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ニュース解説:CNBC なぜ今アメリカではEVのリース契約が安いのか

EVリースの魅力

現在、アメリカでは電気自動車(EV)の販売が難航しており、購入するよりもリースする方がお得な状況が続いています。リースとは長期レンタルのようなもので、将来的な再販の心配がなく、メンテナンスの心配もほとんどありません。また、月々の支払いが少なく、通常購入時には得られない補助金を受けることができるという利点があります。

高まるインセンティブ

バークレイズのアナリスト、ダン・レヴィ氏によると、2024年5月時点でEVのインセンティブ(事実上の値引き)は、ステッカープライスの15%から30%に達しており、全体の産業平均の5%から6%を大きく上回っています。テスラはアメリカのEV市場の約50%を占めており、モデルYの値引き率は13%に達しましたが、このプロモーションは6月1日に終了しました。一方、従来の自動車メーカーのEVに対するインセンティブはさらに高く、一般市場向けEVではステッカープライスの25%もの値引きが行われています。

リース契約の増加

リース契約の割合は、2024年5月には全体の新車販売の23%でしたが、EVに関しては35%、ディーラーが販売するEVに関しては70%近くに達しています。リース契約は通常3年間で、期間終了後には車を返却するか、買い取るオプションもあります。月々の支払いは購入する場合よりも低く抑えられ、走行距離制限や通常の摩耗を超えるダメージに対する追加料金が発生する場合がありますが、新しい車を手軽に利用できる点が魅力です。

リースの利点と特定の消費者層

リースは、特定のタイプの消費者にとっては理想的な選択肢です。たとえば、ビジネス利用のために車を経費として計上する営業担当者などが挙げられます。また、技術の進歩に敏感な消費者にとっては、数年ごとに最新の技術を搭載した車に乗り換えられる点も魅力です。

インフレ抑制法の影響

インフレ抑制法(Inflation Reduction Act)は、新しいEVの購入時に適用される7,500ドルの税額控除をアメリカ製の車に限定していますがリースを利用することで、この制約を回避し、外国製のEVでもこの控除を受けることが可能です。

EVリースの低価格

2024年6月時点でのEVリース価格は非常に低く、たとえばヒュンダイのアイオニック5は、購入価格が40,000ドルからであるのに対し、月額242ドルで36ヶ月のリース契約が提供されています。シボレー・ブレイザーEVも月額369ドルで24ヶ月のリースが可能です。

リースの一長一短

リースは自動車メーカーにとって、一長一短のある戦略です。リース契約により、在庫を効率的に処理でき、消費者にブランドの忠誠心を植え付ける効果もありますが、リース終了後の中古市場における価格低下のリスクも伴います。2024年5月時点で、中古EVの価格は前年比で16%下落しており、内燃機関車の12%を上回る下落率を示しています。

長期的な課題

長期的には、EVリースの人気が高まる一方で、自動車メーカーにとっては利益の先送りとなり、将来的な損失リスクも存在します。新しいEVの技術が進歩し、市場に溢れるリース終了車両が中古市場に影響を及ぼす可能性があるため、リース戦略は慎重に検討する必要があります。

まとめ

EVリースの普及は、消費者にとっては有利ですが、自動車メーカーにとっては将来的な課題を含んでいます。今後の市場動向とリース契約の影響を注視することが重要です。

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