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【656/1096】みずのなか

まるでみずのなかのように
おとがはんきょうする
よくきこえない
ことばも ごぼごぼして
うまくつたわらない
くるしいのか かなしいのか
ないていても みずのなかでは
なみだもなじんできえていく

ふわふわと
とんでいるような しずんでいくような
いふくがまとわりついて
うまくすすめない
わたしはどこへいくのだろう
どこへすすもうというのだ

みすてられたきもちになる
みずのなかはとおくがみえず
こどくかんがます
たすけてほしいような
このままでいたいような
ふしぎなきもちになる
きみはどこへいったの?

きがつくと 
みずのなかで
みなもをみあげるような
つかみどころのないかんかくになる
ゆらゆらゆらゆら
ゆれていてそとになにがあるのか
わからない
どうやら あかるいようだ

みずのしたはすんでいてふかい
そこのほうまではみえない
いきものはいない
わたしはここにひとり
ふらふらとただよう
くらげのように ながれにのって
とおくまではこばれるのだろうか
とおくってどこ?
ここでないなら どこだっていい

みずからでられるひをゆめみて
おたまじゃくしはさかんにおよぐ
わたしには
すすむしっぽもないのだから
たたずむばかり

だれかのはなつことば
だれかのめせんやためいき
じぶんあてでないものの
ゆるやかなかまいたち
みをきられ いたみをかんじる 
おくのきずよりも
あさいきりきずがいたむ
おくのきずは すでにまひしている
あたまのおくはしんだ
しんでそのうちくさる
なかからくさって くちて
あたらしきものになることにあこがれる
けんこうなからだと
いきられるかんきょうがあっても
あたまからくさったら
おわってしまう

かまいたちにあわぬよう
みずのなかへにげこむ
ゆらゆらふらふら
ただようばかり

そんなひもあっていい
じっさいには
ふつうに
はたいているのだけどね

きょうもありがとう
のこされたもののひび