![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/146321166/rectangle_large_type_2_a3fb74c5a26e4cd79d37cc9e40d43410.png?width=1200)
問い16 : 相手のポテンシャルはどこで塞がれていますか?
今回の記事は、ザ・ゴールのTOC研修を行う講師向けに書いた文章ですが、社内の研修やワークショップを考えている方にも何らかの参考になれば幸いです。
昨日はTOC研修のサポート講師 (現地でスーパーバイザーと進行補佐をする役割) のご依頼をいただいたので、事前zoom相談をしました。
「一度研修をやってみて進行の課題があった。次回はさらに人数が多く、業務フローなどのワークショップの進行がサポートしきれない不安がある。」
こんなことが主なお悩み事でした。
![](https://assets.st-note.com/img/1720188497588-fJJYAOXTeN.jpg?width=1200)
TOCのシミュレーションゲームはチームで楽しくできますが、お昼の感想で必ず出るのが「これをどう実業でやればいいのか?」
ここは多分にファシリテーターとしての力量が求められます(コンサルティングとはちょっと違います)。昨日相談していたことを、研修設計の考え方としてまとめてみました。
1.事前準備:相手のポテンシャルはどこで塞がれていますか?
TOCは制約で成果が決まるという極めてシンプルな理論。それが有効に働くにはまず制約を特定する必要があります。
参加者の制約がどこにありそうかで、進行する内容は変わってきます。
・業務の流れの中に「物理的制約」があるのか?
・市場が縮小して「市場制約」があるのか?
・思い込みや固定観念の「方針制約」があるのか?
![](https://assets.st-note.com/img/1720188579961-HzlS9cJfMS.png?width=1200)
一般公開研修の場合は自己紹介の課題感で掴んで行くのですが、幸い相談者は毎月継続してクライアントと接する職業のため、大まかに参加者の制約を想定することができました。
その時に「制約はどこですか?」という質問もいいのですが、
「相手のポテンシャルはどこで塞がれていますか?」などの動詞を交えて質問する方が、より情動的にモチベーションが抑圧されているポイントを見つけやすくなります。
「力を発揮できていない!」というポイントがだいたい想定できたら、力を解放するための体験を設計します。
2.プログラム:体験の設計と、重要度が増す気付きの再認識(振り返り)
研修で残念な言葉は2つ。「参考になりました」と「わかった!」
「参考になりました」はそもそも自分事としての体験が作れていない。自分ごとでないのに帰ってから何かを実践を期待する方がおかしいです。
「わかった!」はいいように聞こえるかも知れませんが、「考えるのは終わり」ということでもあります。一旦は改善が起こるかも知れませんが、たいてい元に戻ります。
一番いいのは
「気づきの認識 → 具体的な実践方法にモヤモヤ → 方法を考えたので試したい → 新たな気づき」
というサイクルが生まれると、継続的改善が起こります。
![](https://assets.st-note.com/img/1720188676020-PJJwTrznhq.jpg?width=1200)
TOCダイスゲーム研修は、大まかに
・ダイスゲーム(体験的気づきを得る)
・講義(理論的気づきを得る)
・業務フローなどのワークショップ(具体策を考える)
で構成されています。受講者の制約の種類によってかける時間配分を想定し、柔軟に調整する必要があります。
![](https://assets.st-note.com/img/1720188720954-2lqLigzhI1.jpg?width=1200)
さらに最近では「振り返り」に多くの時間を割くと効果が高くなる傾向があります。
昔の大量生産の時代は振り返らずにどんどん学んだことをやれ!でうまく行ったのですが、現代の共創協業が必要な体験学習の場合は振り返りが重要。
・自分の言葉で気づきを言語化する → 自分ごと化する
・気づきを共有し合うことで、チームの共通言語とし、合意形成を促す
振り返りの時間を含めた体験の設計は、これから重要なファシリテーションポイントとなってくるでしょう。
3.進行ノウハウ:どこにどんな問いを投げかけるか?
そもそも「間違った問題」「問題風の問題」に問いを投げかけても、全く効果はありません。それは病気の症状に対して対症療法をするようなもので、根本の病巣やウィルスに対処しないと完治はしないのと同じです。
TOCが「問い」ととても相性がいいのは、TOCが根本問題を特定するプロセスそのものだからです。
その根本問題に対して、
大切にしたい「こだわり」を突き詰める問い
解体していった方がいい「とらわれ」を揺さぶる問い
を投げかけるのです。
参考記事:それはチームの「こだわり」か、あるいは「とらわれ」か?
どのような場合でも制約に対する処方箋「制約の5step」は講義でしっかり共通言語化しておくことは必須です。
![](https://assets.st-note.com/img/1720188269068-FjEwAsgIYA.png)
物理的制約に対する場合は、まず「そこが良くなれば儲かりますか?」などの問いで特定はしやすいです。その制約の仕事のプロセスに「新人さんにはどのように説明しますか?」などと具体化をしていけば、普段現場で作業をしている人ならば自然と改善策が浮かんでくることが多いです。
市場制約の場合は「制約に合わせる = 市場が縮小しても来ていただいている熱心なお客様に合わせる」ことに合意する必要があります。従って「一番熱心なお客様は誰ですか?」「そのお客様が熱狂的に求めているものは何ですか?」という問いから早期の改革に近づくことができます。
関連記事:ネガティブな空気を一変させる「いちばん熱心なお客様は誰ですか?」
方針制約の場合は思考プロセス的アプローチが必要になります。ゲームの時間は抑える気味にして、「好ましくない事象(UDE)」を出し切って、課題が生まれる根本原因を特定する必要があります。
その時「頻出ワード」が出ていることがよくあります。それはすなわちメンバーが言葉の定義に合意しないまま「わかった気になっている」言葉であることが多いです。そこに「それは何ですか?」「なぜそれが必要なのですか?」という問いを投げかけ、再定義と合意形成を図ります。
関連記事:頻出ワードとマジックワードに注目
どのように進行するにしても、ベースとして大切なのは「相手の潜在力を相手以上に信じている」こと。
相手が自分では見えていない、でも何となくもっとできる!と感じている自分自身のポテンシャルを、制約を取り除いて発揮させることが、研修・ワークショップを行う意味だと考えます。
TOC研修の実施にお悩みの方は、研修設計・進行ノウハウのオンラインメンタリングや、現地でのサポート講師・メイン講師のご依頼を承っております。下記のフォームでご依頼いただけましたら幸いです。
TOC研修スーパーバイザー ご依頼フォーム
https://docs.google.com/forms/d/1KlGSLtjHXngQqj8nTuNUtCTC-Eab3m0jFX1J-vDw6I4/edit
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?