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拳と鮫とお金をご存じか

 備忘録として、見た映画のことをツイッターの呟き加筆修正で。


5/30
『クリード 過去の逆襲』は、チャンピオンになって豪邸に住んで、後は悠々引退生活を送るぜ! とか言ってるクリードに迫る新たなる脅威。ブルジョアチャンピオンに、地の底から這い上がるハングリーな挑戦者という構図は『ロッキー3』を思わせる。あの展開もこの展開も似てるな。

 主演が監督を兼任するのもロッキーサーガではよくあることよ。今までに見たことなボクシング表現は、アニメっぽい。マイケルBジョーダンは冒頭で『ボクは日本のアニメが大好きです!』と宣言しているから確信犯である。逆襲する過去でもある挑戦者デイムは、さえない顔してるなと思ったら……かなりのクセものでした。デビュー戦がいきなりタイトルマッチというのはかなり強引だけど、そうしないと話が進まない。前作で登場したドラゴの息子も、ボクサーとして順調にキャリアを積んでいて、何より。でも『ロッキー3』におけるアポロのポジションになりそうでならないのが歯がゆいところ。

 久しぶりに会った連れに『飯でも食う?』なんて軽はずみなこと言ってはいけません。去年の『ケイコ目を澄ませて』とリンクするような個所もあり。オマケのアニメ『CREED SHINJIDAI』はアニメ好きマイケルがクリードをゲッター線と勘違いしているような短編でした。クリードは名前ではなく種族なのか、クリードの血筋が火星で戦う! 

6/6 
『ブラック・デーモン絶体絶命』は、通信が遮断され助けの来ない海底油田基地に残された家族の周りを超巨大なサメがうろうろする映画! 要は石に挟まれたり、とても深い場所だったり高い場所だったりする部隊限定サスペンス映画にサメをくっつけたのだ、さらにアステカの呪いというオカルト風味もある。

 楽しい家族旅行のつもりが胡散臭い連中が住む町でトラブって、さらに海底油田+サメと、状況がどんどん悪くなっていくよ。サメはボート咥えるぐらいにでかい。家族が一致団結して危機を脱する映画のように見せかけ文明批判とオカルトの観点から見ると、また意味が変わってくる。油田基地の制作に携わり、生活のためにミスを隠し通し、近隣の村の荒廃の原因を作った主人公を最初からはめるつもりであのサメを召還したのなら、怖い話である。

 しかし……サメの活躍が、予告編で見たここしかない、後は油田基地の周りをうろうろするだけなので、もったいない。サメ大活躍映画は夏のメグ2まで待たないといけないのか。

6/7 午前十時の映画祭『マルサの女』

 4kで甦る脱税テクニックとねちっこくてリアルな性交(事後、すぐティッシュを抜くのが細かい)と山崎努の珍妙なダンス。この映画が出てから税金のこと、脱税のことを知った人も多いはず。単純に善悪の対決ではない。

 巨額脱税者であり、マルサの標的にされる実業家・権藤(山崎努)は物理的に人を傷つけない悪人である、というのが目新しい。というか本当に悪人なのかね? と思わせるのがこの映画の面白いところ。『見つかるなよ!』と応援してしまうキャラでもある。今回もいい顔の俳優がずらり登場。

マルサの女こと板倉さんはおかっぱで眼鏡で巨乳(付けパイをして強い女を強調、とメイキングで見た。これがまためっぽう面白いんですよ)、ということで吉本新喜劇のすち子さんの元ネタでは? と思えてならない。いつ山崎努に乳首ドリルを仕掛けるのかハラハラしながら見た、というのは嘘だ。

 『マルサの女』は1987年公開。今からもう36年前。生と性と死と金が絡み合う大人の活劇を見た、という印象。今回見直してみて、スマホの御先祖ショルダーフォンにビッグスクーターが登場したのもこの時期か、と新たな発見。36年でテクノロジーは進歩したけど、お金に執着する人間の心は……。


 そして昨日、6月9日。企画会議で『それ面白いけど、やり過ぎっす』でネタが却下されることは洋の東西を問わずよくあることですが、インド映画においてはそれが全くやりすぎにならない、逆に『もっとやり過ぎろ!』と言われながら企画を練っているのでは? とさえ思えてしまう。そう、公開から8か月後、やっと『RRR』を見た。

 『RRR』を見て思うのは、もう日本の漫画は全部インドで実写化すればいいのでは? ということ。トラや狼、森の動物をトラックに乗せて妹奪還! って発想はインドにしかない。追うもの追われるものが、正体を知らずに親友になり……あとは延々どちらかが敵に捕まるライオン仮面状態、でも勝つ!

 『RRR』を見てつくづくインドの人たちは映画が大好きなんだな、と。好きだから躊躇なくCGも使うし、無茶なスタントもあるし、ダンスもある。一本の映画にすべてのジャンルを詰め込もうとする。日本人の好きな義理人情の世界、浪花節をガラムマサラをまぶしたフルコース料理。とにかくすごいものをまとめて見た。初対面の人間同士、アイコンタクトで何とかなる! 

 『RRR』はスローモーションが多用されるけど、くどすぎて逆に清々しいし、千両役者のアクションをたっぷりお見せしようというサービス精神にあふれていると思う。だからインド映画は尺が長い。公開から八か月、やっとSNSにあふれていた『ナートゥをご存じか』も肩車の意味も、どうして地球にこんな生命が溢れているのかも……。



 3時間弱の『RRR』見終わると、そこには世界を熱狂させたアジア人の先駆け、ブルースリーがいた。やるのか堺で! 『死亡の塔』みないと! TOHOシネマズとMOVIX堺だらけの最近の映画鑑賞記でありました。
『マッドハイジ』も堺でやるんか! 

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