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異動ガチャ(公務員の3月)

本当に「ガチャ」なの?

 3月は人事異動の月だ。公務員は、ジョブ・ローテーションが基本だ。大体3〜5年で必ず異動となる。公務員の異動が「ガチャ」と呼ばれるのは、強制的なジョブ・ローテーションだけが理由ではない。実は、管理職に人事権はなく、すべて職員課の人事担当が異動先を決めるからだ。私も転職して初めて知った。「そうは言っても実は、水面下で所属長同士が集まって、優秀な職員の取り合いをやっているんだろう」と勘ぐったりしたが、本当にノータッチだそうだ。
 当たり前だか、職員課の人は「ガチャ」を否定する。実際、親の介護や育児等の家庭環境で特別な勤務シフトを希望している人は、考慮されているようだ。あと問題がある職員が2人以上同じ課に集まらないように、配慮しているようだ。言い換えれば、それ以外は「ガチャ」。でなきゃ収集がつかないそうだ。だが決して手を抜いているわけでないと思う。この時期の職員課の残業時間は、半端じゃない。確かにこれで「ガチャ」と言ったら失礼だ。

ガチャで一番大変なのは誰?

 この事実を知ってから、所属長の見方が変わった。普通は、上司に人事権があるから、部下は上司の命令に従うものだ。「自分をすくい上げてくれるのも上司、切り捨てるもの上司」だから部下は、不本意な仕事でも歯を食いしばってやり抜ける。だが、それがない。ここにはない。
 公務員に転職して最初に感じたのは、あまりにもリーダーシップがない所属長が多いことだ。「君たち、僕と一緒に考えてくれないかな?」と、とにかく話し合いを重視する所属長が多いことが気になった。私は「たとえ白でもあなたが黒と言うなら、黒だと言うので、早く決めてくれ!」という性格なので、かなりイライラした記憶がある。今でもそうだ。だが、所属長としては、早く決めることよりも、部下と円満に決めることのほうが重要なんだと最近わかってきた。
 3月後半に内示が出る。そうしたら今年も若手職員たちのガチャ不満が漏れ聞こえてくることだろう。しかし受け入れる所属長側には、漏らしたくても漏らせない不満と不安がある。ガチャで大変な思いをしているのは、若手職員だけではなさそうだ。

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