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◎百足の草鞋/爆祭!京阪激暑劇場復活編

『ゴジラ・キングオブザモンスター』の興奮冷めやらぬ2019年7月、怪獣界隈ではまだソリャソリャ言ってた暑い夏の日、ATG外伝と称したシネ・ヌーヴォの特集で『新幹線大爆破』を鑑賞。車で行ったので手ごろな駐車場がなかなか見つからず、上映ぎりぎりに汗だくで飛び込み『新幹線一枚!』と、JRの窓口のように言ってしまいました。

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これまたパニック映画ブームの最中に『うちは新幹線がドカンじゃ!』とばかりに東映が送り込んだオールスター大作。走る爆弾と化した新幹線、警察は、国鉄(JR)は、政府は? 社会の矛盾に押しつぶされそうになったはぐれ者たちが廃工場で肩寄せ合っておこなう反逆の狼煙。寡黙な健さんは、表情だけで怒りを表し、生まれた時から反体制な臭いを漂わす山本圭は常に社会に怒ってる。普通のやくざ映画なら相まみえないこの二人が絡むことで不思議なミスマッチ感を生み、作品の魅力に繋がっているのでは? と思う。 そもそも爆弾を積んでなくても、千葉真一の運転する新幹線なんてあぶなかっしくて乗りたくない。それはさておき、この映画は千葉真一史上、最も千葉真一が動かない映画でもある。
 オールスター映画とはいえ、やくざ映画でおなじみの顔ぶれが国鉄職員や警察に扮するおかしさ。そんな中で、非ヤクザ、非東映の宇津井健を物語のセンターに配置することで、彼の孤独感を浮き彫りにしていると思う。情報操作をして犯人をおびき寄せる警察のやり方に怒りを覚える彼もまた、一歩間違えれば犯人側になってしまうかもしれない、そんな気がする。
 大がかりなミニチュアやシュノーケル撮影を駆使した新幹線の疾走シーンは実景と間違えるほど。本物を使ったと思しき機関車の爆破シーンも大迫力。しかし、いまだに【新幹線に仕掛けた爆弾の配置図を記した書類を置いた喫茶店が、突然出火する】という無理やりサスペンスを増していく演出はどうかと思うし、突然すぎて謎である。
 冒頭とラストに流れるスキャットがレオーネの映画を思わせ、『夢を掴みかけた男』の哀愁を盛り上げてくれる。(ブログより)

 この時にみなみ会館再開のフライヤーをもらった、と思います。ということは再開の日程が決まったのはは7月ぐらいだったかな。

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 7月といえば京都祇園祭、ということで京都文化博物館(ぶんぱく)でこの時期にしか上映されない『祇園祭』を。

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 京都文化博物館は大人500円で古今の名作が見れるし、今回は期間限定上映ということもあってか、場内は満席。聞いたところでは150席あるらしい。お客さんのほとんどが高齢者、というと失礼なので自分よりも年上の男女。
 映画『祇園祭』は、京都市が協賛し、五社協定の垣根を越えて東宝、東映、松竹のスターが勢ぞろいするオールスター映画。しかし、紆余曲折あって、松竹映配という聞きなれない会社がオープニングに出る。監督の降板劇もあったそうだし、ソフト化もされていない。どこの会社の映画?と聞かれたら『京都市の映画』としか答えられない。要するに、ふんだんに金のかかった京都市のインディーズ映画だと思う。
 応仁の乱以後、すっかり絶えてしまった祇園祭を再生させる男と、それに動かされる民衆の姿を描いた大スペクタクル祭り映画。主演は中村錦之助に、岩下志麻と三船敏郎の各社のトップスターがそろい踏み。そこに渥美清、美空ひばり、高倉健、北大路欣也といった豪華すぎる配役が脇を固める。とはいえ、そのほとんどが顔見せ程度のチョイ役ですけど。
 スタッフ、キャストを見ると東映カラーが強いんだけど、世界のミフネが出ると豪快な東宝男性路線っぽくなるから面白い。
 クライマックスは武家の妨害もなんのその、民衆のパワーで甦った山鉾が京都の町を練り歩く祇園祭復活の場面。オープンセットに山鉾を持ち込んで各社のスターがそれを動かすというなんとも豪華な祇園祭。なんだかすごいものを見た。
 スター大共演映画なので、その姿が現れると会場がざわつき『高倉健出た』『ひばりちゃーん』といった声が聞こえるのがおかしい。(ブログより)

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 そのあと、近所の漫画ミュージアムでささやかな募金、そしてバカボンのクリアファイルを購入。この時は十条に車を止めて地下鉄でぶんぱくに行ったと記憶しています。

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 新生みなみ会館も着々と完成しつつあり、8月の再オープンを待つばかりでした。

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 そこでその前祝い、のような形でおなじみ大阪ロフトプラスワンウエストにてトークイベント『帰ってくるぞ超大怪獣大特撮大全集!』を開催。吉田館長、キャスト社藤村氏という『上映前のご挨拶コンビ』と一緒にみなみ会館の怪獣上映のこれまでとこれからを話す、という内容。

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 今回は本当にノープラン、打ち合わせなし!  今まで何があったか、そしてこれからのラインナップ発表、そしてパス販売とあっという間の二時間強。会場は大入り満員、この数プラスαがそのまま京都に来るのか。常連さんはほとんどいたのではないか? みなさん、みなみ休館中のブランクの間、お元気で何よりでした。
とか言ってると、すぐに月末がやってきて、そして遠い宇宙の彼方からすごいあいつがやってくる! 

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『超大怪獣大特撮大全集R』新生みなみ会館オープン翌日から開催!(ブログより)

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 そしていよいよ再オープン! の前にまたまたぶんぱくに行って『肉弾』を。

 京都文化博物館【銀幕が汗をかく− 映画で感じる夏】特集で岡本喜八監督『肉弾』が上映。去年の今頃、九条シネヌーボォのATG特集でもかかっていたけど、見逃してしまった。これは見ないと、と京都へ。
 『肉弾』は『日本のいちばん長い日』への岡本監督からのセルフアンサー。あちらが『上の人らの戦争』ならこっちは『下の人らの戦争』で、半ば私小説の『肉弾』こそ監督の描きたかった戦争だったのではなかったのか、と思う。
 ブタから神へ。太平洋戦争の終結するギリギリで、即席将校として特攻を命じられた青年が、最後に出会った人たちとの交流をコミカルなタッチで描くことで、戦争のくだらなさが浮き彫りにされていく。
 主人公『あいつ』が戦争終結を知ったのは海の上。ぷかぷか浮かぶドラム缶の中で、彼は怒る、戦争が終わってばんざーい、ではない。今まで何だったんだよ、戦うんじゃないのか? あの子もあの人もそれを知らずに死んだというのに。『この世界の片隅に』で主人公、すずが玉音放送を聞いた後に安堵するどころか、何かに裏切られたように怒りをあらわにするシーンがあるが、『あいつ』の怒りもそれに近いものがある。
 『あいつ』は戦後20年たっても、骸骨となり東京湾で叫び続ける。東京湾、岡本喜八というワードだけでつなげるのは無理があるかもしれないけど、これがのちに『シン・ゴジラ』になるのでは。第五形態は骸骨のようなゴジラ人間だったのも偶然だろうか。『あいつ』がその怒りをぶつけに帰ってきた、というのはこじつけだけど、『日本のいちばん長い日』『沖縄決戦』の大情況を描く作劇を踏襲した『シン・ゴジラ』だから『肉弾』が内包されていても不思議ではない。(ブログより)

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 あれから1年4ヵ月、ついに8・23京都みなみ会館再始動! 当日はテレビのニュースで取り上げたりもして、両親や家族に連絡したりもしました。お世話になった映画館の大復活ですので。

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 そして翌日から始まる『超大怪獣大特撮大全集R』!

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 銀行だった建物をリノベーションし、3スクリーンにパワーアップ、オープンからフル回転! シン・みなみ会館で見るのはやはり『シン・ゴジラ』。

 これは先週『肉弾』を見たのでちょうどいい流れ。戦争に怒りを向け、東京湾で骨になった主人公。そして今度はそれを撮った岡本喜八監督が東京湾で姿を消し、巨大未確認生物となって東京に上陸、最後には骸骨のような分身を残しながら凍結する。ぬぼーっと何考えてるかわからないゴジラ、それに右往左往する人間たち。何度見てもヤシオリ作戦はテンション上がるけど、久しぶりのような気がしないのは、見すぎたせいか。

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そしていよいよ超大R。今回は『ゴジラ対メカゴジラ』『メカゴジラの逆襲』の、再開にふさわしくドンパチ祝砲を打ちまくる二本。 『ゴジラ対メカゴジラ』もうとにかくメカゴジラのカッコよさに尽きる一本。不敵な面構えでゴジラ、キングシーサーを余裕たっぷりで追い詰め、ここぞとばかりにミサイル、ビームの大盤振る舞い、爆発がすさまじく、画面が真っ白になることも。もう何度も見た作品なのに、美麗プリントとずんずん来る音量のせいかとても新鮮に見えた。

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翌日は中野昭慶監督をお迎えしてのサイン&トークイベント。打ち合わせの段階から音にこだわる中野監督。新生みなみは音がよい、とのこと。N社長と一緒でしたが久々の司会、続々飛び出す秘話に、いつものようにただうなずくだけで、あまりお客様と変わらない、いつものポジション。
 前日見れなかった『メカゴジラの逆襲』。以前オールナイトでかかったプリントと違い、今回はとても奇麗。これまた初めて見るような印象。軽快なアクションものの趣がある前作と打って変わって重厚なドラマ。でもやはり、ドッグで静かに修理中のメカゴジラの姿を見るとゾクゾクとするものがあります。今回は満を持してクライマックスに登場。チタノザウルスとタッグを組んで、ゴジラをあと一歩まで追い込みます。

 チタノザウルスの毒々しい赤い体色、ラストの夕日もニュープリントでさらに美しい。みなみ会館再開にふさわしい二本立てでした。

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 外のバトルトラックで販売しているポップコーンとホットドッグも美味であります。

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おしゃれでありつつ、旧みなみ会館の面影を残す新生みなみ。近いうちにまた行きたいな、と思いました。やっと、帰れる場所が復活した!(ブログより)

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 うろ覚え解説の入った怪獣新聞も復活。外の暑さに負けないお客さんの熱気、新生みなみ会館は最初からクライマックスの勢いでした。魅力的なラインナップに今度はいつ行こうかな、とか考えていたら、その翌週には早速。ここからみなみ会館の逆襲が始まるのです!

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