1月24日(水)の研修

今日は職場の研修で、「境界線(バウンダリー)」という観点から、障害者支援について学んだ。
(これは、障害者支援の仕事のみならず、プライベートなどすべての人間関係において有効な話題だと思う。)

この場合の「境界線」とは、
支援者(介助者)と当事者(障害者)のお互いが安全で心地よく過ごせるよう、
「わたし」と「あなた」の間に引くラインのことを意味する。
たとえば、知的障害者が介助者にどこまで接近することを許すかという、
「パーソナルスペース(身体の境界)」も「境界線」の一種だ。
(資料によれば、「境界線」は大きく八つに分類される。)
研修のワークでは、”他者にされてイヤなこと”の発表を通して、自分の境界線を探った。

実際に「境界線」を引くためには、「アサーティブ・コミュニケーション」と呼ばれるスキルが用いられる。
その中で個人的に実践していきたいと思ったのは、
「アイメッセージ(I message)」だ。
これは文字通り、「I=私は(が)」を主語にして、他者に自分の意思や要望を伝えるコミュニケーションのスキルである。
「アイメッセージ」は、他者(障害者)と自分(介助者)の間に、
「対立」が起こっているときに効果的だと感じた。
たとえば、「(あなたはそれを)止めてください」と言うのではなく、「(わたしはそれを)やられるのが嫌です」と伝えてみたらどうか。
これこそが、自分の身を自分で守るための、正しいコミュニケーション表現かもしれない。

もっとも、これだと「対立」が”解決”するとは限らない。
だが、そもそも「対立」が”解決”することは稀なのだ。
私たちは、簡単に”解決”するような「対立」で悩んでいない。
また、”解決”しようとすればするほど、逆効果になる(対立が激化する)。
それでも、“解決”への一縷の望みを抱きながら、「対立」を激化させないよう、伴走していくことが重要なのである。

閑話休題

研修参加者の発言からは、良く言えばクール、悪く言えば冷めている印象を受けた。
たとえば、“他者にされてイヤなこと”などは、仕事だと割り切っている人が少なからずいた。
もちろん、仕事にはイヤなことが付き物だ。
しかし、生身の人間を直接相手にする仕事において、簡単な発想や自身の性質だけで対応することは違う。
長く続けるためには専門的なスキルが不可欠だと思った。

一方、問題の焦点をズラすような、遊び心を持った参加者も一定数いたことは興味深かった。
これは時に絶大な成果を上げるが、やはり違和感は残る。
一見して、相手の世界や文化に寄り添っているように思えるが、
自分(支援者)の都合に回収されてしまう危険性はなくならない。
それが巧妙に行われてしまうため、ブラックボックス化しやすい。
どんな支援者でも実施できるようにする、標準化には向かない方法論だろう。

その点でも、まさにアサーティブ・コミュニケーションはだれでも身に着けられるスキルとして良いと思った。

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