近況報告: D進しないことにしました

お世話になっております、牛乳です。2021年もあっという間にひと月が過ぎてしまいましたが皆さんいかがお過ごしでしょうか。僕はというと……修士論文を提出し、審査も終え、何事もなければ無事に情報工学の修士号を取得、というところまでようやく辿り着くことができました。これもひとえに学部時代から進路や院試等の相談に乗ってくださった皆さんのおかげだと思っています。本当にありがとうございます。

今日こうして記事を書こうと思ったのは、タイトルにもあるように僕自身の進路について、お世話になった方々へのお礼も兼ねてご報告しておこうと思ったからです。僕は大学院入学の時点からずっと博士課程への進学も視野に入れつつ毎日研究をしていたのですが、色々思うところがあって今回は就職することを決めました。以下では、そう決心するまでの経緯や心境について、簡単に述べさせていただこうと思います。

社会人適性を知りたかった

僕は元々アカデミアの職に就く進路は考えておらず、企業の研究職かエンジニアとして将来的に働くことを希望して大学院に進学しました。従って、もし研究職を初手から狙わないのであれば、自分のキャリアプラン的に博士号は必須というわけではありませんでした。もちろん、研究自体にも強い興味は持っていて、時間を忘れるほどのめり込めるのであれば何も考えずに博士過程に進む予定でした。

結論から言うと、研究自体は楽しかったのですが、時間を忘れるほどのめり込むことはできませんでした。どうしても生活における研究の優先順位は低くなってしまい、趣味や娯楽に走りがちでした。にもかかわらず、20代の時間はその後のキャリアパスを決定づける重要な期間だという自覚だけは一丁前に持っていました。したがって、進路を考えるときも「もし半端な覚悟で博士過程に進み、そこで怠惰な日々を過ごしてしまうと、全てが中途半端な人間になっちゃいそう」という危機意識を抱くようになっていきました。

こうした心境から、「もし僕に社会人としての適性があり、日々の業務にのめり込むことができるのであれば、20代の限られた時間の使い方としてはそちらの方が有意義かもしれない」と次第に思うようになりました。少なくとも社会人は毎日8時間くらい働くので、適切な会社を選べば自分のスキルアップにも繋がります。もちろん、働くのがつまらなくてつらいとなってしまうと意味がないのですが、その適性があるかどうかを確認しないままにするのはもったいないかなあと僕は考えました。

また、業務で培った技術力があれば、将来「やっぱり博士号を取りたい」と思ったときに、より研究に没頭できるようになるのではないかとも思いました。対戦ゲームなんかで「勝てるから面白い、ハマる」という側面があるように、研究についても「進捗やアイデアが出るから面白い、ハマる」という側面があると修士の2年間で気付かされました。社会人としての実務経験を積むことは、将来研究により没頭するためのキッカケ作りにもなるんじゃないかと今の僕は考えています。

コロナによる研究のオンライン化

一番の理由はこれです。コロナが原因で学会は全面的にオンラインになり、また僕の分野はリモートで実験ができるので、日々の研究も全て自宅で進めることになってしまいました。このことは、モチベや研究環境的な側面で僕にとって大きなマイナス点でした。

日々の研究がオンラインになってしまうと、ミーティング以外の場で研究に関する知識を教えてもらったり、雑談から研究のネタを膨らませたりといったことがとても難しくなります。特に僕は大学院から理転した人間なので、無限に人と会話しながら研究に関する知識を身に着けるスタイルで生活していました。そのため、そういった会話の機会が激減したのは自分のスキルアップ的な面では致命的でした。

また、学会がオンラインになると同分野の他の研究者とのコミュニケーションがめちゃくちゃ難しくなってしまいます。僕は大学院から新しい分野で研究をスタートしたので、修士課程中での学会活動を通じて研究コミュニティに属していく必要があったのですが、オンライン学会で他の人と新しく人間関係を築くのは至難の業でした。そうなると自然と他のオンライン発表への興味も薄れてしまい、「オンラインで発表聞くなら論文読めばいいし、なんならYouTube観てたほうがおもしろいが……」という気持ちにもなってしまいました。(これは自分の意志が弱いせいでもあるので反省しています)

更に、折角研究の業績を出しても自宅からオンラインで発表するだけというのがより一層モチベを削ぎました。実は修士の期間中に海外の学会で発表する機会があったのですが、コロナが理由で全面オンラインに。「こんなの普段の研究室内ミーティングでの発表と一緒じゃん!!!!観光もできないし!」と不満まみれになったのは今でも強く覚えています。

おわりに

こうした事情から、「モチベアップの環境が整っていない今、わざわざ急いで博士に進む必要もないな」と思うようになり、自分の適性を調べることも兼ねて就職することを決めました。裏を返せば、将来的に大学に戻ってくる可能性はかなりあります。修士での研究も自分の関心にかなり近い部分に取り組めたので楽しかったですし、また研究室の指導体制・設備もこの上ないくらい恵まれていたので、タイミングが合えばまた研究したいです。研究室の方々には本当にお世話になりました。

サボりがちな性格だったとはいえ、2年前に大学院に進学したときに比べると、実に色んなことができるようになったなあとしみじみと感じています。学部時代に理転を決意したときは不安ばかりでしたし、未だに理系の学生として基礎すらおぼつかないようなことは多々あるものの、それでも修士号を取れる程度にはなんとかなりました。また、自分で地に足つけて勉強していくための地盤もある程度固められたように思います。あのときから応援してくださった皆さん、改めてお世話になりました。引き続きこれからの人生も頑張っていこうと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?