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コロナの後に咳が長引いています~後遺症!?

自分は感染から回復して8月20日に隔離解除となりました。
ですがいまだに、かなり咳が出ます。
そしてそのような患者様を、結構多く見かけます

コロナの後遺症ですが?と聞かれたりもします。
ですが、この程度は後遺症とは言いません。

では少し整理してみましょう。

1.コロナのあと長引く症状~後遺症?

1-1.コロナ後遺症の定義

WHO(世界保健機関)では後遺症を、
「新型コロナウイルスに罹患した人にみられ、少なくとも2カ月以上持続し、また、他の疾患による症状として説明がつかないもの(通常はCOVID-19の発症から3カ月経った時点にもみられる。)」
と定義しています(東京都福祉保健局のHPより)。

つまりコロナから3ケ月以上たった時点で、2ケ月以上持続している症状ということです。
発症19日で咳だけというのは、後遺症呼べるほどのものではないのです。

1-2.咳が3週間以上続くなら

風邪やインフルエンザのあと3週間以上長引く咳を、一般的に「感染後咳嗽」といいます。

日本咳嗽学会では風邪のような症状から続く持続性の咳嗽を、「かぜ症候群後遷延性咳嗽」という呼称しています。
特に期間は定義されてませんが、続く持続性の咳とはやはり3週間以上ということでしょうか。

つまり自分は19日持続していますが、その程度では感染後咳嗽とも、コロナ後症候群とも言えないわけです。
その程度は「風邪(コロナ)ってそういうものだよね!」という事です。

2.コロナのあとの長引く咳に対して

ということで、コロナのあとの長引く咳に対して、息苦しいなどなければ市販薬で様子を見ましょう(ちなみに自分も市販薬で様子見です)。
市販薬ではダメで、咳が辛ければ病院を受診しましょう。

病院では検査しても問題なければ「感染後咳嗽」の診断になります。
咳止めを処方して経過観察となります。

ちなみに咳止めといいますが、咳ってなかなか止まりません!!
自分の場合は「咳止めは、咳を止める(ゼロにする)薬ではなく、咳き込む回数を10回から5-6回にする効果しかありません」と説明します。
場合によって喘息やアレルギーの薬でまで処方することがあります。

遷延性・慢性咳嗽の原因疾患と治療(日本内科学会誌「感染後咳嗽(かぜ症候群後咳嗽)」より)

喘息でないのになぜ?と思うかもしれませんが、そういうものなんです。
そこまでしても、咳ってなかなか止まらないものなんです。
病院に行ったからピタッと咳が止まる、そういう訳ではありません。

3.ついでに・・・オミクロンの後遺症について

3-1.コロナ後遺症の症状

コロナの後遺症はどの程度危惧するものなのでしょうか。
それは日本ではコロナ感染の罹患後症状のマネジメントから抜粋します。

2020年1月から2021年2月にかけて新型コロナウィルス感染症で入院した患者の追跡研究:
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の 長期合併症の実態把握と病態生理解明に向けた基盤研究

比較的多彩な症状の後遺症がありながらも、8割の患者は6ケ月後には元の健康状態に戻ったと自覚したとのことです。

ですがこれはオミクロンではありませんし、ワクチンが普及する前のことです。
ではワクチン接種、さらには弱毒と言われるオミクロンで後遺症のリスクは減るのでしょうか。

3-2.ワクチン接種で後遺症のリスクは減る?

日本人のコロナの文献が見当たらないので海外文献からですが、
イタリアからの報告で、739人の無症状から軽症の新型コロナ患者において、4週以上症状が残った割合を算出したところ、

ワクチン未接種─41.8%、1回接種─30%、2回接種─17.4%、3回接種─16%
であったとのことです。

2回から3回接種でリスクを60%近く減らせることが分かります。

3-3.オミクロンで後遺症のリスクは減る?

イギリスからの報告では、オミクロン株で後遺症を起こす割合は4.5%と、デルタ株で後遺症を起こす割合の10.8%と比較して、有意に少なかったとのことでした。
リスクはオミクロンになり6割近く減ったとのことです。

日本の報告では、オミクロン以前のコロナでの後遺症患者は10/18(55.6%)に対して、オミクロンでは1/18(5.6%)であったという報告もあります。
症例数が少ないものの、リスクは1割程度であるということです。

ワクチンを打って、オミクロンに感染したならば後遺症のリスクは以前に比べて1-3割程度であるということでしょうか。

3-4.オミクロンでなりやすい後遺症、長引きやすい後遺症は?

とはいえ様々な文献を読んでも、オミクロンの時代にも後遺症は5-13%程度みられるようです。
ではどのようなオミクロンの後遺症はデルタ以前と違うのでしょうか。
また軽症でかかっても後遺症が残ってしまうのでしょうか。

東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議資料
「都立病院の外来を受診した新型コロナ後遺症患者の症例分析」
より

オミクロンは多くの人が軽症で経過することもあり、後遺症も軽症でなってしまう人がほとんどであると分かります。
そして高齢者ではなく、過半数が40代以下であることも分かります。

つまりは若い軽症の方が、後遺症の患者の多くを占めているわけです。
そして後遺症の症状については、デルタ以前とあまり変わりませんが、咳や倦怠感が若干多いという結果になっています。

東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議資料
「都立病院の外来を受診した新型コロナ後遺症患者の症例分析」
より

オミクロンが流行してまだ6ケ月しか経過していませんから、それ以上のデータはありません。
ですが2ケ月以上症状が続いた方の多くが、6ケ月目まで症状が続いていることが分かります。
咳や息切れは約半数が改善していますが、倦怠感・頭痛・味覚嗅覚異常はほとんどの人が6ケ月目まで症状が続いています。

リスクは少なくなったものの、コロナの後遺症の怖さが分かってもらえると思います。


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