ふたご α 没

また途中で終わってる!!!!!!
いつでも見直せるようにいったんここに。
ほぼほぼめりこゆれこらのリバイバル版。




あたしは地雷を踏まれるのが嫌い。
まあ好きな奴なんていないだろうが……その中でも、さっきあたしは本当に踏まれたくないそれを踏まれてしまった。
「んあ?……赤点が6教科? 困ったものだな、お前の姉はあんなに優秀なのに何でこっちは出来が悪いんだ?」
ムカつく、ムカつく!
なんでたまたま血がつながっているだけで比較されないといけないんだろう。どうしてわざわざ一番上と一番下を比べるんだろう。私は優秀な姉と同じ血と遺伝子があるのになんでこんなに出来が悪いんだろう……
なんだかムカついてたのに悲しくなってきちゃった。
はぁ……何か温かい飲み物でも飲もうかな。この校舎横にはちょうどよく自販機があるし……って、あれ?財布がない……どうしてこんなにあたしは忘れものが多いんだ? クソ……ムカつく!!!
あたしは自販機の横にあるごみ箱を蹴飛ばした。中身がパンパンに詰まっていたのか、衝撃で蓋が外れ入っていた空のペットボトルが周りに散らばった。
あちゃあ……別にここまでするつもりはなかったのに。片づけるのめんどくさそうだな……逃げようかな。
「ちょっと!これあなたがやったの!?」
「あたしじゃねえよ! あ、うわ」
見つかったのは、ちょうど会いたくない奴であたしの双子の姉の方の花梨で……
「なんだ、みかんだったのね……一緒に片づけましょうか」
「ちが……あたしじゃない……」
「こんなことするのはあなたしかいないでしょう?」
「なんで勝手に決めつけるの!?」
「だってここにみかんしかいないじゃないの……あとさっき生徒指導室から出てくるのを見たけどあなたまさかまた成績が下がったの?」
どうしてそんなに踏んで欲しくない所ばっかりこいつは触ってくるんだろう。
決めつけられるのは嫌。姉と比べられるのは嫌。一緒にいるのももう嫌になった。
「花梨は逆に上がったみたいじゃん…‥あんただけずるいよね……」
こうしてる間にもゴミを片付ける花梨と、ただ立っているだけのあたし。なんだか世界からもあたしたちの優劣を比較されているように思えて辛くなってくる。なら、あたしも拾えばいいのにどうして体が動かないんだろう?
「ズルくないよ、私ができたんだからみかんもできるよ?」
「花梨はあたしが何もやってないバカって言いたいんだ……そうだよね、あたしのことなんも見てないもんね、あたしだってそれなりに頑張ってるのに……何やっても下がっちゃうんだ、あんたはずっと上がっているのにね……」
「ちょ、ど、どうしたの?」
「あたしと比較して褒められるの嬉しかった?そりゃうれしいよね」
「どっちにしろさ、ね、ほら、散らばっちゃってるから片付けよ?ね?」
子供に誘う時のように私を呼ぶ。花梨はあたしを待たずに地面に散らばったペットボトルのゴミを拾い始める。……あたしは何もできず立ってるだけ。違う。動けない。花梨の前では体も感情もうまく制御できなくなる。こんなことを考えても体は動かず、ペットボトルのゴミたちを混ざっている。
……もしかしてあたしは人間じゃなくてモノですらないゴミだったのだろうか?使い果たされて役目を終えたモノのなれの果て……あたしは使い果たされてもないし役目もなんもないけど。じゃあ生まれた時からゴミだったのかもしれない。それで、あたしはこのゴミと一緒に花梨に捨てられる……なにそれ。花梨があたしを捨てる?また?違う。あたしはゴミじゃない。
まだ足元に転がっているペットボトルのゴミを拾い、それを花梨に投げる。
「痛っ!」
はは……ほら、体が動いた。あたしはゴミじゃない。
ペットボトルは花梨に向かって一直線にとび顔にぶつかった。別にどこにあたっても、痛くても、申し訳なさは出てこない。
「もう、だめでしょ! 投げるんじゃなくて拾って捨てるの、わかった?」
……どうしてそんな冷静なんだろう?
「みかん? どうしたの……? 顔色悪いけど、大丈夫?」
あたしは花梨にゴミを投げつけ傷つけたのにどうやら顔色が悪いらしいあたしのことが心配で……こっちに歩いて近づいてくる。
わからないわからないわからない。また体が動かなくなる。あぁ……またゴミになったあたしは花梨に捨てられるんだ。
「嫌だ……やだ、投げてごめんなさい、すてないで、ごめんなさい」
どうしたものか、口から思考が漏れる。花梨も近づいてくる。
「こ、こないでよ!あたしはまだゴミじゃないの! 捨てないで!」
思考が全て漏れ切り目から涙もこぼれる。
こぼれだしたらもう止まらないのか立っている力も抜けて座り込んでしまった。……あたしはいつからこんなに弱かったんだっけ?
「ちょ、みかん、本当に大丈夫!?」
「う……ぐす、あたし、よわくなっちゃった……」
「弱くなっちゃったんだ?」
「でも、あたし、ごみじゃないから、すてないで……」
「捨てるわけないよ! ……そっか、やっとこうなってくれたんだね」
幼い子をあやすときみたいになぐさめてた花梨の声が、笑い声の混じった嬉しくて仕方がない声に変わる。
「待ってたんだよ、みかんが弱いだめ人間になるのを」
「私は知ってるよ。ちゃんと見てるから。先生たちから見限られて、クラスメイトからもハブられてどん底に落ちちゃってるのも知ってるよ」
「怖くなっちゃった? 泣かないでいいよ、私はみかんのこと嫌いになってずっとならないよ」
たぶん、あたしの悪口を言われてるんだろうけど、さっきからおかしいあたしは思考が真っ白で花梨の言葉を頭が受け取ってくれない。
でもなぜか安心できる花梨の声は耳に入るだけであたしの体の全ての力を抜けさせてきた……

昔は良かった。みんなあたしだけが苦しんではいなかった。花梨とみかん、二人でかんぺき。ずっとそう思ってたし、一緒にそうだと言っていた。同じ記録を取って重ね合わせるとちょうど完璧。協力したらもっといいものができる。……今思い出すと随分ふわっとした記憶だ。でもあのころのあたしたちは確かに最高のコンビだった。それがいつのまにか、花梨の方に比重が傾いた。花梨だけ伸びた。テストの点は花梨があがり、あたしが下がる。泳いでも走っても、花梨が絶対リードするようになる。協力するときは花梨が指示を出して、あたしがそれに従うようになった。……あたしが劣っている?そんなこと考えたくなかった。同じ時間を過ごして、ずっと一緒にいたのに、どうしてあたしだけ……?どう思考を巡らせても理解ができなかった。時間が進めばいつの間にか花梨は学校のみんなに慕われていて生徒会長で、いつも笑顔で一人で完璧。あたしはひとりぼっちで不良みたいって言われて、いつも辛くて、全部だめ。もうあの頃みたいになかよくはできないだろうし、好きとも言えない。恨みとか、嫉妬とか、そういう感情しか向けられなくなった。そもそも双子だという意識は無いし、誰かに言っても信じてもらえないだろう。あたしも花梨はもう他人のように感じてる。嫌い……

……あれ? 見知らぬ天井……ではなく保健室? なぜ……?
「あ、みかん起きたんだ。 泣き疲れて寝ちゃったみたいだから、保健室に連れてきたんだ」
なんだそれ。泣き疲れて寝た? そんな幼すぎる事あるわけない!
「みかん、体力無いんだね。 そっか……こういう所もなんだね」
「何、あたしをバカにしてそんなにたのしい?」
駄目なあたしと優秀な自分を比べて

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