽が 一瞬その瞬間始まった瞬間に

はっ、と息をのむような別の感覚が沸き起こる。


最初はトランペットのファンファーレだったもんだから、私、トランペット4本のその懐かしくて素晴らしい響きに そしてまだ自分の中に残っていたB♭管での音感に、ちょっと嬉しくなってしまった。じんわり涙がこぼれてしまい、あかんあかん、まだ序盤だよと自分を慰める。

音と音と音が重なり合う瞬間。100人で作り出すハーモニーそして強弱 そのうねり。

実を言えばクラシックコンサートなんて幼少期に行ったっきり。 だけど 今日その音の響きがこんなにも 心を強く揺さぶるものだなんて、ただただ 言葉を失う。

一緒に行った友達と席が離れていたんだけれども、だから私は一人でびっくりしたり 泣いたり涙を流したり その世界に浸ったり 、色々して、終わった後にロビーで友達と会って、ね、あそこかっこよかったよね、っていう風にこんな風に話せる日がまた来るなんて思ってなかったな。

属しているジャズバンドが昨年の3月に活動休止になってからもうすぐ一年が経とうとしている。楽器にもあまり積極的に触れなくなってもう半年ぐらい経ってしまった。ジャズの殿堂だった六本木のサテンドールの閉店。 名古屋のブルーノートも その扉を閉じた。

在宅勤務のYou Tubeで毎日音楽こそかけているものの、私にとってなくてはならないものだった音楽はだんだん その姿を日常から薄らせていた。

家族と友達ともなかなか会えない日々。 一人で過ごすことが格段に増えた。気が滅入る事も結構あったし。 でも音楽があれば人の心はこんなに安らぎこんなに揺さぶられこんなに 勇気を得て こんなに素敵な ことを分かち合える。

おそらくオーケストラで働いてる人だって 今までとは違う別の緊張感をたくさん持っていると思う。自由なはずの音楽に向き合うためにいろいろなことを今は乗り越えないといけない。 そんな中でも音楽を私たちに届けてくれた彼らに本当に感謝をしたいし 音楽をやってる一人の人間としては やっぱり音楽は死なないんだな と思えて本当によかった。

少し前まで当たり前にやっていたことがだんだんできなくなっていく、ニューノーマル。あの頃の楽しかった日々や感動はもう戻ってこないんじゃないか 、不安になることもある。 でももしかしたら、もしかしたらまだ私達やれるのかもしれない。音楽はその場さえ与えられれば 今までと同じような 今までよりも強い感動をまだまだ生み出せるものだから。 人はまだまだ音楽を続けられる。音楽はまだその力を、失ってはいない。

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