ALGS Y4 SP2Playoff Finalの書きなぐり速報と今回の総括

優勝はSSG、まずはメタゲームの振り返りから

スイングファイトが中心、外優位から迎えたスクリム序盤。
初日のストームポイントで、NotMoistが持ち込んだバンガロールヒューズクリプト。
20killoverのビックスコアをたたき出した彼らと、変化を求めた一部クリプトチーム。そして元よりのクリプトチームが同調した結果、クリプト中心のメタゲームがスタート。
中に、外にと万能なバンガロールワットソンクリプト。
BLEEDのバンガロールカタリストニューキャッスル、FURIAのパスファインダーニューキャッスルクリプト、そして更に受けへ回ったニューキャッスルワットソン構成。
元より予想していた通り、ALGSは単独ピック率で8割を超えることはバンガロールをしてなかった。

SP1Playoffのピック率。
バンガロールブラッドハウンドが必須レジェンドだった。
そこからEWCのピック率。
ブラッドハウンドが大きく数を減らすも、バンガロールは完全に必須の1枠を維持。
今回のSP2のピック率。
バンガロールが8割を切り、クリプトは7割。
ニューキャッスル、カタリストの躍進が目立つ。
今回の構成選択率。

大会を通して中心となったのは、バンガロールワットソンクリプト。
Finalでも7-8チームが採用する一番支持率の高いものとなった。
優勝を決めたSSGも採用しており、このALGSを象徴する構成となったことに疑いはないだろう。

ALGSメタゲーム総決算、Finalロビーの内情は?

今回を通して採用率の高かったバンガロールワットソンクリプト構成。
この構成をいかに攻略するか?という部分がスクリム推移において中心となったことに間違いはない。
終わってみれば、序盤は固まり切らなかったメタゲームで各チーム試行錯誤をしていたこともあったが、メタゲームは完成した。

完全なる攻略は、不可能だった。
不可能だった……?不可能だと判断した、チームが多かったのだ。

クリプトヒューズ構成を用いてクリプトワットソン構成へ対峙する。
スクリムよりそれを万全にこなしていたのはNotMoistくらいのものであり、彼らであってもポジションに対してのファイトはやや苦戦していた。
これがNotMoistやTSMがスクリムより使い続けた構成が、Finalではその2チームにFNATICと一時のSSG、Falconが採用という4-5チームにとどまった理由。
ワットソンクリプト構成が好む家屋等完全遮蔽に対する攻撃力が、万全ではなく……ニューキャッスルに対するプッシュも今や万全ではない。

Evacヒューズの完全使用不可が重なった結果、ギリギリで保たれていた外ファイト肯定構成のパワーが、許容水準以下に落ち込んだのか……?

スクリム当初より抱いていた、外ムーブは辛いのではというなんとなくな想像。
NotMoistという、華麗なファイトチームによりその考えもいつの間にか消えていた。

誤解を恐れずに言うならば、第一円収縮時でも大きく外を回り、二円や三円からファイトで道を作る大きな外ムーブではキルポイントをそれなりに稼げはすれど、チャンピオンを目指すことが非常に難しいだけではなく、そもそもにアクションをかけても成功する可能性が低い。
ファイトによる攻略ベースを抑え、早期にポジションを確保することへのバリューが向上した。

ストームポイントの第三戦。
今までならば、南ランドマークが外からでもアクションで入れた安置。
南側ランドマークで、安置内にポジションを作れているチームが存在しない。

ミラー構成や、若干に甘えたポジション、移動中に際してのファイトで強力なパワーを発揮したNotMoist。
最終的に55Pの10位という結果で終わった彼らだが、ついにチャンピオンを獲得することはなかった。
というよりも、ゲーム展開で第一円縮小時に外を回っていたゲームでチャンピオンを獲得したのは5試合目のallianceと9試合目のLiquidだけ(他にもあったら申し訳ない)であり、その彼らも外を回ったというよりは真っすぐに安置内を目指して安置の空いているポジションへ入り込んだ試合だ。
そこでポジションファイトを行い、こじ開けて入った試合ではない。

安置内へポジションを作れなかったチームが成績を伸ばすことができない。
それを嫌い、安置内へチームが急いでいく。
その終盤でのカオスをコントロールすることは、非常に難しい。
構造的にはAPACNRFと同じ、ロングゲームになったのがこのプレイオフだ。

当初の使い方は大きく違ったが、ファイナルのクリプトがもたらした有利はAPACNと同じだ。
決してバトルクリプトではない。
空いているポジションを見つけ出し、入ることができる優位性だ。

途中Falconと当たりかけるも、両チーム移動を優先した。
真っすぐに安置内を目指し、駅へ入り込んだLiquid。

ニューキャッスルカタリストに代表されるような、ニューキャッスル構成のはクリプトワットソン構成と確保ポジションをすみ分けできる。
この試合がまさにそれを象徴しており、GGはだからこそのポジション。
VKがこのゲーム展開でチャンピオンを獲得できたのも、クリプトというポジション確認のアドバンテージと、ニューキャッスルという別軸のポジションを作成できる能力が大きい。
中が優位、ファイト肯定構成を失った結果外ムーブのパワーが落ち込み、カウンターに優れたクリプトとニューキャッスルへ仕掛ける(動かす)ことが不利。
それはallianceであっても同じであり、局所戦闘や屋内戦のスイングファイトが非常に優れている彼らといえど、EWCのように全てをファイトで解決することは難しかった。

Falconの苦戦はここにあると見ており、彼らはポジションに対してアクションをかけ、外よりその部分をこじ開けたり奪ったり、状況を操作するための動きを内部より試みていた。

明らかに内部で1チームだけ広くエリアを取るFalcon。

彼ら、Zer0が得意な方法であり、FNATICも得意とし試みていた方法だ。
構成も同じであり、目指す部分も同じであった両チームがここまで明暗を分けたのは、FNATICがルーザーズラウンド2へ回ってしまったこと、Falconがウィナーズラウンドを突破できてしまったことが要因だろうか。

最終円付近、ポジションを軸にエリアを広げる構えでコントロールを図ったFalcon。

安置内ポジションが確保できているallianceに対して(想定リスクが低い)1枚を当て、飛び込んできたDFに2枚を当てこみプレッシャーをかける。
この動きに対して、ポジションを手放しスイングファイトを仕掛けてくる両チームに壊滅させられてしまう。
当然対峙したチームの不幸(スイングファイト中心のallianceと、同じDF)もあったが、このシーンがそれを象徴しているように思えた。

BLEED方向へ三枚を集中し、広くエリアを確保しているNotMoistやNRGに対してはアクションをかけないFNATIC。

FNATICは、基本的にそれをしなかった。
プレッシャー方向を分散させることなく、一方向へ集中する。アクションを起こす時は、ワンピックや大きな優位を用いてからのスイングファイトだ。
エコーHQ階段にポジションを取ったマッチポイント到達ゲームでも、プレッシャーを分散させることなくエコー方面へ集中した結果だ。

それを試みた結果が、グループステージの苦戦やルーザーズラウンド2だからだろうか。
Falconは大きな選択エラーに気づけぬままFinalでそれにぶち当たり、FNATICはその部分へ先に対応すると腹を括ることができていた印象だ。

仮にFNATICがwinners突破を果たし、Falconがloosersだったなら……?
逆だったかもしれねェ……。

SSGの優勝、その理由

SSGが優勝を決めたのは、ワールズエッジランドスライドピックからの一戦目二戦目で見せた中へ急ぐスーパーヤンチャどか凸ジャンプからの0POINT20位ENDが大きい。
グループステージで中へ切り替え、ヒューズ構成からワットソンへ切り替えていたように、このロビーの構造を見抜き後より一歩先にアジャストすることができていた。

元より外から破壊して回るチームであることに疑いはなく、ナンバーワンコントローラープレイヤーと呼び声の高いKoyful、トップクラスのコントローラーであり、世界優勝経験がありながらも弄られ過小評価されやすいXynewを、NAverのBKGK感のあるコントローラーPhonyがIGLで動かすファイトが資本な彼ら。

中入りどころか、中へ急ぐ経験値なんて殆どない。
Xynewが過去の経験(DZでのそれ)などを一生懸命に伝えたのかもしれないし、Koyもそれを支えただろう。
その部分が開幕2戦のEvacジャンプだ。
思い切りのよさ、一歩踏み出す勇気こそが彼らの素晴らしい部分。
ファイトで上がってきたチームが、突然そこへBETすることを決める決断力たるや想像を絶するものだろう。

彼らには昔からある一つの特徴がある。
隅っこや、家屋の狭いスペースで一時耐えるのが好きなのだ。
思い出すのはセトステーションの端にある、円柱を横に倒したあの家屋であったり、モニュメント安置で外れていく中家屋の角で三人がしゃがんでいる光景。
慣れているのだ、この状況に。

エリアコントロールへの対応へは苦しみ、純粋なるスイングファイトにも苦しんだ彼らが優勝を決められたのは、強力すぎるフラッガー2枚で瞬間的なダメージトレードで有利

[Huge Dmg! Huge Dmg! Huge Dmg!  one shot!!!!!!! down! down! down!]

を獲得し、勢いのままにスイングで仕留める

[Left swing! Left swing! Left swing!]

というこのロビー特有のそれをプロリーグ時より強みとしていたこと。
そのスイングにPhonyがポジションのそれから遅れることが多々あり、そもそもにクリプトというレジェンドのファイトズレ問題をシアバンガヒューズの段階から抱えていたこと。

[back! back! back!]

元より狭いスペースからなんとかする状況に慣れていたことがあげられるだろう。
そこにアキンボモンザピークという、明らかにオーバーパワーな武器が重なった。

愛すべき、パッションに溢れた彼ら。
動画やヒューズ構成で何度か紹介もしたように、よく視点を見ていたファンなチームだ。
その成功、栄光は決してフラックではなく、パワーで解決しただけではない。
ロビーを見抜き、不慣れなムーブながらもアジャストしたゲームマネジメントがもたらした結果だ。
それをグループステージより行っていたこと、素晴らしいというほかない。
実にお見事である。
おめでとう!

サッポロはAPACNが勝つから、今のうちに喜んでおけよ!!!!!!!!!!!!くそ!!!!!!!!!!!!!!!!!!あともうちょっとだったのに!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

書き殴りプレイオフ総括と、そしてLCQ

今回のALGS Y4 SP2 Playoffをまとめると、やはりスクリムは滅茶苦茶に大事だということだ。
本番で突然のウルトラCを刺す、というのは滅茶苦茶にジーニアスな発見。それこそにシアのFURIAのような今後メタゲームの中心となるオーバーパワーなレジェンドを発見していない限りは難しい。
試行錯誤が続く中なら、比較的多数の軸となっている構成に合わせゲームプランを構築することが必要だ。
立ち換える際はやはり練習、積み重ねた所のある部分。
チームコンセプトを曲げず、スクリムより貫いてきたチームが多くファイナルに入っていることからも、それは明らかだ。

クリプトの透明化による最終円ハイド、順位伸ばしはオーバーパワーだ。
恐らくに手が入ってしかるべき部分であり、そこへ手が入らなければ不満の声は大きいはず。
バナー回収からの即時リスポーンという部分もゲームへ大きく影響を与えており、ここも調整が必要かもしれない。
今まではAPACN、SA等、一部のチームやリージョンの採用にとどまっていたことで隠れていたクリプトというレジェンドの問題点が大きく露呈している。
あまりに目立つことで、特徴的なクリプトプレイヤーが損をすることは避けたかったが……最早、手が入ることは確定だろう。

ニューキャッスル構成、ワットソン構成は攻撃力を他の部分で担保することもできるが、やはりカウンター、受ける側の構成だ。
当初よりカタリストと組み合わせることで終盤において抜群の性能を発揮したが、それは終盤まで残れる構成だからこそ。
世界トップクラスのチーム、プレイヤーが揃うファイナルにおいてでもこの構成を攻略することは難しかった。
カタリストカーテンと、ニューキャッスルウォールのコンボはこのゲームを象徴するものとなるだろう。
BLEEDのコーチRavenは、TSMからHALが離脱した際のゴタゴタでEvanより「終わったコーチ」扱いをされる手厳しい一言もあった。
しかしに、この構成を見つけ出した手腕は本物だ。彼こそ称賛されてしかるべき世界トップクラスのゲームマネージャーであることを再び証明した。
決して難攻不落の最強要塞ではなく、あくまでロビー全体が中へ固まったことと安置のそれによって更に強化されただけではある。
実際のバランスを崩壊させているとは思わない。悪いのはクリプト……だろうな。

アキンボモンザピークはちょっとダメかもしれない。
何がダメって、これ完全にコントローラープレイヤーの武器なんだ。
ド近距離専用のマスティフやピースキーパーとは違い、ボルト等の距離で強い武器なんだ。
ハボックによる近中距離のワンピック性能が落ちていないことも相まって、アキンボモンザピークは完全にコントローラー優位のロビーを作り上げてしまった。
実質的にボルトやR-99といったSMGロビーが戻ったようなものである。
だからこそ、アキンボモンザピークの性能がオーバーパワーでは決してない(そこまでへ行く過程が重要で、SMGほどそれに寄与できる武器ではない)とは考えているのだが、目立ちすぎている。
コントローラープレイヤーがassist0.3化の影響を受けていないと感じるのは、当然にその競技シーンのスキルもあるがアキンボモンザピークが有効な距離がメインだったからだ。

APACNチームは、FNATIC以外大苦戦という苦しい結果に。
個人的に感じる部分としては、ゲームマネジメントへの対応力だ。
プレイヤースキルという部分では、そこまで大きく差が開いているようにはやはり思わないのが実情だ。
「自分たちのサッカー」、そんな言葉を思い出した。

気になるのはAPACN LCQ、そのロビー。
中入りが非常に肯定されやすい状況で、どのチームがどういう選択を取るのかという部分が気になるところだ。
ALGSプレイオフへ出場したチームでもアドバンテージを獲得しているのは唯一HAOであり、他のチームはむしろ迷路の中だろう。
FNATIC、E36はCSへの出場を決めているために考える必要もない。
ニューキャッスルワットソンクリプト、それに類似した中入りの構成が増えそうだ。
更に中へ急ぐ状況、それを破壊したチームが世界にもいない以上は仕方のない流れだろうか。
ランドマーク争奪戦は厳しいものとなるだろう。

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