第2回タクミちゃんカップの感想(齋藤健一)

こんにちは、東京造形大学絵画専攻3年の齋藤健一です。                                                    タクミちゃんカップの参加者は自由に使ってとタクミちゃんがこの場を解放してくれたので、書かせてもらいます。タイトルをタクミちゃんカップの感想としつつ、タクミちゃんカップそのものにはあまり言及せず。僕のことをメインにダラダラと。       

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タクミちゃんカップの日、僕は朝からタクミちゃんカップのことを考えていた。前々から、やる事はほとんど決めていたから、それのシミレーションがメインだ。

やる事は、レクチャーの形をとるパフォーマンス。
タイトルは『じゃんけん解体』。
僕はじゃんけんが白黒をつける最も簡易的な手段と捉え、それを解体することにより白黒をつける前にあるべき土壌を生成しようと考えた。
解体する方法は大勢で同時にじゃんけんをするというもの。
これによって、かなり長い時間あいこをし続け、じゃんけんの解体をはかる。

このイベントで一人に与えられるパフォーマンス時間は5分。
どれだけの人数が会場に集うかはちょっと分からないけど、事前に公表されていた参加者は10人弱。
そこに観客などを合わせると10人以上になるだろう。                                             きっと高い確率で成功する。

こうした想定とは裏腹に、どこかで不安に思う僕もいた。
おそらく、『じゃんけん解体』が強烈な個を押し出していくタイプの作品でないのが要因だろう。
僕はタクミちゃんカップにはイベントの形式からタクミちゃんのような強烈な個の力で戦う表現者が参加するのだろうと予想していた。(実際にそうだった)
そうした表現者の中で『じゃんけん解体』は埋もれてしまうのではないかと危惧していた。
とにかく、勝つ自信がなかった。
僕はこのイベントが戦いの場であることを無意識のうちにかなり意識していた。

当初、『じゃんけん解体』はタクミちゃんカップに批判的な意味を持つと考えていた。
それは、僕が出場を決めた動機の一つだった。
しかし、いつのまにか僕はこのイベントの形式にのまれていた。
いつのまにか僕は勝ちたくなっていた。
そう言うことで、僕は会場入りした後になってパフォーマンスの内容を変えた。

実際に行ったのは『竜球部』という作品。
これは、マンガ『ドラゴンボール』と日本の部活動に共通する精神があると感じ、二つを接続させたもの。
二つを接続することで、その共通した精神を浮き彫りにできると考えている。
この作品には強烈な個の力に勝るとも劣らない力がある。
こうして、『じゃんけん解体』から、この作品に変更した。

この作品は会場にいる人と一緒にやる作品で、会場にいた人はみんな快く協力してくれた。
本当にありがとうございました。

結果は一次予選敗退だった。

『竜球部』が、あまり上手くいかなかったこともだけれど、僕は予定していた作品を変更してしまったことを残念に思った。
なぜなら、やったことのない作品をやるのが怖かったというのも変更したきっかけだったからだ。
振り返るとそう思う。
『じゃんけん解体』はやったことがなく、『竜球部』は一度、他の場所で試したことのある作品なのだ。                                                                                          どうなるか分からないところに大きい可能性があると思う。
挑戦を大事にしようと切実に思った。

もう一つ、思ったことがある。                                                                                    タクミちゃんの振り返りの中で、僕の作品が場に合っていなかったという指摘があった。
最近、僕はパフォーマンスの持ち運びやすさに可能性を感じている。
そのため、パフォーマー(僕)と観客がいれば作品が完成する作品を制作している。
しかし、タクミちゃんの指摘によって、そう簡単なことではないなと当然のことを思い出すことができた。

今回、会場に来られていた方のほとんどは初めまして。
みんな、面白い方々。
この出会いを大切にしたい。                                                                                    後悔もあるけれど、参加して良かったなとしみじみと感じている。

2019.9.17   齋藤 健一

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