黄金週間・海底王国全滅作戦
前回の『マタンゴ』『超少女REIKO』が終わって数日後、いよいよ始まった『ゴジラVS京都・ゴジラ&東宝特撮GW連続上映会』。かつての『復活フェスティバルゴジラ1983』を彷彿とさせる、怪獣映画11本を11日間日替わりで上映するという怒涛の企画。
あいにく『ゴジラVS京都』の他の企画は緊急事態宣言で休止となったけど、会場のみなみ会館はミニシアターであるため、辛くも宣言を回避できたのです。しかし、いつ中止になるかわからない実にタイトロープな状況。まずは初日を、この怒涛のイベントの幕開けを、そして何より映画館で怪獣映画が見たい欲求に駆られたのです。
トップバッターは『空の大怪獣ラドン』『ゴジラ対メガロ』の、入れ替え制とはいえ何の関連も無さそうな二本。これは現在放送中のアニメ『ゴジラSP』にラドンとジェットジャガーが登場するためこの組み合わせになったとか。ラドンは見送って『ゴジラ対メガロ』を。
『ゴジラ対メガロ』を劇場で見るのは実に5年ぶり。アニメ効果もあってジェットジャガーの人気が上がってきているみたいだけど、子供の頃はどうにもあのにやけ顔と東宝メカらしからぬ派手なカラーリングが受け付けなかった。でも、冬休み、夏休みといえば、決まってテレビで放送されるのはこの作品なので、不思議と愛着のある一本。
地下核実験に起こった海底王国シートピアが、怪獣メガロを使って地上を攻撃。自衛隊の攻撃もなす術もない中、強い意志の力で巨大化したジェットジャガーと怪獣島から救援に駆け付けてくるゴジラだけが、人類最後の頼みの綱となる……。新怪獣メガロは子供の大好きなカブトムシモチーフということもあり、ジェットジャガーと並んで、人気の高い怪獣。羽根やボディにオレンジや黄色の彩色が施され、カラフルな印象。でも海底からやってきて、何をすればいいのか? 地上の事情に疎い海底人は、まずジェットジャガーを奪って水先案内人として使用。途中で案内人を失ったメガロがふらふら、ピョンピョンうろつくさまがかわいらしい。こいつ、根っからの悪人ではないな。結局メガロが壊したものといえば自衛隊の兵器とダムぐらい。
低予算の中、極力少ないキャストと過去のフィルムを流用した特撮、ミニチュアもろくにない荒野だけ、という、後年クソミソに叩かれる作品ではあるけど、子供の頃に何度も見て刷り込まれているせいで、それほどおかしいとは思わない。予算のかかったアトラクションショーかもしれないけど、今これだけゴジラ映画があり、ゴジラも多様化している中においては、これはこれでゴジラ映画の在り方の一つではないのかな、とも思う。そもそもでかいトカゲがピースサイン&ドロップキック、でかいカブトムシがお尻ぺんぺん、ロボットが勝手に巨大化するような世界観なのだから、あれこれ文句をつける筋合いはない。子供たちが思い描く怪獣の世界を大人が一生懸命に映像化したのだ。
そんな中でも力の入ったメガロのダム破壊シーンばかり取り沙汰されるけど、某との地割れによって湖の水がすべて吸い込まれていくシーンもかなりの迫力で、この丁寧な天変地異のシーンが同年公開の『日本沈没』に繋がるのではないか、と思ったり。あと、アクション派の福田純演出らしく、カーチェイスのシーンは実にスピーディかつ、無茶な撮影をしている。
すっかり正義の怪獣になったゴジラの余裕たっぷりの戦い方が頼もしく、メガロの助っ人として現れるガイガンとメガロが並ぶと実に悪そうなコンビになる。ゴジラもガイガンもこの作品では依頼を受けて出動する派遣怪獣なんですね。ちなみに上映プリントは驚くほどきれいでした。
上映中はゴジラVS京都グッズや、お馴染特撮大百科のキャスト商品のブースもあって、怪獣祭り。本編上映前には『ゴジラSp』のPV、人形劇『ゴジばん』に『ゴジラVSコング』予告と、こちらも盛りだくさん。
さて今度はいつ行こうか、こんな状況下だけど、『ゴジラVSコング』の延期が決まった今となっては一本でも多く怪獣映画が見てみたい。まあ、近いうちに参上することになるとは思うのです。
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