閑話休題 行政文書管理担当になって勉強したこと(行政文書の管理等について)

情報3法って?

 ここまで、情報公開に関する事柄を書いてきましたが、ちょっと横道に逸れて、公文書(行政文書とも呼ばれます。以下では文脈に合わせて両方の語を使いますが、基本的に同じ意味です。)管理のお話をします。

 消費者庁の総務課で情報公開・個人情報保護担当と公益通報担当の課長補佐を拝命していた平成31年4月に消費者庁の公文書監理官室が消費者庁全体の公文書管理を担うことになり、私は総務課の課長補佐と公文書監理官室の兼務となり、公文書管理も担うことになりました。

(参考 https://www8.cao.go.jp/chosei/koubun/tekisei/kakuryoukaigigaiyou.pdf

 もともと、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(行政機関情報公開法)、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(行政機関個人情報保護法)と公文書等の管理に関する法律(公文書管理法)は、情報3法とまとめて呼ばれるくらい密接な関係にありますから、公文書管理の担当と情報公開・個人情報保護の担当を同じ部署に委ねるというのは合理的といえます。
 もっとも、特定任期付公務員に応募したときの担当業務に入っていなかった業務が追加されたので、私個人としてはなかなか大変なものがありました。

密接な関係って?

 上で密接な関係と書きましたが、そのことを簡単にご説明しますと、行政機関情報公開法も行政機関個人情報保護法も、行政機関の保有する行政文書に記録された情報(個人情報含む)の開示等の取扱いに関する法律ですから、公文書管理法がある意味基礎になっているわけです。
 行政文書が作成、取得され、行政機関が保有して利用される状況にある中で、その公開を求めたり、それらの文書に記録された個人情報の訂正や利用中止を求めたり、という文書の利用に関するルールを定めるのが行政機関情報公開法であり行政機関個人情報保護法であるということができます。
 そして、保存期間が満了した場合には、一定のルールに従って、廃棄されたり、国立公文書館に移管されたりして、行政機関において利用される公文書としての役目が終わるわけです。

(参考 https://www8.cao.go.jp/chosei/koubun/about/shikumi/g_bun/tebiki1.pdf

 すなわち、公文書(行政文書)の始まりから終わりまでに関することを扱うのが公文書管理法で、公文書が行政機関に保有されている間のルールに関する定めとして行政機関情報公開法と行政機関個人情報保護法があるということができます。

行政の説明責任と公文書

 私が消費者庁で公文書管理担当課長補佐になったころは、「桜を見る会」の名簿の問題や、森友学園の問題など、公文書に関する問題が国会で取り上げられており、公文書に関することが世間の注目を集めた時期でした。
 そのあとも、裁判所の裁判関係文書の取扱が大きく取り上げられるなどしていますから、公文書の取扱に関しては、それ以前に比較すると、一般的な世間の関心事となったように思います。

 公文書管理法1条では、公文書等について、「国及び独立行政法人等の諸活動や歴史的事実の記録」であり、「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るもの」であるとしています。
 この基本理念を受けて、同法4条柱書で、「当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう」「文書を作成しなければならない」と定め、作成が義務付けられる事項として1号(法令の制定又は改廃及びその経緯)から5号(職員の人事に関する事項)までを定め、これらの事項だけでなく「その他の事項」についても、処理に係る事案が軽微なものである場合を除いて、文書を作成することとしています。
 すなわち、行政文書は、意思決定に関する経緯や過程、行政機関の事務及び事業の実績を跡付け(「後付け」ではなく、「跡」(痕跡)を付けるということですね)、検証できるようにするために作成されるものであり、行政の説明責任の一端(どころかある意味中心)を担うものであるわけです。
 言い換えると、なんでそんな意思決定をしたのか、どういう手続で意思決定がされたのか、ということを後に説明できるように記録せよということですし、その意思決定に基づいて行われた行政の事務や事業がどのように行われ、どのような結果となったのかを記録して、説明・検証できるようにせよということなので、公務員はこの点を意識して行政文書を作成する必要があるということになります。

 閑話休題といいつつも、府省内での新人研修で話す内容とそう変わらないので、どうしても分量が嵩んでしまいます。続きはまた改めて。