年収の推移と金融業界の給料について
新卒で大手金融機関に勤務し、9年目で年収が1,000万円を超えました。
1年目からの年収の推移は大体以下のような感じです。
1年目 300万円
2年目 400万円
3年目 450万円
4年目 550万円
5年目 650万円
6年目 800万円
7年目 900万円
8年目 900万円
9年目 1,050万円
この年収には、残業が毎月約30時間、年間で約360時間含まれていますので、残業が少なければもう少し下がります。7年目はかなり残業が多く、逆に8年目はかなり少なかったので、年収はほとんど変わりませんでした。
大手金融機関というのは、一般的にはメガバンク、証券会社、保険会社を指すと思いますが、これらの会社であればおそらくどこも8~10年目には1,000万円に到達すると思われます。金融業界は昔から「30歳で1本(1,000万円)」と言われますが、今でも概ね変わっていません。
なぜ金融業界は他と比較して高年収なのでしょうか?様々な理由があると思いますが、いくつか考察してみたいと思います。
①激務だから
金融業界はよく「激務である」「精神を病む人が多い」と言われます。会社や部署にもよりますが、確かにそのような面はあります。実際私も、一時期は夜遅くまで働いていて、「診断書をもらって休職したい」と思ったこともあります。しかし、激務である業界は他にもたくさんあり、その中には平均年収が低い業界もあります。また最近は、働き方改革を推進しており、労働時間は減少している一方で、給料はそれほど下がっていません。「激務だから高年収である」というのは、因果関係としては成立しないのではないのでしょうか。
②高いスキルが求められるから
これはある程度は正解だと思います。例えば、銀行ではプロジェクトファイナンスやシンジケートローン、証券会社では投資銀行業務やプライベートバンキング、保険会社では商品開発を行うアクチュアリー業務などは、非常に高いスキルが求められます。しかしこれらの業務は、それぞれの業界で極一部の人が従事しており、大半はそれほど高度なスキルや知識を求められません。実際私も、10年勤務する中で業界の知識はかなり身につきましたが、上記のような業務に就いているわけではなく、高度なスキルはもっていません。なので、「高度なスキルが求められるから高年収である」というのは、ある程度は正解ですが、大きな理由ではないと思われます。
③規制産業だから
個人的にはこれが大きな理由ではないかと思います。昔ほどではないにせよ、金融業界は今もかなり厳しい規制があります。規制があるということは、参入障壁が高く、新たなプレイヤーが現れにくいのです。結果として、昔からある大きな会社だけで業界のシェアの大半を占めており、競争原理が働きにくく、他業界で起きるような価格破壊やイノベーションが起きにくい構造となっています。そのため金融業界のメインプレーヤーは利益を上げやすく、従業員へ高給というかたちで還元しやすくなっています。そのため最近では、この「儲けやすい」という仕組みに目を付けたテック企業などが次々に金融業界に参入しており、メインプレーヤーたちは対応を迫られる、という流れが起きています。
他にも、電力・ガス・鉄道・メディア・製薬なども規制産業と言われており、他と比較して高給な企業が多いので、「規制産業だから高年収である」というのは1つの大きな理由なのではないかと思います。
給料の高さを重視するのであれば、このような規制産業に就職あるいは転職を目指すのも1つの選択肢かもしれませんね!