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素直に欲しい物 vol.3

数ヶ月前の話。

とあるアトリエに出向き、お願いをしに行きました。



「コートを作っていただけないでしょうか?」


と…


個人的に愛用している一着の古着のコートがありまして
すごいお気に入りなんですけど、本当に理由がよくわかんなかったんです。
(たまにそういう時があるんですよ)

素材感やシルエットといった総合的な判断なんですが…兎にも角にも去年はそればっか来ていました。

お気に入りが過ぎるので、もしかしたら秋冬にどこかが似たようなものをつくるんじゃないかなぁっていう他力本願な感じでワクワクしていた所(たまにその気分がブランドさんと重なる時が本当にあるんですよ)

まんまと作っていなくて……
まぁそりゃそうだよなぁとあきらめようかと思ったのですが…(そういう時も、もちろんあるんですよ)

悪魔のお誘いというか、悪知恵が働きまして…

「アレレ…これは…つくっちゃう?」

となったわけです。

実は、それらをやってくれそうな方が…いらっしゃいまして
その方の所に出向くと、結構すんなり、驚く程滑らかに快諾。

思ったよりも話がスムーズで、しかも理解が早いのかミーティングも小一時間もかからずに、あとは身の上話をするという余裕っぷり。(コーヒーごちそうさまでした)

今回ご協力いただいたのは東京は白金にアトリエを構える ANSNAMの中野氏 (詳しい詳細はリンクを御覧ください)

主にアトリエ兼店舗にてオリジナルの製作や、お客様のオーダー品を提案する洋服好きなら堪らない場所。

至る所に生地のロールが転がり、おもむろに触れるそれらの生地は日本三大綿織物の産地に数えられる遠州地方で製作されたオリジナルの生地や、中野さん自身はイタリアなどで買い付けた面白い生地たちです。

そんな夢のような場所で、自分のコートを持っていき

山下『こんな感じのを作りたいんですよ』

中野氏『あ、いいですね』


という感じで(結構、本当にそんな感じです笑)

製作が決まりました。

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ベースとなったコートは50年代アメリカのちょっと鈍臭いコート。
仕立ても良く、おそらくアメリカの恰幅の良いおじさまが来てらっしゃったであろう形。

身幅が広く、全体的なシルエットが四角いずんぐりとしたバランス感。

やや野暮ったいくらいに太めなノッチドラペルの低めのゴージライン。

一言でいうとイケてないバランス笑

でもそれがなんとなく良く見えるのは偶然が生んだバランスだからなんだろうと思います。

おそらく、その当時の既製服ではなく、ビスポーク的なニュアンスだったんだと思います。

身長はそれほど高くなく、恰幅の良いふくよかな男性が丁度良く着れるバランスだったのでしょう。

そして、程よくカジュアルに着れるようにそのようなラペルになったのかな??

色々と想像すると楽しいんですが、そんなアイテムがなんだか愛くるしくて…

猛烈に欲しくなったんです。ストックとして笑

理由が不純ですが…そんな理由もありながら一から製作していただいたアイテムです。

せっかくなので全く同じにしても仕方ないと思い、ややバランスは変更しました。

持っていた物よりも身幅と肩幅を少し出してもらい、そして着丈を削り、
コートと言うよりかはジャケットのデカいヤツみたいなバランスにしてもらいました。

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でもコートらしさは失わないようなニュアンス。
これが上手くでてます。

これが本当に大正解で、太めのパンツのシルエットにばっちりハマるので最高です。

スーパーロング丈も大好きなんですが、これをやるとスタイリングが出来なくなっちゃうんです。

着ちゃえばカッコいいのでラクで良いのですが、パンツのシルエットが見えないからなんとなく勿体ないといいますか…

着丈を削ったことで、なんとなく邪魔だった感じもなくなりいい感じのバランスに。

本当の意味で大人なバランスになったなと思います。

そして車乗る時も良いバランスになるという嬉しい誤算に。 

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  そしてオリジナルには無いディテールで襟立てをしてスタンドカラーの様に着れる様に変更して頂きました。
オリジナルのコートはちょっと開きがあって首もとが寒かったので無造作に襟を立てていたのですが…そもそも…そういう使用じゃないだけにすぐに落ちてしまってイライラしていたので笑

しかも、この使用は中野さんからの提案で、言ってもいないのにそうしましょうか?と言って頂きました。

さすがというか…いろいろとバレてるのかなと思いました笑 

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今回使用した素材はANSNAMさんではお馴染みといいますか…生地選びのプロである中野さんが惚れ込んだウールメルトン(繊維レベルで見たときにカシミヤと匹敵するくらいの細さなんだそうです)を贅沢に使用して頂きました。

おそらく見て、触れて頂ければ分かりますが…見た目とは裏腹な柔らかさと軽さです。(思わず気がついたら着ていると思います、本当に)

裏地は鈍いグレーのキュプラを総張りしてもらいました。
表の黒とのコントラストがとてもいい感じ。最高です。

ロールの段階で見せていただいたのですが、なにも迷う事なく
それだなとなりました。 

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仕上がりは…もはや言うまでもないといいますか…
個人的には大満足すぎて、むしろ皆さんに受け入れてもらえないんじゃないかっていうくらいに自分好み笑

もはや売れるとか売れないとかを置いておいてというか…自分が好きだなっていうバランスそのものなので…

一応お店ですから、多少なりともそれらを理解してくれる方ももしかしたらいるかもしれないと思い

数着限定ですが製作いたしました。

別注というよりか…私の個人オーダー品です笑

そして、そんな理由から生まれたので当然ながらワンサイズ

でも、元が古着のコートが始まりなのでサイズレンジがあるほうがおかしい。
様々な体系や性別の方が着た時にでる余白の差を楽しんで頂ければ幸いです。

ただ一つ愚痴なのですが…155cm〜180cmの様々な体系の男女のスタッフに着てもらった所…なんと…それぞれの良さがあって…ちょっと悔しくなりました笑 

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なので One size fit all というのが本当に正しいかもしれません。

そしてANSNAMさんに製作して頂いているだけにブランドネームは付いています。

今回は特別に中野さんがパターンと素材選びを手がけるI am dork(アイアムドーク)のラインとしてリリース致します。

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このブランドのコンセプトも面白くて、アメリカのスクールカーストの最下位(所謂イケてないグループ)の少年が着ていそうなアイテムを思いっきりラグジュアリーな素材とパターンメイキングで製作するというノリときめ細やかさが同居するブランドです。

少しずつですが…ゆっくり当店にもラインナップが増えるはず(←)なので
入荷次第アナウンスしますね。

そんなちょっとエッジの効いたコンセプト

それが今回は上手い具合に重なったんです。(本当に偶然ですが…)

勝手に私の中では、今回のコレはそんなイケてない少年が、洋服に興味もないので…お父さんのクローゼットから拝借して(多分、祖父の物だった)、ただ単に寒いから着ていたコート。
だからサイズも合わないし、そのせいでまた一段と良い具合のイケてなさへと変貌していったのだろうと想像に至ったのです…
妄想が妄想を呼び、私の中でコイツはこう呼ぶ事にしました。

Grandfather's coat (祖父のコート)

まんまです笑
ひねりもありませんが…これがこの数ヶ月で1番しっくり来たネーミングなので許してください…

販売は10月19日(土)12時からです。
オンラインも同時で用意する予定ですが…スケジュール的に間に合わない可能性があります…気になる方はお問い合わせください!

そんなストーリーのコートですが…お好きな方は是非着てみてください。

当店にしか無いコートだと思いますので。

それでは!


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I am dork
Grandfather's coat
price ¥90000- tax

オンラインストア
http://www.nariwai-online.com/

インスタグラム
メンズアカウント
https://www.instagram.com/nariwai_japan/
ウィメンズアカウント
https://www.instagram.com/nariwai_for_womens/

業 -nariwai-
〒980-0014 宮城県仙台市青葉区本町2-6-23
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TEL:022-796-2240

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