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髷に変身・恐竜・怪獣・好きなことしていい休日

 ドドド、と仕事が来て、パパッと空き時間ができる。不定期な仕事をしているとよくある話で、先週は週8日勤務という矛盾した時間の中で業務をこなして、ようやく連休へ。
 
 日曜日、仕事上がりにシネ・ヌーヴォへ。『生誕90年映画監督大島渚』特集へ。大島渚映画って『戦場のメリークリスマス』ぐらいしか見たことないけど、その日は『忍者武芸帳』『天草四郎時貞』の大島渚監督の数少ない時代劇、ということで見に行ったのです。

 『忍者武芸帳』は白土三平原作の長編漫画をコマの接写に声と音を入れた、アニメでも紙芝居でもない、画期的な時代劇だった。そりゃ実写でやったらとんでもない予算と規模が必要ですから。大長編漫画をなんとか二時間弱に納め、内容も分かりやすいうえに主人公影丸の仲間、影一族編も間に入れるというこだわりぶり。オープニングの主題歌がかっこいいのです。白土漫画だから、結局権力に抗い敗北し、それでも自由のための戦いは続くというエンディング。

 続く『天草四郎時貞』は大島渚の東映時代劇。弾圧にあえぐキリシタンの代表、天草四郎が密かに仲間を集め武家社会に反乱を起こす。ワンカット長回し、光量ぎりぎりのライティングと意欲的な作品。ですが、四郎たちが立ち上がるまでひたすら虐げられる農民の姿を見せられるんですよ。『あぁあ×#$”0=¥!』と苦悶の表情を浮かべる三國連太郎とか。そしていよいよ四郎が立ち上がり、反乱が始まるんですがね、結局籠城か戦いか、あるいは武装放棄かでもめるんですよ。いわゆるディスカッションドラマですよ。あぁこれが大島渚の得意な討論シーンか、ずっと討論番組に出てたし、討論好きなんでしょうね。で、いよいよ行くぞ、というところで映画はおしまい。島原の乱を見せずに終わっちゃった。あぁ、大島渚だもん。活劇は期待してませんが、そう来るか。異色も異色ですね、当時としては、いや、今でも十分異色。どちらも民衆が権力に対して反旗を翻す革命のドラマ、というか一揆映画でした。

 翌日は映画ファーストデーということで一揆に続いて(五十嵐)一輝映画『劇場版仮面ライダーリバイスバトルファミリア』『暴太郎戦隊ドンブラザーズTHE MOVIE 新♡初恋ヒーロー』を。まずは『ドンブラザーズ』、いい感じに狂ってるのは平常運転なのです。映画撮影に参加したドンブラザーズ、その理由が『本物のヒーロー使ったら経費削減になる』という凄まじさ。映画やテレビ、フィクションに出てくる映画監督ってだいたい、その場のノリ優先でカメラ回しがち。普通そんなことやったら破綻しますよ。オニシスターとドンモモタロウの演技がド下手くそで、オニの甲高い声が『ガンマ―第三号』のフローラモンスターの鳴き声そっくりでした。さすが東映ですね。

『仮面ライダーリバイス』はハイジャックされ無法地帯に降り立った旅客機を救う五十嵐兄弟という『ニューヨーク1997』みたいなお話で、『ハイランダー』みたいなケインコスギの後ろ回し蹴りをひたすら堪能できる映画。そりゃ肉弾戦と爆破には定評のある坂本監督ですからね。ひたすら格闘っす。ケインコスギは変身しないほうが強いのでは? と思ったら本当に変身せずにバチバチやりあってました。

 続いて『ジュラシックワールド・新たなる支配者』を。巨大動物密売グループを調べたら、悪の組織にぶち当たったと書くと、007シリーズっぽいですが、そんな感じでした。恐竜いらないのでは? と思いつつも、ちゃんと恐竜が出ます。ジュラシックシリーズといえば『ジャングル迷子』『危険地帯からの脱出』が定番ですが、今回はそこに新旧メインキャストが放り込まれるのですよ。いつかどこかで見たシーンがそこかしこに見え、ということは新規の見せ場はちょっと弱いということで、結局、前回世界中に散った恐竜たちの後始末はどうするの? といえば『共存します』で〆てしまった。いや、絶対生態系がおかしくなるよ。恐竜よりも脅威なのが遺伝子操作された巨大イナゴで、最後はこいつの親玉と恐竜が戦ってくれたほうが面白かったのに、簡単に解決してしまったのが残念。新顔の恐竜ギガノトサウルスとティラノサウルスのバトルもとってつけた感じで、華がない。今回一番よかったのは地下坑道に潜むディメトロドンの群れでした。しかし、人間同士は銃を向けあうのに、恐竜には決して銃を向けないのがこのシリーズの個人的なもやもやポイント。捕食される動物や人間はいいのかよ、といつも思うのです。恐竜かわいそう、なんて言ってたら『GMK』の篠原ともえみたいになってしまうぞ。奴らは人間が作った遺伝子の化け物なんだ! しかし軍隊が出動しないね、このシリーズ。だから個人的に面白かったのは三作目なんです。恐竜バトルあり、ほどほどに人間バトルもありで。最後に軍隊が救出に来るじゃないですか、絶対あの後恐竜とドンパチやってますよ。モササウルスを出オチ要員にすな、あれはもっと海の脅威として描かれるべきです。と、なんだかもやもやした完結編でした。

 

 変身と恐竜映画を観た翌日、休日の締めは朝イチで『シン・ウルトラマン』三回目。ムビチケまだ使ってないし、そろそろ上映が終わりそうで調べたら夜か朝の一回上映になっていた。朝上映は岸和田ユナイテッドシネマだけ。サントラ買った後なので、音楽がどこに使われていたのか、とか、あれから色々見たり聞いたりした小ネタを確認しつつ鑑賞。前半の怪獣パート、後半の宇宙人パート、どちらも面白い。オリジナルシリーズ39話を二時間弱にうまくまとめているなと。で本編終了後にそのオリジナルの最終回『さらばウルトラマン』がオマケについていた。答え合わせするようなウルトラマンとゼットンの戦い。結構オリジナルに忠実に再現していたんだな、とか。ゾフィーのトサカは黒いな、とか。やたらシン・ウルトラマンが回転したがるのもここから? 

 映画の後は近所のスーパー銭湯へ。昼間から風呂に入るって、なんだか贅沢な気分だな、と思う休日最後の日でした。


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