点をつなぐ
スティーブ・ジョブズの「点を繋ぐ」という話がある。
ジョブズは大学で学んだデザインの知識を10年後にマッキントッシュに注ぎ込んだ。
だが天才と言えど、「このデザインの勉強がパーソナルコンピュータを作るのに後々役立つだろう」なんて分かるわけがない。
「昔学んだことが後々役に立つよー」って話だ。そして「学んだことがいつ役に立つかは分からん」という話でもある。
こういう考え方は他の思想家にもよくよく見られる。
フランスの文化人類学者にストロースというおっさんがいる。
このおっさんは「ブリコラージュ」という概念を唱えている。
「とりあえずイマ手の中にあるもの、そのあたりに存在するものを使って、何かしらを作る」という考えだ。
「大切なのは事前に何が必要かを想定しないことだ」とおっさんは言う。
そうなのだ。「いつ役に立つか分かんねーこと」が未来の自分を救ったりする。
「イマやりたいこと、イマの長所」に夢中なひとがいる。
だけど、それを輝かすのはイマ目の前にある「役立つか立たぬか分からんこと」だったりする。

この記事を読んだあなたが何かしらを思うかもしれない。
「とりあえずイマ目の前にある面倒ごとを一生懸命やってみるか」と思うひとがいる可能性はゼロじゃない。
ヘタすりゃこの駄文があなたを悩ましている「イマやっているつまんねーこと」に意味を与えるヒントになるかもしれないわけだ。
そうなれば僕がむかし受けた授業は無駄じゃない。
ストロースの哲学やジョブズのスピーチを、ノートにとったあの日はここで成仏する。
「なんでもやってみる」、「いつ役に立つか分からんけどとりあえずやってみる」の破壊力はあなどれない。
本を出したかったけど、そのつもりで「はこの歌」を作ったわけじゃないし、解散したわけでもない。
だけどいろいろな奇跡と出会いがゴチャゴチャになって、九月に本が出る。
将来を見据えて、点と点を繋げることはできない。ジョブズも大学生のときに、マッキントッシュの誕生を見据えていたわけではない。
できるのは後から点と点を結ぶことだけだ。
予知能力を持たない僕たちは「どこかでこの伏線は回収される!」と信じてやるしかない。
生きるしかないってそういうことだ。
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