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【デュエプレ選手権】たった5分のために150時間調整した話【1没】

デュエプレ選手権のためだけに1ヶ月調整して1没したよ、という記事です。
150時間の取り組みを5分1試合だけで終わらせるのは流石に悲しいので、今回の調整の振り返りをここに供養します。

ちなみに大会で使用したリストは以下ですが、本記事ではデッキ解説や選択理由について述べることはしません。
デュエプレ選手権に向けてどのような調整をしていたかの体験談を中心に述べられればと思います。

レート1718, シーズン最終4位を達成。

採用理由やプレイングの詳細が気になる方は、調整メンバーのpara (@para_dmp) さんが解説記事を出してくれると思うのでそちらをご参照ください。

5分で撤退し得る大会になぜ150時間費やした?

そもそもBO1で負けたら即敗退(シングルエリミ)というルールの大会に時間を費やすのは大きなリスクである。
たとえ勝率80%のプレイヤーでもどこかで20%を引いた瞬間敗退だからだ。
長い時間をかけて調整しても、たった1試合で水の泡となるリスクがそこには確かに存在する。
これがもしBO3なら、勝率80%のプレイヤーのマッチ勝率は89.6%にまで上昇するため、ルールが戦績に与える影響は大きい。

しかしそんなブレの激しいルールであっても1ヶ月を費やすくらい、このデュエプレ選手権で得られるものは大きかったのである。

デュエプレ選手権でのリターンを考えるにあたって、デュエプレ大型大会の代表であるバトルアリーナと比較したい。
数千人規模で開催されるバトルアリーナで決勝ラウンドに進むためにはBO1で10勝1敗が要求される。
勝率6割でもランクマッチのシーズン最終100位に残れることもあるくらい勝率の担保が難しいデュエプレにおいて、10勝1敗のハードルはあまりに高い。

その一方、デュエプレ選手権の仕組みは以下の図の通りとなっており、決勝ラウンドに進むためには次の回戦を勝ち抜けば良い。

  • エリア予選: BO1シングルエリミ、全5回戦

  • FINALIST決定戦: BO3シングルエリミ、全2回戦

要するに7勝0敗で決勝ラウンド進出、しかもそのうち2試合はBO3でやらせてくれるのである。
筆者の感覚的には5勝で決勝ラウンドに行けるようなものだ。
しかもアリーナの決勝ラウンドと、選手権の決勝ラウンドとの間に報酬体系の差はほぼない。

筆者の目標が大型大会で勝つことである以上、たとえ5分で帰宅することになるリスクがあったとしても、最も力を入れて調整すべき大会であることは疑いようがなかった。

調整グループ再結成

以前から筆者は「大型大会専用の調整グループ」で活動しており、今回もここで調整しようと考えていたのだが、ひとつ問題が発生した。

メンバーのほとんどが抽選落ちしたのである。

困ってしまった。
大会に出ない人に調整を手伝ってもらうのは申し訳ない。
かといってデュエプレコミュニティ内の知り合いも少ないため、筆者主導のオレオレ調整に付き合ってくれる人が現れる見込みも薄い。

「流石に今回はひとりで調整か……」

神、現る。
ということで急遽デュエプレ選手権専用の調整グループを組織することになった。

こうなると次は「他のメンバーどうします?」というのがお決まりの展開。
汀さんとちゃんとコミュニケーションをとるのは実は今回が初めてなので、お互い探り探りやることが予想される。
その場合、あまりメンバーを増やしすぎるとコミュニケーションエラーが起きる懸念があったため、今回は調整グループとして機能する最小限の人数に留めることにした。

顔も広くコミュ力のある汀さんに数名候補を出していただいた中で、今回はparaさんをメンバーに迎えることにした。
どうやら先述した筆者の調整グループnoteを既に読んでおり、元々こういう調整に興味を持っていたらしい。

ありがたい限りである。

こうして、筆者・汀さん・paraさんの3人でデュエプレ選手権調整グループがめでたく発足したのであった。

PDCAサイクルの実践

Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の繰り返し

グループでの調整作業と言っても結局はPDCAサイクルを回すのみである。
このサイクルをスムーズに回せるよう、筆者の調整グループでは「週1回のミーティング」「毎日実施の夜練」「Discord上での議論」の3つを重視した。

Plan: ミーティングでやるべきことを整理

週1回開催の全体ミーティングでは、1週間やったことの報告や質疑応答を行ったほか、グループ発足時に決めておいたスケジュールに基づき、デッキタイプやデッキリストを確定させるなどの意思決定を実施した。

実際の議事録。
毎週書記 (筆者) がミーティングの内容をまとめ、選手権用のGoogleドライブにアップした。

調整グループの全体スケジュールは以下の通り。

  • 4/9: 顔合わせ

  • 4/17: 相性表作成・要調査デッキタイプ決定

  • 4/24: 使用候補デッキタイプ決定

  • 5/1: デッキリスト決定

  • 5/4: デッキ提出

  • 〜5/13: 練習期間 

相性表を作ったり候補デッキを決めたりするとグループ内で認識がズレることは多く、その場合はミーティング中に議論したり、それでも結論が出なかった場合は後述する夜練で認識の擦り合わせを図ったりした。

このスケジュールだけ見るとそんなに無理がなさそうだが、1点だけ懸念があった。

調整中にこのカードがナーフされる可能性が高そうだと感じたのである。
ナーフによってこれまでの調整が水の泡になった苦い経験のある筆者は、なんとしても同じ轍を踏まないようにしたいと考えた。

そこでどうしたか?

ナーフ後の架空のメタゲームを予想し、通常の調整と並行して二重に調整を実施した。

そんな馬鹿なと思うかもしれないが、幸いにもメイ様環境のメタゲームは【青単リキピ】を中心にかなり固定されていたため、架空のメタゲーム内で調整をする時間的リソースはある程度確保できた。

筆者作のナーフ後メタゲーム予想の抜粋。

架空のメタゲーム内で調整するにあたって、まずメンバー全員がそれぞれナーフ後の環境予想を作成するところから始めた。
その後、メンバー間で認識がズレている点を列挙していき、実際にルームマッチで確かめることでメタゲーム変遷の論理を擦り合わせていった。

実際にナーフこそなかったものの、メタゲームを脳内デュエルで予想してそれを基にデッキを組み立てていく訓練は、メンバー全員のスキルアップに繋がったのではないかと思う。

Do: 夜練やランクマッチで検証

毎日21時から数時間「夜練」と称するルームマッチを実施し、ミーティング中に出た疑問点や認識の相違の解消に努めた。

毎日botが予定の確認を行い、各々が参加の可否を返信する形式をとることで「その日誰が集まれるか」を把握しやすくなり、コンスタントに練習を実施できた。

調整の大部分はこの夜練が担っており、

  • デッキタイプごとの相性確認

  • デッキ調整の方向性の確認

  • プレイングの検討

などは全てここで実施した。

夜練の記録例。
牛乳弱すぎるだろ。

また、練習に参加できなかった人が不利益を被らないよう、夜練の戦績や考察の結果はなるべく記録し、いつでも誰でも振り返ることができるような環境づくりを心掛けた。

Check: 検証結果の掘り下げ、課題の整理

夜練で実施したルームマッチ1試合1試合を吟味し、疑問に対する結論はどうだったか、新しく出た課題は何があるかを整理した。
なるべく1試合終わるごとにリプレイを確認し、どこが分岐だったか、もし手札のカードAが別のカードBだったらどういうプレーが最善になるか、等ひたすら丁寧に検討した。

整理した知見は最終的に構築やプレイングメモに反映させていった。

各対面のプレイングを整理するチャンネルを最終的には作成した。

Action: 課題解決に向けたアイデア出し・議論

夜練の結果を踏まえて、調整中のデッキの課題をどう解消していくかDiscord上でアイデア出しや議論を積極的に行った。

Discord内では調整メンバー個人のチャンネルだけでなく、デッキタイプごとのチャンネルを設けている。
調整作業はデッキタイプごとに分業して実施したため、担当者がアイデア出しをして、それに対して残りのメンバーが質問や口出しをする……といった流れを繰り返すことで、デッキの完成度を高めていった。

こうしたPDCAサイクルを1ヶ月続けた。
1日あたりの練習時間は平均5時間くらいだったので、150時間は調整していた計算になる。

その他やったこと

選手権参加者の特定

大規模オンライン大会と異なり、小規模オフライン大会ではいわゆる「人メタ」が可能である。
Twitter検索を駆使し、自分と同じ会場の参加者のアカウントを特定したうえでその人が使いそうなデッキをある程度推測する作業を行った。

例えば、同じ会場の参加者がNAOさんと調整しているという情報が手に入ったので、【黒緑祝門】対面はガチガチに練習した。

会場の下見

大会当日少しでも緊張が和らぐよう事前に会場の下見をし、乗り換えの確認や会場のWi-Fiの速度調査を行った。

レート1700帯で練習

本番では1敗もできないという緊張感の中でパフォーマンスを発揮する必要がある。
デッキの調整をしていたらランクマッチのレートがたまたま1700に乗ったので、そこからも潜り続けることで緊張感と向き合えるよう練習した。
無敗で1718まで伸ばせてシーズン最終4位だったのは良かった。

大会振り返り

1没。

あまりに呆気なく負けて茫然自失としてしまった。
試合数が少なすぎるため、デッキ選択やチューニングが正しかったのかどうか反省しづらいのも中々苦しい。
負けた試合もカードを2枚しかプレーさせてもらえず、メタ外のデッキにボコボコにされただけなので、分岐も何もなかった。

他の調整メンバーも呆気なく負けてしまい、全体結果だけ見るとボロボロ。

とはいえ、参加を決意した時点でこういう負けのリスクがあるのは受け入れていたので仕方ない。
切り替えて次の大型大会に向けて精進しよう。

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