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出産に立ち会ったなら──君のいまがより良くなるように。

もし、電車で通勤途中に、車内に妊婦の方がいて、今にも赤ちゃんが産まれそうな場面に立ち会ったら、君はどうするだろう?

誰かが妊婦さんを助けてくれるのを待つのではなく、自分から名乗り出て、車両を駆けまわり、医師や協力してくれる方を探し、赤ちゃんをくるんだりするタオルを集め、隣で妊婦さんの手をとり声をかけながら、出産を手伝いたい。タオルがすぐに見つからなければ、ぼくがいつも着ている暖かい紺のジャケットを使ってもらいたい。

いざ現場に立ち会った時、はたしてそんなふうな想像どおりに動けるのだろうか、動けるようになりたいなと、車内で思う。

常磐線で妊婦の方が出産したのはつい最近のことだからだ。

たぶん、そういうシーンに立ち会えば、多くの人が、誰に指示されなくても、医師でなくても、妊婦さんを助けようとするだろう。

困っている人を助けようとする気持ちは、きっと誰もが大小あれど持っている。

ぼくは、自分の中にあるそのちいさな芽のような気持ちを大切にしたい。

大切なジャケットをタオルとして使うことになったとしても、その後着ることができなくなっても、赤ちゃんや妊婦さんを守るために使われたなら、「命を救う立派な仕事をした」とジャケットは喜んでくれるだろう。

仕事とはシンプルに、人を助けることだ。

どんな結果につながるのかわからない些細な仕事も、妊婦さんを助けることとまったく違うことのようで、変わりない。だから多少の損や苦労は厭わない。人助けするチャンスなのだから。

進んで損して役立とう。

損得感情でものごとを判断しようとする心が大きくなってきたら、おまじないのように唱えている。

君のいまがより良くなるように。
父さんは今日も願っています。


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