閑話休題 行政文書管理担当になって勉強したこと(行政文書の管理等について) その3

行政文書の保存と利活用

 行政文書の保存自体は、紙媒体のものであれば、各府省の定める行政文書管理規則以下のルールに従ったラベリング等を行って(ここの部分は、前回の行政文書の整理に該当します。)、鍵のかかるロッカーに入れて、ラベルに記載された保存期間満了まで間違いなくロッカーで保管すればよいわけです。
 デジタルデータの場合、行政文書管理システムに登録するときに、システムにアップロードするようになっていれば、システム上で保存されていることになるわけですが、行政文書管理システムに登録があるかどうかにかかわらず、法律(または条例)の要件を満たす限りにおいて、行政文書であるので、行政文書として保存しなければならず、仮に特定の職員が利用するノートパソコンのハードディスク内に保存されているものであっても、行政文書であるならば、行政文書管理規則等の法的ルールにのっとって保存しておかなければならないわけです。
 行政文書として認識されているものであれば、保存が問題になることはほぼないと言って良いものの、オフィスの引っ越しの時に、間違って捨てたとか、入れるべき段ボール箱を間違っていて、オフィスで保管すべきなのに倉庫に行ってしまっていてそのことに気付かないままになっているとか、そういうことは起こるので、保管場所から移動させる(利活用するために移動させる場合も含む)場合には、現在どこにあるのかというところをきちんと確認するということは必要でしょう。
 
 問題になるのは、行政機関の職員が、本当は行政文書であるものについて、行政文書との認識を欠いているという場合で、この場合は、整理されてないので保存期間がきちんと決まっていない可能性が高いし、保存自体が怪しいということになってきます。
 この意味で、何が行政文書かというところについては、行政機関の職員には徹底して叩き込む必要があるのだろうと思うのですが、正直に申し上げて、中央省庁の場合、あまりに忙しすぎて、新規採用者に時間をかけて教育訓練をするというのは難しい面があるように思います。

 保存している間の利活用の一つとして、行政文書の情報公開請求があり、これへの対応は別記事で記載しているところです。
 情報公開請求以外でも、行政文書は国民の税金によって作成された国民の財産ですから、不開示情報をケアする等の対応をしたうえで、ウェブサイトに公開するなどして、国民が利活用できるようにすべきでしょうし、府省横断的に利活用して、マッシュアップというのか、コラボレーションというのか、単独で実現するときに比較してより良い効果を生むようにしていくべきなのでしょう。

行政文書の保存の終了(移管又は廃棄)

 行政文書について定めた保存期間が満了すると、保存期間を設定した時点で設定した廃棄又は移管の手続へと進みます。
 この段階で、法令や各府省の文書管理規則において、保存する必要があった文書が誤って廃棄されないように、きちんと確認が行われます。
 私が消費者庁にいたときには、記憶の限りでは、少なくとも年1回、行政文書の棚卸をして、きちんと確認をしたうえで、内閣府に報告を上げることになっていました。
 公文書管理法の所管が内閣府なので、内閣府が政府全体の行政文書管理のコントロールをしており、各府省が上げた報告を内閣府が取りまとめて公表しています。
(ご参考 https://www8.cao.go.jp/chosei/koubun/houkoku/houkoku.html  )

 私の記憶の限りですが、廃棄の場合には、各府省の責任において、紙媒体は溶解業者へ委託し、溶解作業を府省の職員が目視で確認するなどしています。私がいたときのことですが、消費者庁は職員の人数が少ないので、委託業者に全ての工程の写真を撮ってもらって、間違いなく廃棄したことの証明書と報告書を出してもらうというような方法を取ったことがあります。
 移管の場合、紙媒体のものを国立公文書館へ移動させます。
 デジタルデータの場合の廃棄は、システム上で廃棄した記録がされ、データ自体は消去されますし、移管となると、各府省の行政文書管理システムから国立公文書館にデータが移管され、各府省の行政文書管理システムでは触ることができなくなります。
 国立公文書館に移管された公文書については、国立公文書館に閲覧や写しの請求などをして、利用することができます。詳しくは、国立公文書館のウェブサイト等をご覧ください。
(国立公文書館ウェブサイト https://www.archives.go.jp/ )

まとめ

 行政文書の管理は、作成・取得から整理・保管があって、最終的に廃棄又は移管となるという一連の流れを意識して、現在がどの段階で、何をすべきなのかということを考えるということが求められます。
 難しいのは整理・管理で、図書館の司書業務と同様、専門性が高い分野です。
 日本においても、アーキビストを育成し、文書管理をより発展させようという動きがあり、国立公文書館長が認定する認証アーキビスト制度が始まっています。
 各府省や地方公共団体における公文書管理については、従前の管理方法などがあって、ドラスティックな変化は大変ではあるのですが、公文書の管理については専門性が高い分野ですので、異動のある職員に公文書管理を勉強させることも大事ですが、認証アーキビストを継続的に派遣してもらい、自前で体制を構築できるようにする、ということが現実的な方策かもしれません。