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本の紹介17冊目 『貨幣の「新」世界史』

今回私が紹介するのは、カビール・セガールの著者『貨幣の「新」世界史』です。

「私たちはなぜこれほど「お金」に翻弄されるのか?」

本書は、2008年の金融危機の渦中でこんな疑問を抱いたウォール街の投資銀行家(著者)が、日本を含む25カ国以上を訪れ、

・脳科学
・行動経済学
・歴史学
・宗教学
・古銭学

などの専門家に取材を重ね、「お金」の起源とその魔力に迫った内容になっています。

また、『ニューヨーク・タイムズ紙』『ウォール・ストリート・ジャーナル紙』でベストセラーとして高く評価されています。

カーター元大統領クリントン元大統領など、多くの著名人から賞賛されている本でもあります。


以下に著者についてと、本書で特に勉強になったポイントを紹介しています。

【著者のセガール・ガビールさんについて】

著者は、米電子決済サービス企業ファースト・データ企業戦略担当で、元JPモルガンの新興市場部門ヴァイス・プレジデントであり、主にアリババのIPO(新規株式公開)などを担当しました。

これまでの著者では、ベストセラーとなった児童書『A Bucket of Blessings(共著)』などがあります。

またジャズ・ミュージシャンでもあり、プロデューサーとしてグラミー賞を2度受賞しています。

米海軍予備役や外交問題評議会の任期付会員、大統領選挙戦のスピーチライターも務めています。

【交換の生物学的起源について】

著者は人類の生物学的起源を垣間見るために、まずガラパゴス諸島を訪れました。

それは、チャールズ・ダーウィン(著書、『種の起源』で生物進化論を提唱)がそこで大いに誘発され、自然淘汰による進化という理論を思いついたからです。

調査をする中で、まず道具はエネルギーがスムーズに交換されるために使われたと分かりました。

ほとんどの生物にとって、共生関係(例えば、ウミガメと掃除魚(ベラ)、ミツバチと花など)の成立を支えるための触媒は栄養でした。
(ミツバチが配達人のように花粉を巣まで運ぶことです)

そして、同様に人類は消費量を上回る生産量を確保するようになり、その日暮らしの状況から解放されると、塩や小麦などの食べものを交換するようになりました。

これらの商品貨幣は象徴的な存在ではなく、生き残りという究極的なニーズを直接満たすために使われました。

そこで、脳の表象的思考(脳の創造力、抽象化する力)がさらに向上して、人類は食べ物だけでなく、手斧、槍、農機具なども交換するようになりました。

結果、最初は商人貨幣として誕生した貨幣が、金魂に形を変えて、最終的に硬貨や紙幣、そして電子貨幣へと進化していきました。

【債務の人類学】

お金の起源は物々交換に由来し、普遍的な交換を可能にするために貨幣が生まれたと考えられてきました。

ですが、実はそうではなく、硬貨が発明される何千年も前から古代メソポタミアでは利息付きの融資が存在し、債務のやり取りが行われていたと語られています。

つまり、お金の本質は債務の交換であり、債務には金銭的義務(市場経済)と社会的義務(贈与経済)が伴います。

例えば、車や住宅のローンを返済しなければ、契約上の合意を破ったことになり、債務を存じるのは間違った行為で、義務を果たすには恩に報い、返済する必要があります。

債務は硬貨が発明される何千年も前から存在しており、お金は必ずしも有形の商品である必要はなく、象徴としての価値があれば取引が可能であることを学びました。

【最後に】

本書では貨幣の歴史について、歴史的なまとめになっているので、生物学、神経科学など、様々な分野から「お金」について学ぶことができます。

ぜひ読んでみてはいかがでしょうか!

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