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うれしくて No.2417


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ある園に勤める先生の文章をご紹介します。

娘二人がまだ幼かった頃のことです。

いつものように朝、保育園に預ける準備と出勤の支度をしていると、五歳の長女が「ママ、しんどい」と言うのです。

少し熱がありました。

「どうしよう。今日は行事があるから園を休むわけにはいかないし…」と私は頭を抱えました。


実家の母は、「大丈夫よ。お医者さんにも連れていってあげる」と言ってくれました。

実家に出発し、往復一時間半以上かかる道のりを車で走りました。

そして実家に着いて子どもをおいて、「さぁ出勤」と急ぎました。


下りの長い坂道で、つい車のスピードが加速しました。

突然、一本の棒が差し出され、私の車は止められました。警察のスピード違反の検問でした。

駐車場に誘導され、質問に答えていると、思わず涙があふれ出ました。

自分の不注意ではあるものの、

「熱のある子を預け、後ろ髪を引かれる思いをしながら来たのに」

と心の中は悲しさでいっぱいでした。

「先生という身でありながら」と悔やみもしました。


その後、出勤し、いつものように園で子どもたちを出迎えました。

一人のお母さんが「先生どうしたの?」と言うので経緯を話しました。

するとこう言ってくれたのです。

「先生、無理して出勤されたんだね。

うちの子、先生が大好きなんだって。

先生はいつも おはよう と言いながら一人ひとりを抱きしめてくれるから。

私も二人の子どもを育てながら仕事を続けているから先生の気持ち、よくわかる。

先生、お互いに頑張ろう。今日も子どもたちをよろしくお願いします」


その励まし、優しさに思わずまた涙があふれそうになりました。

「子どもたちに涙を見せちゃダメだ」と思って後ろを向くと、

その母親の子どもが、「ママ、先生を泣かしたらアカン」と怒りました。

「〇〇ちゃん、違うのよ。

〇〇ちゃんのお母さんがとっても優しい言葉を先生に言ってくれて、その言葉がとてもうれしくて先生泣いちゃったの」と伝えると、


「ふーん、大人ってうれしくても泣くんだ」と言いました。


その言葉に、その場に居たみんな大笑いです。

私も泣き笑いでした。その瞬間、ごちゃごちゃしていた胸のつかえがスーッと下りました。


富田 富士也(子ども家庭教育フォーラム代表/教育・心理カウンセラー)

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いつもご紹介している「日本講演新聞」からのご紹介です。


誰かは必ず誰かの子であり、そして誰かの親であることもあります。

今目の前で見えている役割や職業の裏側には、一人の個人としての存在がある。

そこに目を向けて、お互い優しい声掛けが出来るといいですね。


嬉し涙の溢れる世界になりますように。


先生方、いつもありがとうございます!


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