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ライフ・アウトライン実践1-7 DO-DAYSはインボックスでもある

前回はこちら。

DO-DAYSはメモツールでもあるというお話を前回しました。それは、DO-DAYSがいわゆる「インボックス」の役割を兼ねるという話につながります。

インボックス

インボックス(Inbox)というのは、もともとはオフィスの机に置かれる「未処理の書類を入れる箱」のことです。イントレイ、インバスケットなどとも呼ばれます。

昔はよく管理職の机に「未決箱」「既決箱」というのが置かれていたものですが、あの「未決箱」がインボックスですね。デジタルツールでは、メーラーにインボックス(受信箱)のメタファーが古くから使われてきました。

タスク管理アプリにおけるインボックスは、頭に浮かんだ「やるべきこと」に関する思いをとりあえず入れておくための場所です。デビッド・アレンが提唱したGetting Things Done(GTD)で推し進められた考え方で(考え方自体はそれ以前からありましたが)、GTDの影響を多少なりとも受けたアプリにはだいたいインボックス機能がついています。

GTDでは、やるべきことについて頭の中にある漠然とした思い(GTDの用語では「stuff=気になること」)をいったんインボックスで受け止めた上で、ひとつひとつについて「これは何か?」と自分に問いかけながら処理していきます。

すぐに実行できるもの(概ね2分以内)はその場でやってしまう。
実行可能だが2分以上かかるもののうち、1ステップで完了するものはコンテクスト(実行可能な場所や状況)別に分類された「次のアクション」リストに。
複数のステップが必要なものはプロジェクトリストに(そしてプロジェクトごとに「次のアクション」を考え、やはり「次のアクション」リストに)。
今やらなくていいものは「いつかやる」リストに。
約束や時間のしばりがあるものはカレンダーに。
実行可能でないもののうち後で参照するかもしれない情報はリファレンス用のファイルやノートに。
不要なものはごみ箱に。
後は「次のアクション」に書かれたことを実行しつつ、定期的にレビューをして新たにインボックスに入ってきたものを処理しつつ、各リストを最新の状態に保つ。

たいへん優れた方法で、あれもこれもと思うばかりでいっこうに物ごとが進まないような状況を避けるのに役立ちます(以上はGTDが専門ではない人間によるざっくりした説明なので、詳しくは『はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』などを参照してくださいね)。

GTDのフローにどれだけ厳密に従うかは別にして、「とりあえず入れておいて後から処理する」インボックスの考え方はたいへん広く普及しています。あまりにも当たり前になってしまったので、機能としてインボックスを持たないアプリ(たとえばEvernote)にも、真っ先に「インボックス」というフォルダを作ってしまう人もいるくらいです。

位置づけられないメモたち

ところで、インボックス方式のキモは「できるだけ頻繁に空にすること」です。定期的に処理して空にしておかなければ、インボックスはすぐにオーバーフローして破綻してしまいます。

しかし、私自身がインボックス方式を実践してみて悩まされたのは、インボックスに入れたものの中には「これは何か?」と自分に問いかけてみても答えが出ないものあることなのです。

たとえば目的もなくふと浮かんできた発想。あるいは何かをしていてふと頭に浮かんだ漠然とした問い願望

こうしたものの中には、時間が経ってはじめて意味がわかってくるものがあります。それまではどこにも位置づけられないし、位置づけたくもないのです。無理やりどこか(たとえば「いつかやる」)に位置づけたところで位置づけた先のノイズを増やすだけです。「発想」とか「願望」などという入れ場所を作ってみたところで、コンテクストから切り離された意味不明な断片の集積を見返すことはまずありません。

でも、だからといってインボックスの中に残しておけば、インボックスはたちまち破綻してしまうのです。

これらを「不要なもの」判定ができれば私にもGTDが運用できたのかもしれないと思うのですが、私にはそれができないのです。なぜなら漠然とした発想や願望が、時として重要な意味を持つことがある、と知っているからです。

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