思考の近道を行く者は搾取される

「考えるという本当の労働を避けるためなら、人はどんな手段にも訴える」

こんな有名な言葉がある。

人は、怠惰な生き物だ。

正解の無い問いを追い続けたり、
詳細な情報を集め、入念に検討したり、
出来れば、そんなことはしたくない。

すぐに答えが見つかって欲しいし、
もっと言えば、誰かに答えを教えて欲しい。

そして、それが間違っていた時には、
誰かのせいにして、責任から逃れたいのだ。

故に、人は、

いかに、自分が考えなくて済むか?
脳を使わずに、正解を見つけるにはどうすればいいか?

そんな「思考の近道」を求めている。

では、ここで言う思考の近道とは何か?

それは、いくつもの要素があるが、
例えば、権威。

医者がこう言っているから・・
不動産屋がこう言っているから・・
証券マンがこう言っているから・・

・・・だから、間違いない!

そうやって権威に従ってさえいれば、
自分で何かを調べる必要もないし、深く検討する必要もない。

つまり、「思考すること」から逃げるために、人は権威に従うのだ。

確かに、彼らは造詣が深く、
一般人よりも正確な解を導く可能性が高いだろう。

特に医者や弁護士、公認会計士などに関しては、
社会的信用も厚く、一般人との知識差も計り知れないため、
その権威に従いたくなるのも分かる。

だが、忘れてはいけないのは、
彼らはボランティアでやっているわけではないということ。

彼らがやっているのはビジネス。
つまり、利益の追求である。

となれば、彼らにとって重要なのは、
いかにして、会社の利益を上げるか?

もしくは、
いかにして、自分の給料を上げるか?
ということだ。

そう考えると、

不動産屋が言っているから・・
保険屋がそう言うなら・・
証券マンがそう言うなら・・

この思考の近道がいかに危険かは明白である。

殆どの保険屋は、お客さんに適したプランではなく、
自分の給料を最大化するためのプランを提示する。

そして、「今は2人に1人がガンになる時代ですよ」
などと、それっぽい証拠を出して、説得するのだ。

実際のところ、知識の大した差は無い。

だが、「保険は複雑だ」という先入観と、
「保険なんて勉強したくない」という怠惰性によって、
人は権威に従い、思考の近道をするのである。

その結果、よく分からないまま、
毎月数万円を垂れ流しているのだ。

不動産屋や証券マンも同じである。

搾取されないためには、権威に従う前に、
その権威を疑うことを知るべきだ。

他にも、思考の近道というと、
一貫性の法則が挙げられる。

これは、自らの発言や思考と
一貫した行動を取ろうとする心理のことである。

例えば、

株式投資に興味あるって言っちゃったから・・
この物件を部屋留めしちゃったから・・
保険について教えて欲しいって言ったから・・

というような理由だけで、
契約までしてしまう人が多くいる。

それは、再度情報を集めたり、熟考するよりも、
一貫性の法則に則り、突き進んだ方が楽だからだ。

それに、一度発言してしまった手前、
「この人言うことコロコロ変わるやん」
と目の前の人に思われるのが怖いからである。

だが、そうやって思考の近道をするから、
不利な条件に気付かず、搾取されるのだ。

営業マンというのは、
いかにかしてお客にコミットメント(意思表示)をさせるか?
を考えている。

例えば、ボクが以前勤めていた会社では、
「保険に興味があるか否か」という内容の
アンケートをお願いすることがあった。

そして、あると答えた人には、猛烈にアタックをする。

興味があると答えたお客は、
「嘘つき」「不誠実」などと思われたくないからか、
保険に興味があるフリをし続け、提案を受け入れてくれるのである。

つまり、思考することから逃げ、
一貫性の法則に従い続けるというのは、
相手の罠に自らハマりに行っているようなものなのだ。

ここまで、
思考の近道をすると搾取されるよという話をしてきた。

急がば回れ。

これは行動のみならず、
思考においても重要なことである。

知識のない人間、勉強をしない人間、
もっと言えば、自分で考えようとしない人間というのは、
気付かないうちに、搾取されてしまうかもしれない。

思考停止していないか?

ということを常に自分に問いかけてみて欲しい。

それでは、また!






















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