流した涙もすぐに乾く、全力全壊全ヒーロー

　　昨日公開日で、徐々にネットでその全容が明らかになる。こんなキャラ出てたのか、こういうサプライズがあるのか等々、いつもの東映ヒーロー映画のやり口である。それだったらオールネタバレ前回になる前に見るしかないじゃん、とまんまと東映の策略に乗ってしまったのですな。

『見る？』と次男とその友人二人を連れて『仮面ライダーセイバー＋機界戦隊ゼンカイジャー・スーパーヒーロー戦記』を見に行く。今年はライダー50周年、戦隊は45作目という節目の年なので、そのお祝いの意味もあるヒーロー共演映画、なのです。

以下、映画の内容に触れてます　

　現役の戦隊とライダー、それぞれのメンバーがシャッフルされて異世界へ、という戦隊映画でおなじみのパターン、そして最強の敵との団体戦へ、といういつもの流れへ。今回は鈴木福演じる謎の少年がキーマン。

　戦隊とライダーの物語が書かれた本が混ざり合い、そして八犬伝、西遊記の世界へ。自分たちの生きている世界が誰かの作った物語だったのか？　そしてそれを作るのが謎の少年、石森章太郎だった！　敵の目的は石森先生にヒーローを作らせないようにして、自分たちの世界を作ること、らしい。なんともメタな展開である。でも、君たち悪役も石森先生の創作物なのよ、一応。ヒーローが消えたら君たちも消えるのでは？　という矛盾はさておき、消された世界で、石森少年にヒーローの意義を説き、自らも新しい物語を書く仮面ライダーセイバーこと神山飛羽真。彼の小説家という設定がテレビ本編以上に行かされている。そして生まれたのが仮面ライダー1号にアカレンジャー、ライダーと戦隊の原点が揃い、そしてすべてのヒーローが一堂に並ぶ……。敵にお前らは二次創作だ、毎年同じこと繰り返してオワコンだよ！　と自虐的なこと言わせたり、個人である石ノ森先生を神のポジションに据える、神をおも恐れぬ東映商法。ここまで開き直れば見事であります。そしてライダー、戦隊の同時攻撃、さらには新ライダーの登場といういつもの展開で映画は幕を閉じる……はずだった。

　エンドロール後に始まるドラマ、何が始まった？　秋から始まる新ライダー、リバイスのパイロットフィルムだ。銭湯に暮らす主人公が悪魔と契約してスタンプで変身、そして変形、とリバイスの主な特徴をたっぷりと見せてくれる、それこそテレビの本編並みの尺で。これが濃厚すぎて、もうスーパーヒーロー戦記のことを忘れてしまいそうになる。だから覚えているうちに書こうと思った。帰ったらオリンピックの開会式が始まっていた。あっちもお祭り、こっちもお祭り、今年はまだ夏祭りの開催も難しいだろうから、映画館やテレビだけでも騒ぎたいですね。

　最後に。『スーパーヒーロー戦記』サプライズのアキバレンジャーよりも、江戸の町に通行人で登場した佐武と市ににやにやしてしまった。この辺も次のライダー映画に出してよ。おみやさんとか。