突然Y2に戻るAPACNとクリプトの特徴 Apex机上の卓論

めちゃくちゃに面白かったリージョンファイナルのタネや仕掛けを考えてみる書きなぐり。

クリプトの特徴

クリプトの特徴は、エリア圧力に寄与できない代わりに情報を入手できるこ所にある。ドローンによるオブザーバー視点から圧倒的な情報アドバンテージを得られるのだ。
遠隔でのビーコン操作は更にそれを助けてくれる。

重要なのは、Apexというゲームにおいてドローンによる情報アドバンテージは獲得ポイントへ繋がらないという所にある。リブートでキルを稼ぐことはできない(シールドしか削れず、鈍足しか入らない)し、その間プレイヤーを撃つこともできず移動することもできない。コストとしたエリア圧力は順位ポイント、キルポイントへ直接的に繋がるものである。銃が撃てるからね。いかにしてその情報アドバンテージを本来得られたはずのポイント以上のものへ変換するか?ということが求められ、そのためには行動が必要となる。
行動、情報アドバンテージをキルポイントへ変換すること。そのためにはクリプト以外のチームメンバーが動ける状況にあることが求められる。敵チームに周囲を囲まれているような動けない状況であったり、全員が狭いスペースに押し込められていてはそれは叶わない。
当然のことながら、敵チームに攻め込まれている状況では……その価値は半減してしまう。
受け手に回るレジェンドではなく、情報アドバンテージを生かし積極的に介入、狭いエリアにしがみついている敵を襲いにかかるための使い方が必要となる。時に確保エリアにこだわらず、次々と移動していくことが求められるだろう。
クリプトによって自チームのエリアが狭まる。そのエリアを守るために、グレネード対策にワットソンを投入しそこを守り切ろうという発想が間違っているわけではない。そこから動けるようになるのであれば、相方は関係がない。ただその狭いエリアを生命線とし、敵に備えることだけを考えるならば他に適したレジェンドが存在するはずだ。

HAOはとてもそれを上手くこなした。安置内のエリア保持にこだわらず、次々と外から無理に入ってきた敵チームを破壊しキルポイントへとつなげている。
同じくFNATICも、外々の動きでエリアに執着せず(本来エリア保持が抜群にうまいチームなのだが)取れる所へ襲い掛かるという方法で用いた。決して彼らの本意たる構成ではないとは思うが、レベルの高さを示した。

エリア保持にこだわらず、仕掛けていくチームがクリプトを用い成功させていった姿をみると世界でも通用しそうな使い方に見えてしまう。
しかし、これが通用したのはAPACNだからであろう。

クリプト内部破壊やポジション突撃ファイトが成功したワケ

エリア保持、つまりポジション優位の基本から振り返りたい。
青エリアを確保している受け手チームに対し、赤チームが仕掛ける図だ。青の遮蔽か、建物かまで近づければ赤チームは主導権を握ることができる。青チームとしては、ポジションの優位を押し付けて黄色エリアを上手く用いダメージトレードで優位に立つことが狙いとなる。

何度も繰り返してはいるが、カタリストの登場でエリアの奪い合いが発展したのがY3からの流れ。Ultを用いることで黄色エリアを狩り取り、青チームへ近づくことができるようになった。
こうなってしまうと、ポジション優位は無くなりフラットだ。ファイト性能を押し付けるのか、同居をして一旦タイミングを見計らうのか、様々な選択肢からくる主導権は赤チームにあるといえる。

前で当たって防ぐ、というところに繋がる。
黄色エリアへ飛び込ませないように、フラッガーがエリアプッシュを仕掛けそれを優位なポジションにいるアンカーが支える。
この前提がある上で、ポジションファイトの優劣を競っているのが今のApex競技シーンだ。確保するポジションの優劣も、必要なものも大きく変わった。
この黄色エリアを広げ敵を押し込めることで優位に立とう、というのがSP1コースティックであったり、ヒューズであったり。
これを攻略するために様々なチームが研究を重ねたり。
それがブラッドハウンドという答えを失った結果どうなったか。

まさかの先祖返りである。

APACNのリージョンファイナルは、それなりなチームがクリプトを採用し、それなりなチームが(クリプト非採用のチームも)エリアを使って守らなかった。多くのチームの戦術が突然year2に戻ってしまったのだ。
エリアを使わずに守ることで、中へ早期に入れるチームが増える。他介入があるから仕掛けられないということは、自チームも動けないということで……。クリプトによる情報アドバンテージを生かせぬまま、ランダム加減の若干増した安置が外れたら動けず、ファイトへ介入もできず、多くのチームが苦しんでいった。ゲームが長期化したのもそれだろう。
恐らく今回のリージョンファイナル、最適解はローバコースティッククリプトでよかったはず。多分。

愉快なリージョンファイナルであり、怖いリージョンファイナル

Fnaticはノリがよかったのかどうか。ジブラルタルを使っていたりノリがよかっただけっぽい。DOSUKOIが活躍したり、FUNNYやKNの仕掛けが有効に働いたのもそれが大きい。

オフラインではこうはいかない。めちゃくちゃに面白くはあったが、めちゃくちゃ怖くもある。この感覚のままたどり着く先は、カタリストメタではなかった事件の再来だろうからね……。
FNATICが持ち込んだ正解の一部をコピーすることには成功したが、それを失うと帰る先がY2しかないAPACNの現状が垣間見えた気がする。
そんなことはないよな……?

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