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【デュエプレ座学】1枚のカードを大事に使う (後編)

後編とあるが、こっちが本編である。


最近、「プレイングが昔と比べて変わったな〜」と思うことが増えた。
上達したのかなと思ってはいるのだが、上手ぶってるだけの可能性がある。

もし上手ぶってるだけならかなりヤバい。
その場合は癖になる前に治すべきなので、自分のプレイングを記事にして人々の反応を伺ってみることにした。
ちょうど先日のバトルアリーナの試合で、「最近の筆者らしさが出たプレー」が起きる盤面に遭遇したので、これを題材にしてみる。

以下は大会の調整メンバーである森忍さんとのミラーマッチで、負けた方がドロップという大事な試合での一局面。

先攻4t ・マナ未チャージ ・Nエクスミラー。
細かい条件は以下のツイート参照。

結論から言うと、筆者はこのターン「ノーチャージ青銅+オチャッピィで1点」を選択した。
パッと見《超次元リュウセイ・ホール》を撃ちそうな場面であるにもかかわらずである。

再度念押しするが、大会本番の大事な試合である。
変わったプレーを試してみようと思ったわけではない。
このプランが一番勝てそうだと筆者は考えたのである。

以下ではその思考過程についてまとめていく。
プレイングを考えるにあたって、今の自分の核になっている論理は前編にまとめた。
まだ読んでいなければ冒頭のリンクから一読していただけると幸いである。

大会当時の思考

制限時間がある試合中の思考は、試合後のそれとは全く異なる。
自分のプレイングを後づけで正当化してしまうことのないよう、まずは本番で実際に考えたことを整理したい。

状況整理フェーズ

  1. 《超次元ガイアール・ホール》が一番太い負け筋。
    《時空の喧嘩屋キル》を即時処理するため《超次元リュウセイ・ホール》は残したい。

  2. 相手の手札に《ドンドン吸い込むナウ》が1枚はありそう。
    後手の吸い込むはゲームの鍵なので、1枚マナに埋めた辺りから2枚目がある可能性大。

  3. 相手が直前のターンで2ブーストした意図は読めない。
    単にこちらの《サイバー・N・ワールド》をケアしたかっただけかもしれないし、手札に《超次元ガイアール・ホール》を持っていて、《勝利のリュウセイ・カイザー》をケアしたかった可能性もある。

  4. 《ドンドン吸い込むナウ》をケアして《超次元リュウセイ・ホール》から置物を出すのは避けたい。
    相手が6マナまで到達してしまっている以上、《勝利のリュウセイ・カイザー》はリターンが小さい割にリスクが高い。

  5. 互いの盤面にあるパワー1000の生物がゲームの鍵。
    相手の《青銅の鎧》が盾を殴ってくる展開になると、盤面処理のためにこちらが《天真妖精オチャッピィ》を犠牲にする形になりそうなので、恐らく先の展開が良くならない。
    逆に相手が盤面処理に回ってくれれば、ギリギリリソースと盤面を繋ぎながら盾を詰め切れそうなので、相手を面処理の気持ちにさせたい。

  6. このターン《超次元リュウセイ・ホール》を撃たなくても別に負けない。
    直感的に「あのとき撃っていれば……」より「あのとき我慢していれば……」となる確率の方が高そうだなと思った。

  7. 自分の《ドンドン吸い込むナウ》は相手の《勝利のリュウセイ・カイザー》か《流星のフォーエバー・カイザー》に当てる。
    恐らく直近2ターンのうちにどちらかは立ってそう。
    これらを無視して殴り切れるほど良い手札でもないので、恐らく吸い込むを撃つゲーム展開にはなるだろう。

方針を決めるフェーズ

  • 消去法で《青銅の鎧》をプレーすることにはなりそう。
    《超次元リュウセイ・ホール》を構えておかないと簡単に負けてしまうし、《ドンドン吸い込むナウ》をドロソとして撃つわけにもいかない。
    盤面の優位は譲ってしまうが、負けに直結する展開にはならない。

  • 盤面処理を相手にさせている間に除去とドローとクロックを絡めながら刻むプランが一番勝ちそう。
    これなら《青銅の鎧》といったこちらの1000生物が、相手の「盾1枚+1000生物(or除去)」とトレードになり得るので悪くない。
    しかも相手の脅威は手札の《ドンドン吸い込むナウ》+《超次元リュウセイ・ホール》でいなせるので、これなら既存の手札のみでプランが立つ。

  • どこかで追加打点か《サイバー・N・ワールド》が引ければ、それまでに盾を刻んでおく明確な意味が生まれる。
    《ボルバルザーク・エクス》なら息切れ前に押し込みリーサルができそうだし、《サイバー・N・ワールド》なら盾を割った分の手札リソース差をリセットできる。

  • ほな《青銅の鎧》は殴った方がええか……。
    盾を偶数枚にすると嬉しいし、相手が処理に回ってくれやすくなるし。

結論

《ボルバルザーク・エクス》等による押し込みリーサルで勝つか、《サイバー・N・ワールド》で手札差をリセットして盾枚数差で勝つ。
そのため《天真妖精オチャッピィ》《青銅の鎧》で少しずつ盾を刻む。
手札の《ドンドン吸い込むナウ》+《超次元リュウセイ・ホール》は、相手の脅威を除去しつつ必要なパーツを掘る役割として運用する。

振り返り: 《超次元リュウセイ・ホール》を大事に使う

今回のプレイングの肝は《青銅の鎧》を出したことではなく、《超次元リュウセイ・ホール》を撃たなかったことである。

本記事の主役。
最近2枚目のシークレットが当たって嬉しい。

「カードを大事に使う」という筆者の思想はここに表れている。

判断の鍵になったのは相手が直前のターンに《ドンドン吸い込むナウ》をマナに埋めたことと、返しのターンに相手の《超次元ガイアール・ホール》が避けられないことであった。
ここでもし《超次元リュウセイ・ホール》を撃った場合、

  • こちらの《勝利のリュウセイ・カイザー》が相手の《ドンドン吸い込むナウ》とトレードされ、手札に攻め手が残らない

  • 《勝利のリュウセイ・カイザー》を無視して《超次元ガイアール・ホール》を撃たれ、《時空の喧嘩屋キル》の処理手段がなくなる

という2つの大きな負け筋ができ、《超次元リュウセイ・ホール》に期待する仕事量としては少なすぎると感じたのである。
従って、《時空の喧嘩屋キル》の処理という大切な仕事が控えているぶんだけ、1ターン我慢する価値は高いと筆者は判断した。

これに対する反論として挙げられるのは「《ボルバルザーク・エクス》が一番嫌なので、相手が6マナでも《勝利のリュウセイ・カイザー》を出す」という意見だ。
実際、今回の盤面で他の人がどういうプレイングをするか事前にアンケートしたところ、この意見を述べる人が一番多かった。
(例としてサービスさんの意見を引用させていただく。かなり筋が通っていたので、筆者も多くの学びがあった。)

ちなみに筆者は指摘されるまで相手の《ボルバルザーク・エクス》を検討することを完全に忘れていた。
確かに、返しのターンで《ボルバルザーク・エクス》を出される展開をイメージしたところ、かなり劣勢になりそうなのは容易に想像がつく。

ただひとつ気になるのは、《勝利のリュウセイ・カイザー》でエクスの着地を1ターンずらしたところで別に状況は好転しなくないか?ということだ。
そもそも筆者は相手が1枚《ドンドン吸い込むナウ》を持っている可能性を踏まえてプレイングを検討している。
その場合《勝利のリュウセイ・カイザー》を出したところで結局《天真妖精オチャッピィ》しか残らず、1ターン後に同じ盤面が再現されるだけだ。
それどころか、《ドンドン吸い込むナウ》のサーチが入る分だけ相手の手札の質は上がっている。

例えば《超次元リュウセイ・ホール》をドローモードで撃った場合…
相手は《ドンドン吸い込むナウ》でカードをサーチしながら除去してくる。
結果、こういう状況で再びターンが返ってくる。
こちらは手札がランダムな2枚+吸い込む。
初期盤面と変わってなくない?

上図のような展開以外が起きるとすればそれは恐らく相手が《ドンドン吸い込むナウ》を持っていない展開だが、既に何度も述べたように、その判断をするには相手のマナ埋めがあまりに怪しいため、《ドンドン吸い込むナウ》の線を切ることはできない。

となると結局、以下の2択のトレードオフになる。

  1. 《ドンドン吸い込むナウ》を持っているなら、《ボルバルザーク・エクス》は今出されても1ターン後で出されても変わらないので、《超次元リュウセイ・ホール》を温存する価値がある。

  2. 《ドンドン吸い込むナウ》を持っていないかつ《ボルバルザーク・エクス》を持っている場合は、《勝利のリュウセイ・カイザー》で遅延する価値がある。

どちらのプランの方が受けが広いか考えよう。
1は《ドンドン吸い込むナウ》《超次元ガイアール・ホール》の2種8枚までケアできるのに対し、2は3積みの《ボルバルザーク・エクス》のケア1点読みである。
直前の相手の動きから《ボルバルザーク・エクス》を手札に抱えていることが透けている場合は2を選ぶ価値が高いが、既に述べたように、ここまでの相手の動きからその1点読みをすることはできなさそうである。

従って、筆者はこのターン《超次元リュウセイ・ホール》を撃たずに温存する価値が十分高いと判断する。

この選択によって試合がどう運んだのかは以下の動画から確認できる。
所々怪しいプレーはあるが容赦していただけると幸いである。

「カードを大事に使う」ための状況の見極め方

前編では、「カードを大事に使う」プレイングを実践に移すためには適切に状況判断をする必要があるということを述べた。

とはいえ、相手の手札が見えない状態でこの意識をプレイングに反映するには多くの問題がある。
相手が《ドンドン吸いこむナウ》を何枚持っているかは見えないし、《時空の花カイマン》に除去を当ててくれるとも限らない。
しかも《ドンドン吸いこむナウ》をどのカードと交換したいかの価値判断さえも状況依存である。
極論、《時空の支配者ディアボロスZ》より《時空の花カイマン》のほうが活躍する展開だってあり得る。

では、何を基準に状況判断すれば良いのか。
完璧に抽象化・言語化することはできないが、今回の実例を踏まえたうえで、筆者が意識している具体的な指針をここではいくつか述べようと思う。

手札の除去を読む

キーカードの生存確率を上げるため、相手の除去はしっかり読もう。

相手が除去を持っているかどうかについては、相手の「マナ埋め」「直前ターンでのアクション」の2つを参考にする。
まずマナ埋めについて、今回だと《ドンドン吸い込むナウ》をマナに置いたことが、2枚目を持っている可能性を示唆している。
もちろんそれ以外のケースもあり得るが、除去を持っていない前提で動くのにはあまりにリスクが高いということは、直感的にも分かるだろう。

また、相手の直前ターンのアクションが妙に弱い場合も、除去札を読むための手がかりとなる。
除去札は盤面に除去対象がいないと有効に使えないため、手札に抱えていると何もせずにターンを返す展開になりやすく、それがシグナルになるのだ。
ただ、このシグナルは単に「手札が有効牌まみれ」なだけの場合もあるので注意が必要である。

1対n交換を計算する

自分のカード1枚がカード何枚ぶんと交換してくれるかを正しく見積もれるようになろう。
そのカードをこのターンにプレーすべきか、温存しておくべきか悩んだときに、この仕事量の比較が良い判断材料になるからである。

ただし、ここでは単にテキストに書いてあるアドバンテージ量だけでなく、相手の盤面やシールドを何枚奪えるかといった状況依存の交換枚数も考慮しなければならない。

例えば最近のZweiLanceCUPのこのシーンでは、以下の理由で「自分だったらグレンニャーで盾殴るかな〜」などと考えながら観ていた。

  1. 殴る場合、《熱湯グレンニャー》は「盾1枚+相手のパワー1000生物」とのトレードになる可能性が高い。そのとき相手の《青銅の鎧》は《熱湯グレンニャー》1枚とのトレードになり、お得。

  2. 殴らない場合、逆に相手の《青銅の鎧》が「盾1枚+こちらのパワー1000生物」とトレードしてくる可能性がある。もしそうなるとこちらの《熱湯グレンニャー》は《青銅の鎧》1枚とのトレードになってしまい、損。

2〜3手先の盤面を想像する

1対n交換を見積もるために、数手先の盤面を想像できるようになろう。

返しの相手のアクションを想像するのは競技思考の人間なら誰でもやっていると思うが、2〜3ターン先となると分岐が多くて難しいため、ちゃんと考えたことがないという人も少なくないだろう。
実際、厳密に全ての分岐を検討するのはあまりに非現実的である。

そこで筆者がよくやるのは、負ける時・勝つ時の「途中盤面」を覚えておくことである。
これをすることで、択を検討するときに勝ちパターンに入りやすいか負けパターンに入りやすいかの二元論で思考をまとめられるからである。

普段のランクマッチで途中盤面に意識を向けてみるだけでもグッと良くなると思うので、是非一度試してみてほしい。

おわりに

1枚のカードをどうやって大事に使うか、筆者なりの実践方法について本記事では言語化を試みたが、案の定長文になってしまった。
文章が冗漫なだけでその実筆者の考え方は間違っているかもしれないし、自分より上手い人はもっと別の思考をしているかもしれない。
その場合は是非筆者に教えてほしい。
もっとカードゲームを上手くなりたいので。

もしこの記事から何か得るものがあったならば、感想やRTをいただけると幸いである。

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