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ダネフシ非常識合格法

『ダネフシ非常識合格法』 ダネフシ

前文
 会計士受験生、とくにクレアール生や独学生を想定して書いているが、誰が読んでも得ることがある内容だと自負している。
 公認会計士試験に対する僕の捉え方や実際に行ってきた勉強法等をシェアする。まだ論文式試験の受験経験もない青二才ではあるが、クレアールという実質独学にも等しい厳しい環境で四苦八苦して掴み取ったものを惜しみなく書き綴った。
 完全に真似する必要はないが学ぶところが少しはあると信じているので、取捨選択して自身の勉強戦略の改良に役立てて頂きたい。私自身も常に自身の勉強戦略をアップデートをしようと心掛けているので、ダネフシ非常識合格法は随時、加筆修正していくつもりだ。
 プロのライターではないため卓越した文章構成能力はないが、とにかく僕のノウハウや考え方を列挙した。気になる箇所だけでも読んで頂ければ幸いである。

目次
①短答式試験というゲームの構造をおさえよ
②疑問点の解消について
③勉強は先手先手で計画的に
④勉強時間について
⑤勉強時間はできるだけ短く
⑥必勝!勉強の振り返りをしよう
⑦回す教材にはこだわり抜け


①短答式試験というゲームの構造をおさえよ
 短答式試験でスムーズに合格点を取るには、まずは短答式試験というゲームの構造を理解する必要がある。 
 短答式試験は、財務会計28問(26問の時もあり)、管理会計16問、企業法20問、監査論20問、計84問(計82問の時もあり)から構成される。短答式試験は、84問の集合体という意識を常に持つ。
 短答式試験という、実質合格率15%程度の得体の知れない怪物も、84問に分割すれば大したことはない。
 もちろん出る問題は回ごとに変わるが、各科目に必出・頻出論点が一定数存在している。

 例えば、管理会計でいうところの原価計算基準3問。財務計算でいうところのリースやストオプ(計算、理論ともに頻出)、連結会計6問(or4問)。財務理論でいうところの概念フレームワーク1問(12月短答では残念ながら出なかったが)。監査論でいうところの会社法監査1問、金商法監査1問、不正リスク対策基準1問など。企業法に至っては組織再編2問商法2問金商法2問のように出る範囲がほぼ固定されている。この辺は過去問等を眺めて、ご自分でじっくり研究して頂きたい。

 そういった出ることが確実、むしろ出ない方が珍しい論点は「これでもか!」というほど得意にすべきである。私が短答対策に明け暮れていたある日、勉強がひと段落して、自宅で明日花キララの講義動画を見ていたら、無意識に概念フレームワークや不正リスク対応基準のことが頭をよぎった。その時「あっ、俺は絶対受かるな💪」と確信したものである。

 それに加えて、そこそこ出る論点で簡単な典型論点はもちろん得意にしておく。財務計算でいうところの資産除去債務、退職給付会計、社債、現金預金、連結のれん算出などのイージー論点。企業法でいうところの機関設計。簡単だからといって舐めてはいけない。知識のメンテナンスを1カ月おこたると、A問題であっても、とんでもないイージーミスをしでかす恐れがあるので月2回くらいは触れておきたい。
  
 逆にたまにしか出ないものは、全く触れないわけにはいかないが余力でやる。とはいえ頻出論点や典型論点が全84問のうち半分以上を占めているはずなので、その辺を得意にしておけば、短答惜敗はあっても惨敗はあり得ない。
 ちなみに私は、「たまに出る×得意、好きな論点」は気分転換にやって、「たまに出る×苦手、嫌いな論点」は後回しにして直前期にやっていた。嫌いな論点は分かったつもりになっても、毎週何度か触れていれば忘れないが、たまにやるだけだとすぐ忘れてしまい「やっぱり自分は苦手なんだ」という悪循環に陥る。そのため直前期に、その論点に毎日触れる週を設けて、逆に得意にしてしまう戦略で乗り切った。死ぬほど苦手だった、本支店、包括利益などのA問題は確実に取れるようになった。

 例えば、一株当たり当期純利益は好きだったのでたまに気分転換に解き、嫌いだった事業分離は直前期に集中的にやった。結果的に、事業分離は前々日、前日にやっていた問題の類題が短答本試でそのまんま出たので儲けだった。

 受験生によって基礎学力や性格が異なる以上、学習スタイルは変わってくる。ただ、とにかく出題傾向を掴んで短答式試験というゲームの構造を理解すること。それは万人にとって共通の重要な大前提である。
 クレアール生の場合、簿記1級期には、その視点を持つのは難しいとは思うが公認会計士講座が開始した時にある程度、過去問をパラパラ見るなどして、理解しておくとスムーズに学習を進めることができるだろう。

②疑問点の解消について
 次に疑問点の解消法について参考になるかは不明だが持論を述べさせて頂く。通学勢なら疑問点を講師に聴けば9割9分解決すると思うが、通信(クレアール生など)や独学生だと相談できる人が周りにいるとは限らず苦労すると思われる。これはおそらく私が例外なので安易にマネしてはいけないが、私は公認会計士を目指して勉強を始めてから、1回も講師等と勉強計画の面談や勉強内容の質問をしたことがない。ツイッターで短答式試験合格者にDMで相談することは何回かあったが。

 予備校の講師に言わせたら非常識千万に見えるであろう。もちろん私もヤバいと自覚していた。なので自身の勉強戦略は、普通にしていたらヤバいという危機感を持って、ネットを使って情報を集めながら試行錯誤してアップデートし続けた。
 自分が所属している予備校の教材の信頼性、オススメの他校の教材など、Googleやツイッターで調べれば情報はいくらでも転がっている。もはや情報化社会である今日、情報格差は首都圏と地方の地域格差にはさほど大きくは無く、行動するかしないかの部分によるところが多い。

 私の場合、勉強していて理解できないことはただ地道な反復で理解した。テキストを読んでダメなら動画。動画を見て分からなかったらとりあえず結論だけ暗記。財務理論は会計基準の大事な箇所は100回くらい読んで、視神経に焼き付けた。僕より会計基準を読みこんだ受験生はいない自信がある。 
 元々、物分かりが良い方ではないが、速読は得意だったので質より量のスタイルでゴリ押しした。会計基準は聖書のようなもので、理屈で考えるより覚えてしまった方が早い。原価計算基準、監査基準、会社法なども同様だ。読みまくれば何か本質的なものが見えてくる。
 
 もちろんゴリ押しの学習法は最初は非常に非効率だったが、理解力や学習効率が段々と上がっていく実感があった。私はこの学習スタイルを自己解決型学習法と呼んでいる。

③勉強は先手先手で計画的に
 本番までやるべきことを割り出して計画的に勉強すること。当たり前のことだが、これがキチンとできれば酷い結果にはならないはずだ。
 かくいう私はどちらかというと場当たり的に勉強するタイプで、前日に翌日何を勉強するかを書き出してから床に就いていた。
 ただ答練や模試などを里程標にして、そのタイミングまでにどういう状況でありたいかは常に考えるようにしていた。そうすればおのずと今すべきことや必要な行動が見えてくると思う。
 
 短答直前期に焦るのが嫌だったので、短答2週間前に行われる大原模試時点でほぼ完成するようにスケジュールを調整した。結果的に、短答直前2週間はほぼ、体調管理やメンテナンスだけで済んだ。
 短答直前2週間の締め切り効果を利用して密度の濃い学習で伸ばすのもありだとも思ったが、2週間で絶対伸びるという保証はないため、あまりにもリスクが多いと感じた。基本的には先手先手で勉強していくのが無難で、結果間に合わなかったら締め切り効果でブーストすれば良い。

④勉強時間について
 日々の勉強時間の記録はつけるべきだ。自分が勉強したことを数値化しないと、合格まで後どの程度頑張れば良いかわからなくなるし、サボっても危機感が湧かないからだ。僕の場合は、1カ月前にサボっていたことなんて何となくもやっとエピソード記憶として覚えているくらいだ。しかし、勉強記録を見直すと明確にわかる。あの時期は普段よりも平均的に3時間サボっていたんだなぁという具合に。

 私は学習初期に合格者のブログなどを参考にして、簿記1級から始めて1500時間密度の濃い勉強をすれば短答式合格ラインに入り込めるという仮説を立てた。だからそれを達成できるペースで勉強していくことを心掛けた。
 僕はスタディープラスというアプリに、勉強した科目ごとに1分単位で記録している。勉強時間は基本的にストップウォッチで計測している。トイレに行ったり、集中してないなーという時はストップウォッチは止めているため僕の勉強時間は、お手盛り0過大評価0の純粋な勉強時間だ。

⑤勉強時間はできるだけ短く
 僕は勉強を開始した2019年2月から現在2019年12月に至るまで、1日たりとも10時間以上勉強したことがない。7時間超えれば今日はめっちゃ頑張ったという感じで、最高でも9時間ちょっとだ。
 ダラダラテキストを10時間読むのは暇な文系大学院生なので可能だが、集中して目的意識を持って10時間集中するのは僕には到底無理だ。
 
 勉強時間は数字で表すことができる努力の結晶だ。例えば「俺は2000時間勉強したから短答は大丈夫だ!」と自信を持つができるだろう。ただ、勉強時間を過度にひけらかして周囲にマウントを取るのは滑稽としか言いようがない。同じ成果を得られるなら勉強時間は短い方が良いに決まっている。
 僕は短答直前期も、週1回1人で焼肉ランチに行き、毎週アニメを10本強チェックし、新発売のポケモンソールドの殿堂入りをせねばならなかった。その外食や趣味は文化的な最低限度の生活を送るうえで曲げられないことだった。もちろん勉強は最優先だが、結果的に勉強も趣味も全部こなすことができた。
 僕は毎朝6時に勉強を開始する朝型人間である。脳は午前中が一番勉強に向いている。朝の1時間は夜の3時間に匹敵という意見もあるくらいだ。
 僕の場合1日7時間勉強を目標とするなら午前中に4時間程度勉強をすれば、午後は3時間でいい。夜18時以降はポケモンやアニメを見たい。ツイッターでネタツイを投下したい。明日花キララを見たい。
 僕は18時を超えたら勉強は基本しない。もちろん、仕事やアルバイトなどのため勉強する時間を選べない方は勉強できるタイミングで頑張れば良いが、勉強以外で暇な大学生や専念の方などは参考にして頂きたい。
 会計士受験生生活において、勉強以外にしたいことを我慢しなくていいと思う。彼女(彼氏)がいる方は、いの一番に大事にすべきだ。自分の心に問いかけよ。彼女1人すらを守れないやつに、資本主義の番人(公認会計士)が務まるのか?
 ちなみに現在、私にはつき合っている人はいないことは内緒である。

⑥必勝!勉強の振り返りをしよう
 また学習の振り返りの習慣も重要である。勉強計画を立ててその通りに実行しても、必ずしも成績が伸びるとは限らない。常に勉強方法を改良していく意識だ。
 具体的には自分が、各科目の各論点をどれだけ理解しているか、理解が足りなかったらそこをどう補完していくべきか等を考える勉強の振り返りの習慣を週に1回は必ず設けること。
 頭の中で考えても言語化しないと曖昧に終わってしまうことが多いので、私はその振り返りを自宅にて独り言で声に出して行い、短答式に受かるための戦略をの脳内整理を行っていた。

 例えば財務計算の場合はこんな感じだった。

ダネフシ「ストオプは全パターンできるようになったから、たとえ明日が短答本番でも特に問題ないけど忘却が恐いので過去問を使って3日に1回はメンテをしよう。リースで利率が2つ提示されたり、残価保障があったりすると、たまにミスるからその辺の知識を詰めるために、過去問題集の量をこなしテキストを読みこもう。典型論点(資産除去債務、現金預金、社債、退職給付会計など)たちは既にマスターできているが、忘却対策で2週に1回は過去問を1回転しつつ簿記1級のテキストを読んで細かい知識や仕訳の確認をしよう。
連結会計は、過去問に載っているパターンの仕訳は8割5分くらい理解してマスターしたけど、持分法のダウンストリームとアップストリームの仕訳がやや不安。在外子会社は、株式一部売却までできるようになったけど週1回はメンテナンスをしよう。親当や利益剰余金の集計でミスって失点するから、集計を確実にできるように毎日1題は解こう。(以下略)」

 このような振り返りを各科目について定期的に行っていた。勉強時間自体は平均すると1日5時間前後で、一般的な勤勉な会計士受験生の3分の2くらいだとは思う。だが、これだけ振り返りの時間も確保して勉強を続けていれば、成績が伸びない方がおかしいと思った。

⑦回す教材にはこだわり抜け
 基本的には自分が所属している予備校の教材を使って学習を進めていくわけだが、他校の教材が気になるという経験をした人は少なからずいるはずだ。
予備校の講師からしたら、他校の教材を使わず自校の教材を使って受かった欲しいに決まっている。だから自校の教材を推奨してくるが、あくまで選ぶのは受講生である。

 村上ダネ樹「完璧な予備校などといったものは存在しない。完璧な会計士受験生が存在しないようにね。」
 
 他の予備校より、全科目優秀な教材を組んでいる最強の予備校なんてものがあれば、みんなその予備校に行くであろう。強いて言えば今、波に乗っている東京CPAがそれに近いが、他校には東京CPAにない魅力がいくつもあるはずである。ちなみに僕が通うクレアールは安いのが魅力だ。
 
 結論を言えば、自校か他校にこだわらず、自分が納得できる教材を使うべきだ。回す教材を確定し信じ抜くことは、学習を進めるにあたって大前提の部分である。
 私はクレアールに所属しているが、管理会計については、直前期において、東京CPAのテキスト、クレアール短答式過去問題集、LEC1問1答問題集を組み合わせて使用していた。大谷翔平もビックリ予備校三刀流である。もちろんこれは狙ったわけではなく、色々回り道をした結果、これらの教材をしっかりやれば合格レベルに達すると確信できたから使用していた。
 他科目でも他校の教材を補助的に使用することがあったが、教材集めは、各予備校に散らばったドラゴンボールを集めていく感覚に似ていた。
 予備校が一方的に送り付けてくる教材よりも、自分でかき集めて「これだ!」と確信することができる教材は宝物である。

 ただ予備校のカリキュラムをないがしろにしろとは言わない。途中でカリキュラムに疑問を感じることはあっても、結局は最初に自分で選んだ予備校である。
 オーキド博士からフシギダネをもらったが、途中でゼニガメが欲しくなったからといってフシギダネを逃がす必要はない。カリキュラムをこなし、レベルアップをしてきたであろうフシギダネは十分戦闘要員になる。ゼニガメはメルカリ博士またはヤフオク博士などからゲットすればいい。

 基本的には予備校のカリキュラムに従う。そのうえで、予備校が提供するものを職業的懐疑心を発揮して見極め、自分が納得できる教材を確立していってもらいたい。

まとめ
 私はこれらの点を常に意識して、できるだけ最短距離で合格水準+αの実力を得ようと勉強してきた。もちろんプロの予備校講師の方々と比べたら稚拙なところやツッコミどころも満載で、再現性があるかは正直わからない。
 僕の戦略が絶対的に正しいとは思わないが、そこまで外れた勉強だとも思わない。ただ、こうやって文章化できるほど勉強戦略や勉強方法について考察してきたことは述べておく。皆さんも自身の勉強戦略について書けるくらいの経験を是非積んでいって頂きたい。
 ばいばいちん。

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